二人でいつも
放課後を探した
教室のカーテン
裏から見える世界は半透明で
人が踊るには丁度良い
誰かが食べ残した
ドーナツの穴を潜り抜けて
知らない場所まで行こう
セーター ....
底浅の透き通った水の流れが
昨日の雨で嵩を増して随分と濁っていた
川端に立ってバスを待ちながら
ぼくは水面に映った岸辺の草を見ていた
それはゆらゆらと揺れながら
黄土色の画布に黒く染みていた ....
わたしが死んだらねわたしのお骨を砕いて毎日たべてね
とおかあさんは言った
わたしに根を下ろし生きたお墓にしたいおかあさん
でもね
わたしはあなたの土じゃないの
あなたが赤ちゃんを産んだら ....
一時間ほど止まないかもしれない
路面に跳ねる雨しぶき
ショッピングセンター出入り口の側
売り場フロアーから流れてくる冷気で落ち着き
ふと 気付くと
丸みのあるヒップラインの高 ....
生はうたた寝の夢
死は深い眠りに落ちること
起床ラッパで墓から出でる
そうでないならそれもまたよし
辻に立つ風
霧雨をまとい
枝をくぐった
ツグミの声に
....
メルカリで買った言の葉を煮出している間に君への手紙を書いている
春という暴力に曝されながらも何とか眠らずにいるのは君が好きだからだ
君が好きだからだ
ガラスの水滴が互いに引き寄せられるように ....
うとうと しちゃった。とか
今のうちに うとうと しとこう。とか
わざとじゃなくても わざとでも
うとうと って
最高の離脱タイム
僕のおじいさんが名人だった
おじいさん
いまじゃ僕 ....
壮麗な科学技術の夜明けまえ
ボクとあなたが苺の関係だったということ
そのことが不可解な生き方に付加価値を付けてボクの証明につながり
つなぎ合わせのリボンを引きちぎる獣たちの姿を予見し ....
瀉血に対する憧れは
その響きと
書くには難しそうな漢字と
血の生臭い鮮やかさが
感じられるからであろうか
一昔前の浪漫さえも感じられ
心のもっと奥の方から
じわじわと地味に沸き立つよ ....
ほこり
砂粒
いとくず
羽毛
ライ麦パンのかけら
消しゴムのかす
書き損じた紙くず
こぼしたミルクの薄い被膜
三日月の形の爪
開くことなく死んだシンビジウムの黄色の蕾
裁縫の針の銀 ....
表札が「木戸」とある
ここで きみはご飯をもらっていて
今日も玄関先で眠っている
この間は玄関ドアの傍に並んだ鉢植えに身を寄せて
うずくまり日なたぼっこ
きみの瞳が小路へ向い ....
駅から家までゆっくり歩いても20分のところを
疲れ切ってしまっていてタクシーに乗った
途端に
意識が朦朧としてしまったら
途中で何人かの人が乗ったり降りたり
乗り合いしてきたのだが
顔 ....
鳥かごみたいな
カバンの中に
大切な本を
持ち歩きたい
部屋の隅で
広げた世界を
丁寧に折り畳んだ
それはまるで
スカートの裾を
抑えるように
風の誘いを断った
カバ ....
ヒーローは助けに来ないと悟った子
ヒーローはいい詩を書いて眠りたい
ヒーローの浪費はやまず所詮文字
もじもじしやがってこのと君の言う
ヒロインの位置は固いぞ気を強く
昔日の月が散って惜しいと思う
神さまはいつも夕暮れ時の夢
晴れた日を青いレターに貼っていた
膕で摑んだボール(或いは月)
空っぽの私ひとりじゃ笑えない
....
同調圧力は弱いようだ
承認欲求も薄いよ
ところで
耳かきと詩作は似ていると思いません?
ふとした快感・・・ 「ふと」 いい響きだ
情報と金が大海原で泳いでいる
ぼくは釣りはしない
そ ....
斜光が
百万光年の
斜光が
赤々、
街道沿いの
植木を
染め
もう夕暮れ、
道端に座り
さっきまで
哭いていた神様、
その陶器の肌のような
豊穣な涙に
自らの透明な輪 ....
「太陽の寿命は100億年くらいです」
「ニュージーランドも核攻撃を受けることがあります」
あたしたちの体は原子によって作られています
ノートや鉛筆星や銀河に至るまで
すべて原子でできていま ....
私たちの地下鉄は地下を進む
地下を進むからいつしか
地下鉄と呼ぶようになった
図鑑で虫の名を当てて遊び
折にふれ季節の果物を食した
軋む音、擦れる匂い
鼓動と呼吸の合間を縫って
....
無理をせず好きな仕事に精を出す好きだからこそアイデアも出る
あと少し時間が経てば冬になる気象予報士くしゃみ三回
遠くても買いに行きたいクロワッサン直ぐ売り切れる人気のパン屋
ダム底に ....
肌と肌
擦れ合い
デコルテに
爪痕を残す
なんてことのない
ここは魂の坩堝
外は風が冷たい
冬の終わりに
また交われた歓び、哀しみ
背中にまとわりつく
不快な重み
正体は知ら ....
あこがれたいから 遠ざけた
見つけたいから 目を閉じた
伝えたいから 口をつぐんだ
信じたいから うたがった
抱いて欲しくて 裸になった
開いて欲しくて 扉を閉めた
....
職場に新しく入った女性が
自己紹介で
シングルマザーです
結婚は卒業しましたと言った
マイナスポイントを
プラスに紹介したつもりが
結婚している人を敵に回した
あたしら卒業できない
....
失敗ばかりした
分析などしない
理由は幾つもあるから
その割れた風船を
腰に結んで
風を待っても
飛べるはずがない
この先
過去に戻れなくても
忘れ物はしたくない
だか ....
不定形の想いの
崩れるその先には
俺にはまだ解らぬ
謎だらけの轍が
埃を被っていた
誰にも知られぬまま
涙枯れ果てて
叫んでみたって
誰も追いつけぬ
肋を急くだけ
何故だろ ....
駅からの階段を降りると
小さなバスターミナルがあった
植込みか歩道か曖昧なあたりで
蟻たちが作業をしていた
バス乗り場は三番線まであって
各所に行けるらしい
一番線から総合病院 ....
これといって単調だったのに、星屑のシャキッとした鉱石が歩いてきて、すこしくろい、やや憎まれずの口からでるスライスカッターに皮膚を裂かれていた。鉱石はひぇんひぇん涙をながし、憎まれずは拗ねて勉強をはじめ ....
影の尾が地に触れ
うたっている
忘れかけていた蒼が
目を馳せる
特別に
彩られているはずだった
その衣は
どの空を刻んでいるのか
手のひらは白く ....
新しい温泉施設不人気で経営者が変わると噂
漬物があればおかずはなくていいそう言えるほど飽きず美味しく
暖冬になるという人その逆も冬将軍の眼力強い
欲しいもの聞かれて何も答えない「健康 ....
○「男と女」
男は
笑ってくれる女を求めているが
女は
笑わせてくれる男を求めている
○「少子化」
欧米人の
お尻とおっぱいには
いつも驚かされる
われわれとは繁殖力が違うような ....
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