無題
はるな


抱かれていたら
いっさいの言葉が消えてしまった
あきらめに導かれて
横たわる生活に屈した

詩人は 歌をもとめて
音楽家は 色をもとめて
画家は 言葉をもとめて
それぞれに寝床をみだしている
それなのに
詩人は文字に頼るしかなく
音楽家は音に溺れつづけ
画家は筆に縋るしか術がない

宗教家は体系を作り上げ
政治家は遊戯に耽る
人々は理由をさがしながら
見つかることを恐れている
母親たちは柔らかな肉で出口をふさいだ
それが入口であることをしりながら

もとめることが
提起であるならば
答は問いに内包されているべきだ
学生が声高に対価を求め
季節が後退する

わたしも人々と同じように
混ぜ返される真実を磨いていたのだ
拭えど滴る罪悪に平伏し
落花流水を夢に見つつ



自由詩 無題 Copyright はるな 2011-05-16 01:17:18
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