ぬるい夜
橘あまね

夜がうごいた
なまぬるく
あかい月のためらい
翅をひろげる雲たち
思い思いに

駐車場わきで
黒猫がスーパーの袋かじってる
貧相でうすよごれて
でもどこか清楚
みずみずしく香るけだもの

君の深みにダイブしたいよ
こんな夜
肌の色で塗りつぶしたいよ
秘密の場所とか
もう見つけられない

午前零時に
うごめく何もかも
取り込みたいよ
取り込まれたいよ
つながれ、生きるものたちぜんぶ
死んだものたちぜんぶ


自由詩 ぬるい夜 Copyright 橘あまね 2011-05-19 22:52:53
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