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レタスの先端
心音のひずむところ
温度の終わりに
少し触れる
つめたさ
教室みたい 、
と思う

穏やかな湾の入口を
句読点が航行する
健康的な食事
その後で
わたし、 ....
卵を割ると中には
砂しかなかった
食べ物を粗末にはできないので
そのまま火にかけると
砂の焼ける匂いがする
今ごろ砂場では妻と娘が
いつまでも完成できない
卵の城を作っていること ....
中華料理を食べそこねた兄が
急行列車で帰ってくる
僕はまだプールの水底で
習字の練習をしている
兄は僕より背が高く
顔も様子も似てはいないけれど
よく双子と間違われた
習字のはら ....
ほつれていくテレビに
故郷が映った
見慣れた橋や川面の姿
人も映っているけれど
ほつれていて
よくわからなかった
会釈くらいはしたかもしれない
そう思うと
雨の音が聞こえた
 ....
じゃあ、ここで、と
出張の帰りに送ってもらったのは
田舎の淋しい駅だった
上りの列車は発車したばかりで
あと小一時間ほど
待たなければならなかった
他に誰もいないホームには
 ....
とおく
らいめい
また
いのちにもどる
そうきめた

+

よりそう
じしょたち
きょうは
ことばの
おそうしきのひ

+

しずかな
かみのね
おわらない ....
わたしの部屋にいた蝶々が
飛べない蝶々が
ある日、自分でドアを開けて出て行った

かわりにあなたが入ってきて
二人で話をした
楽しい話をたくさんした

けれどそれはきっと夢で
 ....
テーブルの上に眼鏡がある
隣に空き地がある
あの頃は雲がすべてだった
そして二人の黒板は溶けて消えた
 
 
+
 
 
シャワーは壊れた
兄は一人で展開図を描いている
 ....
昨日の末から断続的に
小さな一年間があり
天気の名前を作って
折り畳んでいく
優しい、誰かのために
二言三言の伝言と
朝用の傘を残しておいた
雨の中身が水になる瞬間の
映し出さ ....
雲は消えると
雲の墓場に行くんだよ
とあなたは冗談を言うのですが
本当に墓場はあるんだよ
雲はそう言うのです
それはどこにあるのですか
ほら、そこだよ
雲は指差そうとするのだけれ ....
陶器市に行きました
人や犬がいました
いろいろな色や形に
溢れていました
とても手頃なお値段だし
お金がないわけでもないけれど
何を買っても
わたしのものには
ならない気がしま ....
あなたを音にする
わたしも音になる
狭いけれど
小さく響き合う
梨の実のように
透きとおった瞼に
指先で触れてみる
それだけでもう
抱きしめている

古い通り
澄んだ廃屋 ....

玩具のミニカーに乗りたい、と
息子が言うので
助手席に乗せてあげた
エンジンが無いと動かない仕組みを
なるべくわかりやすく伝えた
息子は勉学に励み
大人になって
ミニカーに ....
手はさわり
落ちていく
あたらしく
たどりつく波
その波のかたち
平日の空気を
涼しい寝台特急は泳ぎ
車体を残して
溶けていく

あなたは積木の
手本をしている
手は繰 ....
観葉植物に餌をやり忘れて
餌はやらなくていいんだよ、と
言葉で教えてくれた人がいた
階段のよく晴れた踊り場のあたりにも
エタノールの匂いがしていて
その間、何本かの準急列車に
乗り ....
試着をし続けている間に
ぼくらはすっかり
年を取ってしまった
兄は定年退職を迎え
父と腹違いの叔父は
ベッドから起き上がれなくなった
会津に帰ると言って聞かないのよ
叔母が愚痴を ....
ひとつひとつ
背中が消えていく
街は少し
そのようなところ
空っぽのエンジンを載せて
車がいつまでも
変わらない信号を待っている
きっと
そのようなところ

駅前で酔った
 ....
水管橋に降り注ぐ光
何がしたかったの
わたしの腕も指も
多分、人より短い
変わっていく時間は
変わり続けて
気がつけば
アパートばかりが
目立って増えていった

