終わりにひとこと
祝辞をと開いてみたら
伸ばしているだけで
時は過ぎて
栞の花びら一つ掴めず
風にさらわれ
終わりにと
終わりに
ただひとこと
そう思っているうちに
....
なにもしていないのに疲れている
コンビニに寄る
駐車場が広くて
小学校の校庭くらいはある
大きなトラックが停まっている
十台以上ある
一つナンバープレートを見ると
やはり遠いところから来 ....
くまは瀕死だった
ぐるりを人間たちにかこまれて、
路上で、濡れて
だいじょうぶですよ
とくまは言おうとした
ひとりで死ぬから、だいじょうぶです
「殺せ」
とだれかが言った ....
千葉駅から外房線に乗り南下して
稚内に向かう
どんなに行っても沿線に稚内はない
外房とはそういうところ
風が吹いている
都会なのに美しいジャングルがある
それが稚内
珍し ....
バスを待っていると
昨年死んだお父さんが縄をもってやってきた
電車ごっこの相手を探していると言う
せっかくだから車掌をやることにした
もともと小さいお父さんは
死ぬ前にさらに小さくなった ....
マツモトキヨシの片隅に
僕のマツモトが売っていた
僕のマツモトのはずなのに
どこかちぐはぐで僕には馴染まなかった
僕のキヨシは売っていなかった
僕の、どころか、
普通のキヨシすら売っていな ....
古着の青いネルシャツ、兄に黙って借りた記憶。
もちろん僕に兄はいないし、だけれど必ず返さなきゃ。
鼻がピーピーとうるさいので息を止めて一回死んでみた。
今度は心の声が生き返りたいとうるさいので仕方なく蘇った。
その膜を破ると
きらきらとこぼれ落ちる
母の痛みがうつくしかった。
ぎゅっと身体を縮める
握りしめられないものを握りしめ
抱きしめられないものを抱きしめる
ささやかな抵抗を繰り返し ....
呼吸の出口を塞ごうとした
その光でもあの背中でも
届かなかったと悔やむ間もなく
踵が地面を嫌がっている
誰かのリュックで飛べるほど軽い
夢を抱えても笑わないでね
次のペ ....
問い返すたびに僕が増えてゆく
ジミヘンのファズノイズでもあるまいに
あるいはピンクフロイドのエコーズ
探す程に海は深く遠く風ばかりが吹いている
僕のこころの荒涼が優しく増殖してゆく
....
夏の陽が透ける
柳の梢を見ると
春の桜も紅梅も
心の梢に消えず
秋の時雨を飲み
葛の眺めに風畑
冬の雪雀は凍え
霰の豆を追掛る
昔からコッペパン食べるとコペンハーゲン行きたくなる。
小4の秋、昼休みに裏門から脱走したのも、きっとそのせい。
異国のバーバーで髭を剃ってもらうのが夢です。
僕の髭はその為に生まれ、その日を夢見て生え揃う。
木目に触れてつま弾いてみる
腕にしみる音だった
慌てて左手で右腕を抱く
静かに響きが止んでゆく
無粋ないたずらはするまい
たとえ喫茶店の壁が木目であっても
誰かがベースを弾くように
....
壊れかけた百葉箱の中で眠っている僕の架空の妹
いろいろと短いのに産まれた順番だけで長女になってしまった
安心して眠れるように頭を撫でてあげるけれど
架空だから忘れられていくものがある
....
洗濯物が乾くのを死んだ目をして眺めている男の目が
違う世界を視ているのを私は知っている
夢もハンカチも青もいつか汚れてしまうのを
当たり前に魂が記憶している
向日葵を旗にして歩いていこう
....
いつか何処かで
人は誰でもその身体を無惨に千切られて
灰にされて
風に飛ばされる
そんな
ご不幸を
御愁傷さまですと
何度も見送ってきた
けれど
いつかはきっと
御愁傷さま ....
木立の間にはkたちがいて、
秋の陽のいっぽんの光線を見つめている。
アクビばかりしているけれど、
朝焼けだか、夕焼けだか、
それがわからない。
光線の中にはオレンジ色の微粒子が、
血球 ....
耳鳴りが気になって眠れない
そう言う君の耳に自分の耳を当てて
同じ耳鳴りを聞き続けた
あれしたい、これしたい
語り合う夢はまだまだある
この年になればいっそのこと
実現しない無 ....
雨季、冷たいだけの
椅子に腰
かけて
朝方の蝉が穏やかに
絶滅していく様子を
眺めていました
手を伸ばす
伸ばす手が
その手が
範囲
何も守れない
窓があってよか ....
コンビニのアイスで泣いてる夜が好き君がしあわせになりますように
袖を引く銀紙の星に馳せた朝かみさま許してこの人が好き
裏山の湧き水でできた小さな池に
動物たちの残していった
木の実が沈んでる
私は薬罐に水を汲んで
庭でとれた渋柿を置く
いつか絵が届いたら
匂いをかいでみて
今年もここで枯れ葉 ....
爪から
ほそい光がでるようになってしまった
愛されすぎですね
と
医者が言った
でもだれに?
という問いには答えずに
気をつけてください
光のぶんだけ
影がたまっていきますか ....
雪平鍋に鍛金職人の金づちの跡、沢山。
雪平鍋という雪原に彼らの足跡、沢山。
もし
地球が半分腐っていたとしても
残り半分まともなら
それはそれなりに
バランスは保たれて
朝はやってくるし
日は暮れるだろう
何の根拠もなしに
そう思ってしまう私は
心が千 ....
休み増えても給料歩合 酒は増えても出かけない
端からなにも無かったくせに 失くしたものと想いたい
よどむ曇天どんより映す 病める瞳になにを読む
下手なエレキと下手な詩吟と ....
干上がりかけた沢の縁
山椒魚は怒るまい
ペンケのダムもパンケの家も
知らずに不幸と泣くだろか
ただ生きるのみの今世に
祖父の語つた魚に逢へずとも
謳歌せよと、
忘れられ、た、 ....
少し長めのマフラーを
砂漠の上で
引きずり汚した
誰かの踵だったかも
知れない
何かの予兆なのかも
知れない
ぐるりと見渡す
景色の中に
あなたを置いて
行ってもい ....
書き損じた天気図の余白に
僕らは昨夜見た偽物の夢を書き続ける
筆圧があまりに強いものだから
明日見る予定の夢まで記してしまう
つけ放したラジオから聞こえる
ネジが酸化していく音
そ ....
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