いつもはわたしが列車を待っているのに
今日は列車がわたしを待っている
ホームにたどり着くと
列車たちは次々と
わたしの中に乗りこんでくる
発車を告げる音楽が鳴り止む
いつも列車 ....
 
 
薬が切れて震える父を
抱えてベッドに寝かせる
布団のしわなどが気に入らないと眠れないので
抱き起こし、位置を変えてまた寝かせる
そんな作業が延々と続く
父にとって毎日の睡眠とは
 ....
君は幻 夏が翳るから 僕は無口になる つまさきに
触れる空気が気怠い 何処かで 水の揺れる
気配がする 裏庭に ひそむように 羽黒蜻蛉が
息づいている 白い空に 百日紅が 凌霄花が
浮かんでい ....
人の気持ちを量ろうとした
わたしは許されてはならない存在

持病か仮病かわからない
肉体か精神かわからない
弱気になったわたしはきみにコールする
待ち合わせの三十分前
「やっ ....
 
 
01
図書館にパンが落ちていたので男は拾って食べたのだが、それはパンではなくムカデの足だった。

02
図書館の大砂漠で遭難した司書は一週間後に救助され、その翌年には大統領になった ....
曇り空のしたを歩いている

電車に乗っている

お客様に挨拶している

仲間にメールしている

六月の闇は深くなる

雨に濡れた髪はひじきになる

宇宙のからくりをふたつ考える ....
プール開き
カタパルトからどぷんと
ことばのプール
中で深呼吸できたらいいのにね

流れるプールは円環の
ようでいて誰も全周を知らない
自分が水に触れているのか
触れられているのか
 ....
   人でなし

森が忙しく葉を揺らす
カッコウが巣の上で木々を見渡していた
小石のような小鳥の卵を
一つ二つと落としていくのだ


真ん中に一回り大きな卵を産むと
愛しむこともなく ....
公衆浴場のぼんやり広がる湯気の中
いろんな裸がごろごろしている
あたしだって そう
ひとつの肉の塊に過ぎない
すべる足元にご注意を――――
それにしてもここの照明は明るすぎます
 ....
ある原始人は
暦に逆らい
若作りをした

ある原始人は
暦に逆らい
絵を書いた

ある原始人は
暦に逆らい
ダイヤモンドを作った

ある原始人は
暦に逆らい
電気を作った
 ....
 
ファミレスの床に
男の人が倒れていた
可愛そうだったので
メニューを見せてあげた
チキンドリア、とだけ言って
男の人は息絶えてしまった
警察やお店の人が忙しくしている間
僕はハンバ ....
浮いた光は気まぐれに運ばれているのか
それとも決まった順路を漂っているのか
ただ、示されたとおりに視線を動かす

乾きから守ろうとする瞳は水の膜を張り
鮮明だったはずのものがぼんやりにじむ
 ....
{引用=群をはなれたライオンと
群にはぐれたシマウマが

サバンナの真ん中で出会った

孤独で飢えたライオンと
恐怖に満たされたシマウマ

見つめあう両者は
お互いを理解 ....
 
 
「鼻が長かった」彼女は言った

「ゾウみたいだね」僕は言った

「ううん、キリンみたいだったわ」と彼女が言うので

「首も長かったんだ」と聞くと

「歯がキリンみたいだった ....
{引用=わたしの家は 田んぼの田の字の真ん中にたっていて 画家が住んでいます
誰も彼の姿をみたことはないのですが 彼は確かにいるのです
どの故郷にも どの町にも どの家にも 彼は必ずいるのです}
 ....
                     080504


戦争すると儲かるのです
弱い人は、ほっといてもすぐに死ぬのです
お金をかけるのは無駄なことです
老人は、65歳を過ぎたら
乳 ....
花がいままさに
ひらかれようとしていて
うたが人知れず
うたわれていても

読みかけの本の
頁がひらかれて
そのつづきが
つづかれてある言葉が
読まれようとしていても

なおもひ ....
やがて雨がふり
話はつき


花のひとひら
散るだろう
 
母とふたり
二両編成の列車に乗った
並んで座った
心地よい揺れに眠くなったところで
降りるように促された
小さな駅舎を出ると
一面のキリン畑だった
みな太陽の方を向いて
長い ....
             090302




