みんなで
海、行こう
今すぐ行こう
水中メガネなんて
海で買えばいいよ
母さんの
あの向日葵のボレロな
裾をめくって
叱られる前に
駆けぬけようぜ
追いかけて
波を追いか ....
娘たちは
もう眠ってしまった
何も書かれていない短冊がひとつ
テーブルに置かれている
なあ、父さんは
こってり疲れてしまっているから
願いごとなんて
ひとつも浮かばないんだ
静 ....
ざわざわする
ほんとは 誰とも
繋がれないのではないかと
ざわざわ する
自分のことで 手一杯で
優しくなれない
ざわざわする
約束は果たされず
勝手なこと言って 浮いている
....
沈みゆく陽の揺らぎ
それは
遠く、ただ遠く
待つことの幸せ
青いさかなの首飾り
それは
諍いのない空の果て
明日を生きる
水のこと
夜光虫の静かな灯り
ちいさく
名前を呼 ....
窓からのきいろい日差しで起きた昼さらさらゆれるカーテンは白
だらだらとした足音でもうすでに君だと気付いている帰り道
「とうといね」3度目のバイバイのあと遠くでつぶやくパステルのきみ ....
雨を聴くひと
土を嗅ぐひと
奏でられる調べには限りがある
奏でられない調べを夢にみすぎて
からだを置いてきた場所を
遠ざかってしまう
胸の奥には想像上の内臓があって
白いバラ線に ....
まるでドラマで見るような
高い海岸で
私は
妻を殴り殺し
海に落としました
私は
なんてことのない商社マンです
菓子の開発に携わっています
そこは伝統制を持った
メーカーであり
....
明るい空から
さわさわと緑の雨が降るから
おまえの誕生日は
いつも濡れている
水色の
ローラーブレード
畳の上で
肘あてや膝あての
具合を確かめている
それは
おまえを守るため ....
小学校の体育の時間に
逆上がりができなかった
隣りの席の女の子が休み時間に
鉄棒をしにいこうと誘ってくれた
ぼくらは二人で
校庭の隅に立つ鉄棒に向う
鉄棒は低いのから
順番に高くなってい ....
橋を渡っていると
綿毛が飛んできた
ココは運河の上
綿毛は
僕らの渡る橋の上を
通りすぎ
向こう側へ
そのまま
川に落ちるのか
土手に着くのか
鳥たちが鳴いている
太陽は今日 ....
握りこぶしに八割の水分
寝具に横たわり
タンクトップも脱いでしまって
タオルケットに巻かれてしまえ
コットンが素はだかを優しく撫でる
身体感覚が昇るからうつぶせを楽しんで
ひと ....
蝉時雨
もうすぐ初盆です
と言った義母の心が
くみとれなかった
その気持ちが解らないまま
私の口からも
同じ言葉が出てる
蝉時雨
記憶をたどろうとすると
嫁は不思議そ ....
混沌の渦が、芯に落ちて
花びらは、瞬き
カオスは、一つの流れを示した。
示された約束は、熱を帯びて青く
一筋の光りを仰ぐ
あまりに短い時間を惜しむかのように ....
孤独でない人間なんていない。
その事実だけが、私を安堵させる。
職場の上司が、手品を始めた。カード手品ってやつだ。時々、その成果を披露してもらう。だいたいは金曜日の飲み会である。飲み会自体が手 ....
踏切の向こう側
アイツが立っている
銃の形に手を作り
人差し指をコメカミにあて
ぐりぐりと
押し付けている
笑いながら
アイツは
高校の頃の同級生で
卒業して以来
会っていない ....
朝の訪れるたび
切り離されたからだを思う
昨日との交信が途絶えて
寄る辺ない
なまぬるい風に
輪郭を確かめる
季節がしみこんでくるのと
季節に染み出していくのが似ている ....
ほんとうに好き
だから
もう、これは、どうしようもない
ほんとうに好きは、それこそ、ホントウニ好きで、
なにがなんでも好きということで、
「好き」が、どんなになっても、
他人か ....
その村では
人々は穴を掘る
朝から晩まで
個人個人の穴を掘る
生まれたそばから
掘る穴を与えられ
それだけのために
一生を費やす
もちろん
彼らは人だ
数々のロマンスが
その ....
いつだってできるんだよ
夢に暮らすことは
いつだって できるんだ
海の見える丘の上の広い庭で
犬たちがじゃれあい
子どもたちがかけっこして
空がいっぱいに青く広がって
ーーー ....
踊りましょう、と誘いの蔓をはりめぐらせて
日没前のクレマチスが笑った
思い出せるだけのメロディを
イヤフォンから流し入れて
電子化されたそれらすべてに
からめとられた夕暮れ
何がしたい ....
夕暮れ中央道にのり込んだ
明滅するテールランプが湿度ににじんで美しい
すべての初めては心を激しく呼んでくる
生きている
くるしいし高ぶるし泣きたくて笑いたい
センテンス
台 ....
きみはよわいからといって星がはじけるみたいにほほえむひとだ。やさしくしたいのにできなくてなきながらじぶんをきずつけるひとだ。左のポケットのなかに、肺の底に、まぶたのうらに、螢石のようなきら ....
エメラルドグリーンの夜なまぬるい風がふたりを近付けている
陽炎を蝉が叫んで揺らめかす 入道雲が乗せてきた夏
わわわわと とおく、ちかくで鳴くかえる まっくらやみでわたしいまどこ
....
産道でめりめりめりめり角が取れ
仔ヤギを飼ってた母校ダムの餌食
密告はしない金庫の中入る
マンホール人が飛び出し引っ込んで
財産は沼に執事が立っていて
....
拙かったのは誰?
時間に流されて
誰かの裾を掴んだと思ったら
破けてしまったよ
1997年にいたのに
今はもう
2087年
ソーラーカーが空を飛び
電子爆弾が
隣の人の頭を飛ばす
....
雨の日にタマネギを食べる
茶色のかさかさした所をむくと
白い皮が つるり つやつや
曇る空模様に薄暗くなった台所で
食べられる月のように まな板にうかぶ
半分に切って ざくざくと刻むと
....
もめんの色
出会い
かりそめ
息をつく
蒸気をとおして
戻すつながり
熱さまし
衣ずれ
目的地
季節と、契る
ちらばった雲に
指をさして
ナギと呼んで空に心をのばす
心は手になり私になり
ナギに届くと思うのだ
思うのだと思うほど信じてはいない
チチチ と鳴きながら近くを飛ぶのは
警戒の意味もあるのだと
私は警戒にあたいす ....
春の風草食動物月面へ
妹の悩みの種を埋めてきた
急に見えなくなる右靴左足
ハンサムな頬にフジツボ飼っている
傾いて傾いて傾いて平ら
肩のない祖父母の肩 ....
風に散った花が夜空に沈み
雪となって降ってきたその日も
月は アルバムの中で
にこやかに輝いている
黄色い水門のあるあの夜の場所で
木々はそのままの緑して はだかの雪を抱き
川はそのま ....
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