触れることのできるこの時間も
    いつかは終わる

       ── never young beach







何気ない静かな日々に夏陽さす

もう二度と ....
冷蔵庫で
薄い果肉を分離して
皮と不在を分かち合う

君は言う
唇は 言葉によってつけられた傷跡と
塗り薬や お守りがあるといい
ひどいどしゃ降りに閉じた窓を
少しひらくとき
勇気を ....
頼る宛もなく、深夜のベッドタウン
僕はそぞろに歩いている
苦渋たる道
俗にそれは二人の隔たり
紛れもない
ひとつとひとつの魂のズレ

通り過ぎてく人はいない
車もバイクも通らない
ほ ....
真夜中に稲光で目覚めた
とおもったけれど
ふと目覚めたらたまたま雷が光ったのかもしれない
きれい、と怖れ、は
ちいさな箱に同居してる双子

エレベーターに「故障中」の張り紙が貼られている
 ....
私のこころには

ちっぽけな美しさがある
ささやかな優しさがある
愛された記憶がある
愛した記憶がある
ただただ
愛するひとの幸せだけを祈った純粋がある

醜さに満ちたこころにも
 ....
遠くからの雨が
仰向けで倒れたままの僕たちの瞼にも恵まれ
封じた楕円に触れてもいい頃合いだと知らせる
呼び鈴が鳴らされたが
出ていけない

、 ない……が湿った封筒を差し出し
黒い口を開 ....
食卓に箸置きを添える
といってもそれは箸置きとして売っていたものではなく
両端をねじられたキャンディ型のフォルムの
ベネチアンガラスの小さな置物で
ずっと前に
ベネチアの運河に架かった
橋 ....
電車に乗ると
二つ先に海岸駅という名の駅がある
海岸駅、と言っても
降りてから海までは男の人でも
歩いて三十分以上かかる
近くまでたどり着いても
海岸線に沿って細長く続く
フェン ....
 散歩日和さ
  埃が光ってる

    ── never young beach






夏きざし隣街まで散歩して

挨拶に日傘を上ぐる日和かな

話しかけやすさうな ....
階段に
月の花びらが落ちている
けだもののまばたきの前を過ぎ
けだものの舌に拾われる


何も無いところに花びらを見るものなど
邪険に扱ってもいいのだ
邪見に扱うこ ....
祝いの誕生日

庭に切り殺した 美しい植物をあげる

3歳児の顔で 姉は

うさぎの顔のついたスリッパの方がよいと 駄々をこねる

それは、植物よりも利便性が高いから

それは ....
 花は見たい人のために
   いつでも存在する。

      ──アンリ・マティス








屋上に猫駆けあがり夏の空

撃ち合ひに父も子もなし水鉄砲

水鉄砲 ....
洗濯機のとなりで
展覧会があった
淡い色だった
人々が行儀よく
並んでいた
わたしも会場に
入りたかったけれど
チケットを
衣服と一緒に
洗濯してしまった
昨夜折った笹舟を ....
初夏はまだ始まったばかりだというのに、早生まれのトンボがもう死んでいる、アスファルトの上にその細い細い機体を傾けて、まだ生きていたかった、みたいに、そのうすいガラスのような透明な羽を、そよ風にかすかに .... 道の先で紫陽花が咲いて六月を知らせるように

淡い朝方の日差しが 蟻の姿を照らしたように

海の方から吹く風が潮の匂いを運んだように

夜に階段の軋む音から人の気配を感じたように

貴 ....
ありがとう 私を否定してくれて
ありがとう 非情になれる現実よ
ありがとう こころおきなく闘える
ありがとう 情けはこころを弱くする
ありがとう 嘘の世界にピリオドを
ありがとう そして私は ....
誰もいない 僕がいる
僕がいない 誰かいる
耳を塞いでも
声が聞こえる
音はしないのに

裸足で駆けだした長靴のそこから
見よう見真似でメモリアル
ごきげんよう
逆さまの空から
 ....
「 新月の夜 」

存在さえも不確かにする 霧が降る

新月とつめたい星の光、みすぼらしいデッキの長椅子のしたに

小さな命が産み落とされる 

白黒タキシードのハチワレと 闇色のクロ ....
 