新しい親戚がやって来て
遠くの景色が良く見えるから
うちの新築のベランダに
登ってみませんかと
自慢をしたいのか
それとも人見知り ....
今月の「ぽえとりー劇場」のオープニングでは、 
一年前に世を去った詩友の快晴君に 
生前Ben’sCafeで会った時にもらった 
ホチキスで束ねた詩集から二篇の詩を朗読しました。 

 ....
憧れのギタリストの趣味は釣りで
彼の憧れはある釣り師だ
ヒーローにもヒーローがいて
みんな誰かと2ショット撮りたがってる

ピースなんか決めて
口角をずるりと上げて
夢の世界で居眠り
 ....
 白い霧の海が
 みつめている
 囁くように
 
 「この道を歩きなさい
 だけど未来は保証しません」

 誰かの
 冷えたことばを
 思い出す

 眼下に広がる東京湾は
 白 ....
 
 
石積みの朝
陸橋はその歪んだ影を
路面に落とし
昨日までの工程を語り終えると
あなたは静かに
最後の生理を迎えるのだった
 
+
 
足音が擦り切れていく
あなたにとっ ....
飛騨小坂に
帰りました。

小坂川を
見に
行ってきます。

翡翠色の川
ほとばしる
瀬と

真っ黒い
たゆたう


そこに
身を投げます。
私は
川の中で
暮 ....
懺悔をしたいのです
普段は書く事もない漢字ですね
ペン一本で世界を変えてきた私の
言うことですから信じないで下さい
けれどもこれまで嘘をついて来たことを
皆さんに懺悔したいのです

ほん ....
 
裏木戸が
閉じたり開いたり
冬の言葉で話してる

積もる
雪の音以外
何も聞こえない
意味の欠片さえ

さくさくと
家に帰る足音が
遠くからやってくる
もっと遠い
何処 ....
地球にしかと立つためには
地面を脚で押さえなきゃならない
だが地面は無言で突き放す
さみしい宇宙に放り出されたくはない
必死でまた押さえ続ける
かくして重力は成立する


冬の朝
 ....
昼過ぎ

しっとり

水気のある

部屋に散らばった紙の感触

窓の外は

濃い緑さえもぼかす

真雨の国



タチアオイは

潤った その花弁を

桃色の羽 ....
「目線を一歩ずらした所に、詩はあると思います」 

何年も前の合評会で 
今は亡き講師のMさんは 
僕に云った 

仕事帰りの夜道を 
車のライトで照らしながら辿り着いた 
深夜の飲食 ....
AB(なかほど)さんのおすすめリスト(2382)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
川面- たもつ自由詩809-8-18
祈り- たもつ自由詩2109-8-17
翳る夏- 塔野夏子自由詩4*09-8-17
病い- 百瀬朝子自由詩7*09-8-12
図書館物語- たもつ自由詩3109-6-26
曇り空が好きな心- 吉岡ペペ ...自由詩1009-6-22
踊るミクロラプトル/ことばプール- 海里自由詩209-6-22
ふさわしい言葉- 千月 話 ...自由詩8*09-6-22
パブリック・バス- 百瀬朝子自由詩7*09-6-22
タイム無視- 麻网自由詩209-6-22
手遊び- たもつ自由詩909-6-19
ほたる追い- あ。自由詩17*09-6-19
「シマウマとライオン」- ベンジャ ...自由詩4*09-6-15
キリンの歯- たもつ自由詩709-6-15
田園パレット- 夏嶋 真 ...自由詩19+*09-6-8
大後悔時代- あおば自由詩4*09-5-4
焚書- 岡部淳太 ...自由詩1009-4-28
水中花- 佐藤伊織自由詩2*09-4-25
水の記憶- たもつ自由詩1609-3-16
とおい水- あおば自由詩8*09-3-2
風になった友からの伝言_- 服部 剛散文(批評 ...509-2-26
ピース- naru自由詩209-2-25
『霧の海』- あおい満 ...自由詩5*09-2-25
工程- たもつ自由詩2209-2-24
もう、その日は明日です。- じゅらい ...自由詩409-2-24
創書日和【嘘】_告白- 大村 浩 ...自由詩9*09-2-1
裏木戸- 小川 葉自由詩809-1-15
あなたは優しいから- ゼロスケ自由詩409-1-15
雨の国- ローザ自由詩309-1-14
幻ノ花_- 服部 剛自由詩509-1-14

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