ぼんやり
殿岡秀秋

電車
降りる駅の看板が動きだす

見る
睫毛の間に雨粒の影

晴れ
瓦屋根の隙間から雀がでてくる

気配
振りかえると自分の影

授業
突然教師がさしてくる

歩行
つまずく手の平に地球がせまる

映画
以前観たことに途中で気づいて肩を落とす

会話
鼻で返事していると妻が不機嫌になる

精算
つり銭が少ないが店まで戻る気になれない

閃き
メモ帳を探すあいだに忘れてしまう

半眼
瞑想ではなくて寝ている

人の気持ち
わかったときには別の電車に乗っている

未来
見えていないのに死ぬことは知っている











自由詩 ぼんやり Copyright 殿岡秀秋 2011-05-01 06:34:13
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