弟のいない食卓に
仕事前に母がこしらえてくれた家庭の味がのっている
机の引き出しには
計算機やペンや定規が整然と片付けられたままだった
真実、を知りたければ
代償をは ....
ああ神よ
宇宙をつくりたまいし存在の番人よ
あなたの法律は
絶対ではないようです
簡単にやぶれるし
少々がんばればゆるしてもくれる
神よ、俺のいちばんの親友よ
....
ゆるすからゆるされるのだ
ゆるさないからゆるされないのだ
あたしをひきちぎる
あなたのひとみ
にんげんみたいなぬいぐるみ
悲しみのピアノ
短調の和音
ゆび ....
バケツに砂を入れてひっくり返して
ケーキ
おチビがスコップでぐさぐさぐさ
さして
遊んでいる
私は土いじり 癒されている
小春日和
桜を迎える心支度でもしたい
お兄 ....
昨夜の夕飯に頭と骨だけ残して食べた魚が
ゆうゆうと空を泳いでいる
綺麗に身だけ食べられた魚のみが
泳げる資格を与えられるので
私たちは神経質に箸を使う
骨の魚にはもはや天敵もいないから
....
今朝、新聞で見た6文字
「帰還困難区域」
関係ない人だというのに
ふと、ふうっと、ため息が伝いました
だれかの家に残された
食器や、棚や、ドアの傷
スーパーのビニール袋や、プラスチ ....
しようと思ったこと
先延ばし
しがちなんです
ワナドゥ
あれやこれや
考えてる内
夜
あっという間
こんな繰り返しなのかな
そんなもんなのかな
独り在ることに触れいく冷気かな
気は動き沈黙のうちに充ちるもの
陶然と我独り在り静かなり
わたくしは人体模型の友人です
父さんと音楽室で餅を食う
頼もしい視力2.0の図書委員
大丈夫この学校は奇跡的
春が来て静かに笑う校長先生
次の面接は
猫の事務所
氷河期だから
買い手市場だ
面接官は三匹
目つきの鋭い黒猫と
まだら模様の虎猫
そしてスラリとスタイルのいい
ペルシャ猫
お土産のつもりで持参 ....
20年遅刻して
保育園の大運動会「おゆうぎ大作戦!二番煎じはズタ袋」の
スタートラインに立っていた
多分寒すぎて目が覚めたのだ
鈍感すぎてわかんないけど
雲がどよどよ流れて月も星も全く見えな ....
時々 遠くへ行きたい気持ちになる
誰も知らない所へ 行きたい気持ちがする
電車に乗ろう
中央線に乗り込むのだ
寒い八王子を出て
霧の立川を抜け
雨の吉祥寺を過ぎ
暑い新宿を超える
....
別れの手紙が届いて
窓ガラスの凍った朝に
きみは家を出る
食器も家具も置いて
チケットを握り締めて
雪の馬車に乗る
ここで変わるのね
未来から声がする
....
背中にぜんまいがついている。それがすべてのヒトの動力源だから、必然とそれを回す力が必要になる。
果たしていつからそんな仕組みに変化したかは解らなくなっていて、それを追及する行為には死の罰則が待ってい ....
おとぎ話の中の国は もう
わたしのことをおぼえてゐません
キセルをくはへたお爺さんは もう
わたしのことをおぼえてゐません
アコーディオンをかかへた青年と
まきばで働 ....
内にある暴力的なものに屈して
もう自分の味方ではいられなくなって
人生を投げようと
ただ思っただけであった
自分には甘い
気休めの漢方薬とインターネット
腑抜けた鏡像
怒りの拳を振り上げ ....
ここに一筋の海があるとして
だけど、そこに何かある訳じゃない
言葉に出来ないような貝殻や
名状しがたい砂浜のアートが
何故だか僕の纏まらない思考を
一瞬忘れさせてくれるだけだ。
例えば ....
一日中縁側で過ごす人は
陽の目を見るのが少なくなった人だ
何を話すでもなく 寄る猫を追い払うでもなく
牛乳屋を見送って 小学生の登下校に目をやりながら
物干し竿がハンガーごと錆びていくのを ....
落ち葉舞うもう絶え間なく絶え間なく
鰯雲流れ流れて西へ行く
木立の間茜の光冬陽落ち
めざめると同時に 自由の女神になっていた
すっくと立ち 右手を挙げ 情熱の象徴を高らかに天に示し
頭の中に声が響いていた「走れ!」
いや、ちょっと待て 忘れられないぢぁないか あの家の ....
走れ!
太陽の廻りに虹がかかっている
時間やお金をかければなんでも手に入る
でもかける時間やお金がないひとがいる
地平の月の大きさに友と親しむ
友よ、俺はずっと抗いつづけたい
....
声と声が交わるあいだ
柔かな光が横切って
わたしは不意にいなくなる
うねる大気が木霊して
髪の毛の中に光を通す
黄金の束が揺れる稲のよう
頂上に黒い影が伸びても
この道で変わると決めた心は
本音を伝えるための声を抱き
誰か私を摘んでくれないか
唇を押し当てる風のよう ....
ひなげしの複製画
NORDISK FAXE2
呼吸器につながれて
静かに眠る男に
盲導犬が寄り添ってる
階段を上り屋上に出ると
冬の風が冷たく
月は高い
子供の頃に ....
飛べないから鶏なんだと思い至り
無性にリリィが聞きたくなる
そろそろシャロンの季節です
チバさん好きです
....
冬夕焼湖底に街の沈む音
鰓呼吸忘れ神楽に舞忘れ
薄明の空の淵より捕鯨船
身籠れる長鬚鯨の尾の重さ
子鯨に親鯨添う成層圏
魚影から涙一滴雪月夜
雪積もる東京ロンドンニ ....
あゝ、それにしても
時代の騒音は
どうしてこんなに胸に残るのか
夕べ、楽しい
笑顔の写真をみた
懐かしい、カーニバル
踊り狂った
ふたりの距離は
どんな不幸も忘れさせてくれ ....
夜寒さの無音の部屋で飲む焼酎
薄陽射す花野広がる忘却の果て
ひたすらに草を食む牛只在りて
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