おんなはおとこをつれてわたしのいえにやってきます
あるときはひげのひと
あるときはとしのひと
あるときはすごくやさしいおとこでした

おんなはわたしをくらいへやにとじこめます
それがさいん ....
風がふく
風がながれる
風がなく

ぼくらの風は
いつも
風を
探している

ふく風は
たぶん
あなた だろう

ながれるのは
間違いなく
ぼくだろう

なく風は
 ....
悩みの倉庫は胸にある
袋の口をしめて
幾層にも積み重ねる
きみと話したあとで
倉庫に無くなっている
きっと起重機が
袋を持ち上げて
運び出したのだ
胸が軽くなって
ぼくの気分も起重機 ....
心臓の中で
春が笑っている

笑っている春の中で
一面のチューリップが笑っている

笑っているチューリップの中で
少年が笑っている

少年の無邪気さが
チューリップを{ルビ ....
割れて つまづいた障子紙の陽射しに
つけられる風 ことり ごとり 

削りこまれた細工 ひろがる窓の内
ビンの底のガラス 集めた昼の鼓膜

ホコリ マ ミレ
柱の影絵に 散らかっていく
 ....
北の国で少女は
歌を集めて翼を織った
旅してゆきたかった
生ぬるいかげろうの季節に
歌はそこら一面で摘まれ
籠のなかでちいさく鳴いた
迷子になったひよこたち
草原を季節風が ....
ろうそくが燃えるのは
それは
ロウが燃えるのだ


では
ろうそくが消えるのは
それは
ロウが尽きるのではなく

燃えるべき
ことばの芯を失うからだ


心を持たない
 ....
会社をたたむと決心して以来
もののたたみ方に注意するようになった
これまで自分でたたまなかった布団を
たたんでみたりするようになった
いつもはそこら辺に放り投げている
パンツや靴下もたた ....
牽かれていく二すじの偏光
孤独な少年の手なぐさみ
自転車にまだ補助輪があったころ
ぼくは愛されていたかしら
いなかったかしら
初夏の予感が初めて来たとき

駅前通りに二匹の妖精 ....
葉は寄り 毛の尾に嗅がれる
伏せる喉 痩せた土 はぎ

噛みすする 親不知
木の根に うずくまり

こごと と舐める 
石の蜜
駅近くの喫茶の壁に
抽象画が貼ってある
焦点の合わない
橙色の幾何学模様
隅に小さく署名がある

さいたりる

若い女主人に聞くと
以前よくきていたが
最近はまったくこないという
 ....
新聞紙の同じページに
震災への追悼が行われた事と
つい先日 襲撃された
日本大使館などの記事がのっている

犯人グループ 36人の死による鎮圧
犠牲者 11人 中に 民間人も含むらしい
 ....
世界の最果ての部屋で
無音のテレビが瞬いた

鬼が私を探しに来る
緋色に染まった夜の海から
シルクの魚雷に跨って

鳥は巣で寝返りを打ち
子供は母に抱かれて眠る
夜の付き添いに疲れて
人気のない待合室の
ソファでうつらうつら

窓際に置かれた
ヒヤシンスの根が
くねくねと
夢の中まで伸びてくる

先端の脈動に
病院のすべての機器が
 ....
スコップの目覚まし時計

雪が情熱で溶けるのは冬
つける薬を 欲しがるのは春

わびる氷 くびれ揺れる水のフレア
に 後ろ手で そくっと映し見る

白く なだけはなれなかった
夜 ....
異星人の女
ぼくより背が高い
コトバをしゃべる
ぼくを見て笑顔を作る
食事にさそう
女はよく食べる
ベッドに行く
ちゃんと乳房がある
触ると反応する
「チキュウジンニ
ニテイルワネ ....
湯船に沈んで
樋から流れ落ちる
雨の音を聴いている
植物石鹸の楕円と
豊潤な湿度

*

砂時計の沈み込む
流砂を視ている
ぼくたちは砂漠のなかの
バンドウイルカ
疲れたら、休 ....
とことこ
にっこにこ 
歩いてくるのは 
はじめての
この子の春だ

その後を
心配そうに両手でかばいながら
吹いてくるのは
桜・・・

そのまた後で
無表情の手をさしのべてい ....
徹底的に吟味されたまちに住んでいる。
公園にはサンドイッチが整然と並べられ。

そのかどをまがると20mほどでいきどまりだ。
そうした指摘になすがままにされ、
いま、ここがどこだかしっている ....
新しい暦が生成している
遠い国で洗い上がったシャツの匂い
ためらいと高揚
背中に触れる唇の温度
インディゴに溶け込むマゼンタ


