香ばしい匂いがして
私を育ててくれた人が
パンになってる
押せばふかふかするくらい
焼きたてだった
少し離れたところに
積まれた下着に向かって
丁寧にお辞儀をしている
どこが手か足 ....
道路に燃やした黄色い花が夏を点灯して
遠方の優しい風は透明であった
そこに震動して遠くに人々の足音が停止したときに
枯れ始めたという即座の真実
汗に濡れた頬の上で見られたどんな意味も ....
透明な空にそっとストローを差し込んで
ちうっと吸ってみたらば
なんとも言えず暖かな味がして
僕は悲しくなった

空よお前はそんなにも
人恋しいのか
なんて思って

優しくなんてしてみ ....
壁には緑十字。
せわしなく響く電子音、明滅するランプ。
工場で人を動かすものは。言葉以前の。

  *

あぶらぎったシニフィエが
タンクになみなみと揺れ。
それは銀色の極太チューブに ....
朽ちた栗の切り株のそばアシグロタケ
硬くて喰えないのだけど
それなりに旨いダシがでるらしいので
ちょいとひっくり返してみたら

みたことのない黒い甲虫がいて
鮮やかな赤い星を背負って
せ ....
私の部屋の金魚鉢には
金魚が一匹いる

金魚鉢を見ていたら
すうと引き込まれて
泳いでいた

涼しい青い水の中
緑の水草ゆうらゆら
赤い尻尾はひいらひら

たくさん泳いだら
す ....
目が覚めると夢の中で
あぁ、いつもの繰り返しだと
ポケットから湿気った溜息を投げ捨てる
夢の中はぼくの世界と何も変わらなくて
ただ一つ違うのは
誰もぼくを知らないってこと
誰もぼくを知らな ....
さびれた歩道橋の上で
夏を見上げると
空、空 
本当に海まで続いているのだろうか


この橋の下を流れる車の群れが
緩やかな河口付近の川だったらいい
時折陽射しに煌めくヘルメットが
 ....
カタカタ文句を叩き出す
ワープロ小僧のお兄さん
両面印刷済んだので
ホチキス探してやって来た

針がないから
打てないと
苦情を聞いては
箱一杯補充する

プリンター
紙 ....
有頂天の
天に
頭をぶつけて
いつも
落っこちます
かわいた南風
空は澄んで
ニイニイゼミが賑やかに
白い雲がゆったりと流れて行く

小笠原高気圧が居座って
台風も避けて行ったのだ
誰も居ないから
力強い風音が頭上を走り
誰もが高 ....
わたしの手に
あなたの手が住み
眠り、少し起きて動くと
くすぐったいものが
わたしの中に届く

汗をかいて
わたしもうっすらと汗をかいている
守らなければならないのは
こんなに小 ....
ファッションなんかには
まったくと言っていいほどに
興味がない。

ファッション雑誌に金を払うなんて行為は
馬鹿げていると、思っている。

いまどきの話題なんか
ぜんぜん知らなくて
 ....
豊かなくにの人々は選り好みをする
もともとは貧しかったものだから
それを遠い昔に捨てるため
それとともに
薄れてしまったものが在ることを気付きもせず
豊かなくにの人々は



ある気 ....
許せない と
思った心を許そう

あなたの償いは もうあなただけのものじゃない
6月4日リアルタイム会議室Aにて。
{dl}
{dt}遊羽 [1:32:31]{dd}けんご→遊羽→片野→oldsoup→あをの→焼石→翔太郎(敬称略)

{dt}けんご [2:05:39]{ ....
誰もこない部屋で
ひとりで待っている
時間がじりじりと
過ぎて
短い一日がおわり
部屋の前を通過する
人の数を
ため息の分だけふやす

月がのぼる

部屋を抜ける風に
カーテン ....
薄っぺらすぎてまともに歩けないくせに

ことばの無駄毛ばっかり気にして前に進めず
何もわからず ポロポロこぼしてばかり
これじゃただの泣き虫だね 

追いかける毛むくじゃら

また泣い ....
ぼくの家はアンソニーの家の
となりのとなりにある
掘っ建て小屋にしか見えない
ソレだけれど、
アンソニーは気に入ったようで
よく遊びにくる

アンソニーは旅行が好きで
宮城県仙台市*に ....
息を吸って
息を吐く
そんな簡単なことが
あなたは
出来ない

笑いあう
謝る
手を振る
おじぎする

そんな
簡単なこと

(わしの仲間は
(戦争で
(みんな死んだ
 ....
埋もれては きえてゆく 冬は にごりながら 春を むかえに 風は ふく
日にひに とどく たよりほど 待ちきれないと 知ってか 知らずか 風は ふく
われわれのうちの多くは、自分の脚でいろいろなことを行う。
走り、跳び、ボールを蹴り、時には自分の頭より高く脚を振りあげたりもする。
だがこれらの動作はまず、「歩く」ということが出来なければどうにも ....
筆先で湛えきれず
液体が
ぽたり、ぽたり、と
滴るので
両の掌をくぼませて、ふくらみをつくり
上向きに 
すこしかさねて
それをすくおうとしてみるけれど
わずかな隙間を
液体はすりぬ ....
見つめる壺に潜むとろみは
触れてみずにはわからない と唱える

これはただ 頭の裏を回る塗り箸が
キリンの模様に塗られていくのと
同じ速度に揃えるだけだと 
何度言ったらわかる

好き ....
どうして一人で
いるのですかと
君の言う

刻の砂時計
わたしのだけが
詰まってるんだと
我の言う

どうして時計は
詰まるのですかと
君の言う

淋しさゆえの
あやまちだ ....
あなたは曲線で出来ていて
髪の毛
しなる腕も
無駄のないポオズ
その
なだらかな曲線を
ていねいに
なぞって

あなたの
曲線とは裏腹に
こころには
ちいさなささくれが
いっ ....
むかし美少年の
みつねくんと
あやしい遊びをした
梅の木に今年も
梅の花が咲いた
春を見つけました
せせらぎに浮かべてみたら
揺らぎながらも川下へ
ゆき先は
広い海だそうです.。
「私がおばさんになっても」と森高は歌った
ついこの間のことのようだけど
もう十二年も前の話だ
その年に僕らは結婚した
つまり、僕らが結婚して既に十二年たった
ということだ

僕は一度、交 ....
君があの子の話をする度に
僕の胸の奥底に一輪
黄色い薔薇が咲く

全て君に
摘み取って欲しいと
思うけれど
云える筈もない
咲き乱れる
薔薇の香りで
噎せ返りそうだ

今宵も
 ....
AB(なかほど)さんのおすすめリスト(2376)
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黒い針金- 佐々宝砂自由詩706-8-6
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