きみの一日を 僕は知らない
きみが毎朝買っているパンの味も
きみが気にして飲んでいる健康ドリンクのことも
きみが僕に隠れて嬉しそうに読んでいる新聞の四コマ漫画のことも
きみが髪を無造作 ....
かぜが
よにん
てをつないで
ふいている
とおくに
ひろびろと
あおぞらが
ひろがる
あのころ
ぼくらは
そんなまいにちを
すごしていた
あなたがかいた
あねもね ....
夜は僕の肌をなめまわし
僕の知らない僕のこころと密会する
君は君の手垢をつけ
僕は僕の手垢を付けていく
君と僕の手垢が重なることはない
見つめあうことのないふたり
洗剤は合 ....
くもり空のした
駅まで歩いた
人を見たくて
屋根もみどりに濡れて
鉄橋の金網から
山手線を見下ろしつぶやいた
とうとう今年は桜を見なかったな
こころを開けなかった
三叉 ....
01
椅子に椅子が座る
約束は
決して泣かないこと
色鉛筆に魚が群がって
明日の支度をしている
02
階段は優しい
黙って骨を集めてくれるから
時計を正しく合わせ ....
肺を水で満たすような
この痛みと苦しみを恋と呼ぶなら
こんな思いはいらない
何度もそう思うのに
その笑顔を見るたびに
溺れそうな気持ちがまた
幸せの光に満たされるんだ
....
パンの焼けるにおいだけが明るい
苔が吐く息だけが甘い
朝になりかけのままの朝
小石をなげる雨のいたずらに
幾たびも眼を開ける
エメラルドの雨を泳いで渡る
赤い自転車は泣くだろうか
傘 ....
080408
今日も、
わけのわからないことを書いている
わけがわからなくなって
わけがわからなくては困るから
わけがわかるように書こうとして
わけがわ ....
おはよう
今日も良い天気
ちょっと早い朝
太陽におはよう!
みんなおやすみ
思い切り背伸びして
空さえも掴む力を充電
光いっぱいの朝
小鳥におはよう!
みんなおやすみ
さえ ....
溝が流れの通り道
濁りの淀む
吹き溜まりには枯葉
それでも雪解け水は
地上へ
いななき駆け下りる
暖かさの消えた夜
水面の波は途絶える
幼い土の寝床の中
凍えるに違いない朝を ....
また、この季節がきたよ
ながかったねぇ
ぼくたち
華やいで
きみ
咲いているよ
あの花は
すべてを忘れろっていうように
咲いて、風に流れているんだ
....
あなたは
詩
からできていた
あなたのことば
髪の毛も
どこまでも
あなたは詩で
豊かなるリフレイン
反復
倒置法
波のように繰り返す
反射する
重ねた
手鏡 ....
日だまりに停車してある軽トラできらきら光るホットサイダー
おじいちゃん早く渡りな大丈夫道路は三途の川じゃないから
祝日に国旗を掲げる家なくて家主の世代交代思う
....
私の
心の半分は
麻痺しているので
触れないでね
痛い、とか
冷たい、だとか
そちらの側では
感じられない
ただ
ぴりぴりとしびれるような
ここでない
どこかの空の
....
「せんせいのては やさしいかたちしてるね」
いきなり言われたので
僕は自分の手をじっと見た
どうみても普通の手だ
「どういうところがやさしいの?」
血管がういて筋張っているし ....
ありふれた日常に
埋もれている特別
※
午後の授業
雨が降ったり止んだり
不安定な空模様
その生徒は
そんな天気に関係なく
いつも笑顔で教室にくる
だからそれがあた ....
穏やかな日々というものがある
一日一日に
棘があり沼地があるのは
ほんとうは知っている
ひとびとは
うまく避けながら果実を探して
今日の美食を味わう
それでも僕は
虹の掛か ....
桜舞う水底に佇む魚
たゆたうひとひらを
尾鰭で弾く
開ききった瞳孔で
仰ぐ空は
こみあげる白一色
こぽり、泡が漏れる
どこからか
漏れ続けている
ゆるい水流にもたれれば
....
ればならば にらればなりて らばならぬ
にらにるなれど らばなりがたし
拡散する意識のなかで
三月の
浅すぎる海底に揺れている
季節は傾きながらも
横滑ることなく
白い軌跡を轢いてゆく
街路樹の切り口に
ひたり、しみ込む優しさ
僕はきっと
臆病な ....
ねえ君は
どうしてそんなに喋り続けるんだい
何かから逃れるかのように
何かを一時でも忘れたいかのように
その身体を
いま/ここに繋ぎ止めるために喋り続ける
軽くなる言葉
....
すくい上げる青色は美しく
胸の奥まで入り込み
すくい上げた青色は
先の見えない「透明」だった
悲しくて悲しくて
指の隙間から
寂しく寂しく
こぼれていった
いつのまにか気がつくと
おなじ出口にいきついてしまう
人生ゲームのルーレットも
カラカラとおなじ音をたてるだけ
でもわかった
きょうわかった
ほんとうは迷路なんかじゃないってことを ....
春の雨に隠された怖れを彼女は見ている
幾つものしずくに映る逆さまの世界を
彼女は見ている
からだの動かし方は知らない
時代がかった衣装の代えもない
おひな祭りというものが過ぎて
誰かさ ....
からだよ、もすこし待つんだよ
あしたにはスーパーマーケットへ行って
トマトを買ってくるからね
ひき肉買ってくるからね
ワインも買ってくるからね
おまえの欲しいもの
みんな買ってくるから ....
学生たちが
そこここに円くあつまって
華やいでいる
どうしたら
あんなふうに笑えただろう
そういえば、もう
何年も卒業していない
花壇のすみで
孤立無援だった球根さえ
新しい黄緑 ....
現代詩フォーラム創作系スレッド「○現代詩フォーラム短歌部○」の「第6回 短歌祭」は参加が31作品と、盛況でしたね。
色々読ませて頂いて、すごく面白かったです。
せっかくなので、短歌祭に参加された方 ....
春、という実感もないまま
海を泳ぐ
わずかに持ちあがった
二の腕から滴る光に
戸惑う
掻き寄せるものは
どれも曖昧な痛みばかりで
だいじょうぶ、と
支える声は
生え変わったばかり ....
きみが少し元気なときに
庭に植えた白梅に
真珠の粒がころころと
それは春の序章とも言える
きみが好きだった春の 前髪が見えて
それはきみの季節とも言えるが
メディアから塗りつけられる春 ....
窓際 春のはじめの陽に
鉢植えの花が咲いてゆく
緑の葉が孔雀のようだ
朝と昼と夜が流れている
その少し離れた台所の隅に
チューリップの造花がある
流し台のガスコンロの近く
ひそりと赤 ....
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