梢たちを過ぎて
吹き下ろす視点から
 ....
現国が終わって社会になった。
住所不定のまま電子ジャーを持ち歩いた。

靴ベラを探している。
紙袋の底、ジャンバーの内ポケット、黒ずんだビニール袋の中、
缶のはいった布袋。
靴ベラの代わり ....
今迄きらいと思った人と 
互いの気持をぶつけた後で 
くるり、と心が回転して 

鳥の場所から眺めれば 
思いもよらぬ親しみが 
じゅわっと胸に湧いてくる 

その時ようやく私は
私 ....
わたしは、「お母さん」になりたかったと気付いた。でも全然違う。手の届かないもの。その気になればいくらか真似は出来るだろう。でもそれにもいまは疲れ果てている。わたしには時間が必要だ。

 ....

あなたは樹木
草原に立ち
両手を広げ


あなたはグラス
降り注ぐ声を
すべて 
受け止め


あなたは交差点
別々の人生が
いつしか
ひとつに


ひら ....
川底がすきとおり
小石がみえる
そこにゆうゆうと鯉が泳ぎ
水上に白鳥が舞っている

うしろからうしろから押され
きれいな輪をつくりながら
前へ前へとすすむ
とおい海にむかう川

 ....
幸せは保存できない
冷蔵庫の中にあるやつは
消化され、忌まれるうんちになる
おしゃれな洋食屋さんで食べるハンバーグは幸せだが
その幸せは、家には帰る頃にはなくなってるから
たいしたやつではな ....
僕の前に、一つの丸い窓がある。 

春の嵐にずぶ濡れて 
身を{ルビ撓=しな}らせながら、葉をきらめかせ 
必死の思いで立っている 
ひとりの木 

それは今夜も 
世界の何処かで{ル ....
おしつけがましい
きぼうが
わたしのみらいを
とかしていく

せまいへやでいいの
あたたかいひのひかりを
すこしだけください
そうしたら
それだけでいきていけるの

あめのひの
 ....
ニュース画面に映る満開の桜
その下で 賑わう人々
東京は お花見なのに

防寒着を着て かわかした軍手を持つ
白い雪が降り続けるので 消しに行く
桜より 広く白い

積み上げられた雪の ....
南へ向かう鳥達が
薄色の空に溶けて行った

きみは衣装棚から
厚い上着を出してきて
胸元に飾った小さな憧れを
そっと隠した

子犬が地層の匂いを嗅いでいる
鳥の化石に恋をしたんだ
 ....
唐草フウさんのおすすめリスト(3355)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
おんな- そらの  ...自由詩412-5-2
風のエチュード- 草野大悟自由詩1*12-5-1
話すと減る悩み- 殿岡秀秋自由詩4+12-5-1
春_鬱- 塔野夏子自由詩9*12-4-29
マ_ミレ_ル_メ- 砂木自由詩20*12-4-29
五月、北の国の少女は- 橘あまね自由詩2312-4-29
紅いろうそくと人魚- umineko自由詩12*12-4-27
会社をたたむ- 壮佑自由詩39*12-4-23
エイプリル- 橘あまね自由詩2312-4-21
けもの道- 砂木自由詩10*12-4-18
斉田りる- 佐野権太自由詩312-4-18
おやすみなさいな_よき夢を- 砂木自由詩11*12-4-17
- 壮佑自由詩17*12-4-17
病院- 壮佑自由詩15*12-4-17
クロッカス- 砂木自由詩12*12-4-15
未知の人- 殿岡秀秋自由詩11+12-4-15
かすかなひとたちへ- 佐野権太自由詩512-4-13
春のエチュード(第3稿)- 草野大悟自由詩2*12-4-13
徹底的に吟味されたまち- はたらく ...自由詩3*12-4-12
春のリート- 橘あまね自由詩2012-4-12
社会- はたらく ...自由詩412-4-12
みどりの切符_- 服部 剛自由詩412-4-11
母親- はなもと ...自由詩712-4-11
- umineko自由詩23*12-4-11
水の旅- わすれな ...自由詩7*12-4-10
だから歩いていくんだね- 中川達矢自由詩712-4-10
ひとりの木_- 服部 剛自由詩512-4-9
生きたい- 森未自由詩9*12-4-8
雪守り- 砂木自由詩18*12-4-8
晩秋- 壮佑自由詩32*12-4-5

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112