比喩だよ
Oz

手を添えて
形を感じて
しんとした音が
まだ
残ってる

この腕はまだある
その足はまだある
ただ
あの日はもう無い
厳密に言えば全ては
移ろい
無くなってしまった
ただ
まだ足はある
腕もある

泣いて言う
仕方なかったと。
後悔は後悔のまま
救いもなく
心に残る
そこにたゆたう人は
昔の事さと
波を鎮めようとする
時には
何かを
納めさえする

浮かび上がる
浮き輪に
この手は掴めない
ヌルヌルとして
滑ってしまう

大丈夫
水の底でだって
生きていける
コレは比喩に過ぎない

それでいいの?
それで満足?

「煩い」

川面に
鴨の赤ん坊が
ユラユラと。
親鴨は
注意深く
それを見守る
僕はというと
橋の上から
ソレを見守り
心を
温くする

心は
温くなった


自由詩 比喩だよ Copyright Oz 2010-12-04 00:09:19
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