あなたを思 ....
水槽のところで約束をした
真昼のすん、とした感じ
色違いの飲み物を二人で飲み
明日も天気はあるのだと
なんとなく思えた
歩く速度で歩くように
わたしたちは笑う速度で笑う
許したこ ....
冷蔵庫が音もなく
坂道を転がっていく
薬屋の坊やがその様子を見て
花の名前を口ずさむと
雲ひとつない青空は
木々の亡骸を歌う
むかし此処いらに
小さな書店があったことなど
思い ....
植物の中で夜が育つ
水の名前を呼べば
脈打つ石造りの平原
素の風が間もなく
インク瓶の縁に沿って
眠りにつく
木造の旧家屋その皮膚に
愛していた人
鉢植えだけが増えて
遺伝だ ....
暗闇の中で働く
囁く
声と指は一定の距離が保たれている
そのために肉体がある
肉体のために空港がある
滑走路に置かれたピアノは
調律が三時の方向にずれたまま
夜明けの離陸を待っている ....
月の工場で生産された蝸牛が
地表に降り積もっている

渡り鳥の真似が得意なのに
飛ぶことができないわたしを
鳥たちは連れて行ってはくれない

夜明けとともに
蝸牛は溶けてしまう ....
草が草の記憶を語りだすと
風の結晶はふと風に溶けていく
掌で温めていた卵が消えてしまった時
わたしは初めて言葉を知った
その日の夕方
新しいベッドを買ってもらった
感謝の気持ちを伝 ....
たかし、遠方から、そして正座
つまり座る
たかしは姿よし
声量よし、の、よし子さん
折角なのでよし子さんについて
(暫しの回想
(これまで三回よし子さんに会ったことがある
(三回 ....
窓の外からプラハの音がする
かつて愛していた人や物も
眠たい砂鉄のように
廃屋に降り積もっている
少し押し込むと
そこで手触りは行き止まり
肉体は肉体たちのメニューとなり
旧市街 ....
カニ味噌を泳ぐ
珍しい形のしゃもじが
私をご飯にする
世界、と口にしてみる
人口よりも多い
イクラを数えながら
父は余生を送った
美味しかった、とだけ
書かれた遺書を見つけて
 ....
話をすればそれらは
すべて白紙になる、例えば
真冬の薄暗い水面を航行してきた
一艘の空気自転車が
小さな港に着岸する
凍てつく畑を耕す幼いままの父や
瓶の底に落ちていく身体
擦り ....
雨が降っている
雨だと思う
すべてが細くなる
無い言葉
はずれた草花
消えていく庭は
町工場のところで
途切れてしまった
ノートの中にある
わたしの罫線
罫線に隠している
 ....
天道虫畑の朝露に
濡れながら
もうすこしできる話が
あったような気がした
痩せ細った夏草の礼儀正しさ
わたしはすっかり
風邪をひいてしまった
少しずつでも構わない
そう思ってい ....
AB(なかほど)さんのたもつさんおすすめリスト(232)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ぽえむ- たもつ自由詩10*24-1-5
卵の城- たもつ自由詩9*23-12-28
気泡- たもつ自由詩9*23-12-9
テレビ放送- たもつ自由詩11*23-12-3
無人駅- たもつ自由詩423-11-29
あまやどり(手帳の断片より)- たもつ自由詩823-11-26
とあるわたし- たもつ自由詩7*23-11-20
四行の駅- たもつ自由詩2*23-11-18
躓き- たもつ自由詩823-11-15
雲が消えたら- たもつ自由詩423-11-8
陶器市- たもつ自由詩423-11-6
愛おしい- たもつ自由詩423-10-26
落とし穴- たもつ自由詩723-10-22
積木- たもつ自由詩723-10-19
夏の予定- たもつ自由詩7*23-10-15
試着室- たもつ自由詩723-10-12
街路樹- たもつ自由詩423-10-8
- たもつ自由詩623-10-2
肩幅- たもつ自由詩12+*23-9-23
風景の終わりに- たもつ自由詩1123-9-10
鉢植え- たもつ自由詩823-9-7
夜勤- たもつ自由詩10*23-8-31
渡り鳥- たもつ自由詩7*23-8-28
待合- たもつ自由詩12*23-8-23
正座のたかし- たもつ自由詩3*23-8-18
プラハの桜- たもつ自由詩5*23-8-13
美味しい食事- たもつ自由詩7+*23-8-10
空気自転車- たもつ自由詩12*23-8-6
落書き- たもつ自由詩15*23-8-3
夏風邪- たもつ自由詩523-7-30

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