 ふりむくな ふりむくな
    うしろには夢がない

          ── 寺山修司







紫陽花や今日も明日も通る道 

紫陽花や毎日通るこの家も

 ....
貴方の軌跡を辿っても
私はあなたと会えないけれど
貴方の心に土足で入らせて下さい
その中で 一際鈍く輝く星を
飾らせてください 私の心に

貴方の言葉を辿っても
私はあなたになれないけれ ....
屋形船に乗りたい、と
あなたが言うので
わたしは台所に
船着場を作ることにした
ホームセンターや森で
材料を集めて
冷蔵庫は多少
使い難くなったけれど
何とか船着場が出来た
 ....
 
 時計の針が前にすすむと「時間」になります。
  後にすすむと「思い出」になります。

          ── 寺山修司





紫陽花に雨近づくや曇り空

もどり来て ....
僕はいつもの川べりの道の
橋の下の空間を くぐり抜けた時 
心の中が妙にリラックスしたのはなぜだろう
そして人や犬が辺りを走り回っていた


石畳の上には日が差していた
強烈な日だ 焼け ....
長い時間をかけて
ひとつ ひとつ
ピースをはめて
綺麗に出来上がりそうになった時
ひとつ ふたつ
ピースが無くなっていたことに気づく



決して埋まらないその穴は
いつまでも
 ....
きみは海を見たことがある?
             (パヴェーゼ『丘の上の悪魔』10、河島英昭訳)
ぼくは
          (サルトル『アルトナの幽閉者』第一幕、水戸多喜雄訳) ....
庭の紫陽花がうっすら青く色づいて
季節は嘘つかないね、などとつぶやいてみる
紫陽花は土壌の性格によって
色が変わると知った理科室で
人みたいだなとおもった
そんなふうにわたしが紫陽花を怖れて ....
あの日降る雨は僕の鼓膜にフィットした
乱雑で簡素な終わらない街並みに
遠く自転車走らせた
遠く意識をスクロール
体の中心部に紫陽花をしまう
まるで狂った視界
冷たくて温かいアスファルトは
 ....
 笑うか笑わないかは個人差があります。
   その点はご了承下さい。  敬具



 

 真面目な俳句 九句


紫陽花の季節いつものその家も 

紫陽花をもうしばらくに見て ....
水の稜線をたどると
椅子の肘掛けは
今日も閑散としていて
グラウンド整備を終えた
儚い高校球児のように
窓ガラスから先へと続く金魚に
適量の餌をあたえた

息に触れようとして
 ....
梅雨時の雨あがりに、まだ濡れている、
いくつもの、
綿毛となったタンポポが、
まるで細密な白いガラス細工のように硬質化している、
それぞれに、
きわめてミクロな水晶の玉の粒を、
無数に煌め ....
唐草フウさんのおすすめリスト(3967)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
そんな日の朝に- 森田拓也俳句7*25-6-30
水蜜- 凪目自由詩225-6-28
- パぁ自由詩625-6-27
アパートメント- そらの珊 ...自由詩13*25-6-27
こころ- りつ自由詩10*25-6-27
楕円- ふるる自由詩9*25-6-26
箸置き- そらの珊 ...自由詩9*25-6-25
海岸駅- たもつ自由詩5*25-6-25
散歩日和- 森田拓也俳句11*25-6-24
冬夜_歩み_うた(六十・六十一)- 木立 悟自由詩525-6-22
_白い日_- 月乃 猫自由詩12*25-6-22
あいラブユー通信- 森田拓也俳句7*25-6-22
買い物- たもつ自由詩15*25-6-22
寂静- 本田憲嵩自由詩1925-6-21
小道- 馬後の竹 ...自由詩325-6-21
ありがとう- りつ川柳4*25-6-21
フェルマータ_《異名同音]_》- 洗貝新自由詩8*25-6-20
新月の夜- 月乃 猫自由詩7*25-6-20
小さな夏の手紙- 森田拓也俳句13*25-6-20
他人- 馬後の竹 ...自由詩525-6-20
屋形船慕情- たもつ自由詩6*25-6-18
時間の外へ- 森田拓也俳句13*25-6-18
都会の休日- 番田 自由詩225-6-18
ジグソーパズル- さち自由詩625-6-17
HE_HAS_JUST_BEEN_UNDER_THE_DAI ...- 田中宏輔自由詩13*25-6-16
トレース- そらの珊 ...自由詩10*25-6-15
- 若森自由詩4*25-6-15
リバーシブル・カウボーイ- 森田拓也俳句10*25-6-14
稜線- たもつ自由詩5*25-6-14
露綿毛- 本田憲嵩自由詩14*25-6-14

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