ひっ算を宙に書き、あの子は何やら計算中。
恋の公式を利用して、成就の確率を計算中。
末っ子で、鍵っ子で、角っ子で、隅っ子の僕です。
これだけヒントをあげたんだから、早く迎えに来てね。
もしも今が縄文時代で
そろそろ
肉の備蓄が切れる頃なら
僕はこの冬空の下
ウサギ狩りに出かけるだろう
男女平等が正義というなら
男たちは子宝を守れ
女たちは木槍を握れ
生きるのが精一杯 ....
バラの妖精に恋した
赤鬼の女の子
刺を角にして
ほらバラになったよ
妖精のような笑顔
今も残る鬼の俎に腰掛けて
思い出すのは
今はいない友達のこと
鬼の俎でお昼寝すれば
....
てくてく歩くのに疲れたら、くてくて歩けばいいさ。
道中に見つけた酒場で、ぐでんぐでんになっちまおうぜ。
祖父の名前をふと思い出して
口にしてみると
聞こえてくる祖父の名前がある
祖父は他界する間際まで
新鮮な毛布にくるまれ
駆けつけた親戚たちは
その周りで酒や水を飲んだ
酒も水も飲めな ....
トウモロコシに憧れたので
トウモロコシになりました
さらりとそう語れたのなら
カッコいいかもしれません
でもそういうわけではなく
トウモロコシに生まれ育ち
トウモロコシになりました ....
目の前の
馬鈴薯と玉葱の炒めものは
たった一枚の皿であれ
時と所により
どれほどの幸いを、もたらすだろう
あなたが触れたものすべて
花になっていく
花粉が涙にとけていく
人生は花壇を繰り返し
つくっているようなもの
墜落した紙飛行機が海に沈む
無人の自転車が男を追い越していく、と
男は置いてきた遺書の誤字に気づき
慌てて家族の待つ家へと帰る
妻は夜更けまで
サマーセーターを編んでいることだろ ....
今の今迄一緒に居たような気がするが
もう面影が思い出せない
誰だったのか
そんな風にして何と無く
かなしいようなやさしいような
記憶にならなかった経験の
ふわふわし ....
バレッタを留めた君の髪の毛が
よそ見をしながら遊んだ日
うなじの模様に惹かれたら
心にも同じアザができてた
痛くはないけど少し恥ずかしい
こんな気持ちのままじゃ帰れない
いつまで待てるだろ ....
あ オチタ
あ オレタ
あ コロガッタ
あ キエタ
もう 何も無い
ただ 結果だけが
自由な行為の結果だけが
ひろくひらき広がっている
高曇りの薄白い空の許
モノクロームの大 ....
通販番組のトマトは未だ切られたことに気付いていない。
事件は既に発生しているのに、この国の警察はまだ動かない。
おそらく
この自然には同じといえる
事象はありません
天国と極楽が違うように
希望のシャロンに
輝く未来は到来しないように
惑星は遊覧する
遊ぶ湖は波紋を広げる
目の星が言葉少なくなる
星の磁場が狂う
森の前に立ち尽くす
十階であると下を覗き込む
君の名前を読むことはない
石碑に歌の跡が残る
写真を撮る
....
パンはもうすぐ焼けると思う
夜が来たり
雨が降ったりする
人間の気持ちを傷つけたくて仕方がないときがあり
着替えて
街を廻る
そんなふうに
蓋をして
砂みたいになっていく
....
出題例:パンはパンでももう二度と食べられないパンは?
解答例:あの子がトングで配膳してくれた給食の揚げパン。
水色の列車の走る音がする
たいせつな、変なわたしの恋心
夕焼けが人の涙のなかにある
和音の順番で開く身体が
ほつれた傷口を差し出す時は
ウサギの林檎が心臓になる
抑えきれない声が震えるほど
耳を揃えて蘇る気持ちを
足したり引いたりしながら育ち
出口へと導いてくれた
夜明 ....
家に帰ると
母がひとり
猫背になって
ゲームをしていた
昔
この部屋に
子供が集まって
みんなでゲームをしていたなって
なんとなく思い出し
急に泣きたくなった
叶わなかった人を呼ぶ名前に
瞼を腫らす涙が
膨らんだ蕾のような思いを
逆さまにしたままぶら下がってる
まつ毛の上の蜃気楼に
擦り抜けてしまう人の身体を
いつかは触れて覚えていたいよ
永遠 ....
木立ちを抜けていくのが
私たちの木立ち
だからすっかり抜けてしまうと
教室がある
先生は、と先生が言うと
先生は、と復唱する私たち
やがて始業のチャイムが鳴り
つまりそれは
....
プレパラートと実験室
ハサミの形をしたコウモリが
逃げ出した。
そいつは
闇に馴染みながら、
すいすいと夜を裂いた。
研究者たちは
議論するばかりで
探し出そうとは
しなかった。
....
つづら坂のてっぺんが赤く燃えて
曲がり角のそれぞれに暗がりが生まれる
それがくねくねと蛇のように眼下の町へ
影法師が一組
手前の角の煙草屋の暗がりからあらわれて
穏やかな夕日にそっと目を ....
ひとつの風景の動きが
瓶に詰められてゆるやかに
はっこう、していく
風景は酵母となり詩情とざわめき
月明かりが窓から注がれて神々の手が
攪拌を始めれば乳白色の神話の海になる
言葉に ....
風が語りかけます
という詩的なフレーズからも
白い饅頭しか連想できない
埼玉県民の悲しき性に
想いを巡らせつつ
北風に逆らってペダルを漕ぐ
世の中とちょっと
気が合わないだけの今日
お腹と背中がくっついて薄い紙切れとなった僕。
北風に天国へ飛ばされ、祖母のぼた餅が食べたいな。
時間は止まらない
止めてから
後に戻せない
だから
後悔が生まれるんだ
時間はなくならない
人それぞれに与えられた時間が
日々目減りしてはいくけれど
足らない
足らな ....
見えていないから指先に触れて
輪郭を描く
知りえないものを
自明と思い込み
書き足さなければならない線など
もうないと
絵の具を塗る
好きな色
みなさんにお馴染みの色
私だけに
見 ....
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