(一)すべてのものは
日が翳っている
四月は末日
冷たい図書館の
その片隅で
ある日、男が生まれ
ある日、死んでいった
たった二行の
歴史書が
誰にも読まれること ....
わたし
ごくつぶしの耳鳴り芳一と
反転した橋の下
こうもりみたいな夜を過ごす
森の、もっと森の方
ただのニレだったという屍が
糸を引いて地面に伏せるまでの時 ....
街中ですっ転んだ
視界にあるのは人の脚
何事も無かったかのように通り過ぎる脚
立ち止まってこちらに視線を投げかけている脚
スーツの脚
ジーパンの脚
スカートの脚
ルーズソック ....
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