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頭の薄くなった友人が
車の後部座席に老いた母親を乗せて
交差点を右折していった
すれ違う僕の車に気づかずに
ひさしぶりの幸せな笑みを口元に浮かべて
わからないことを後ろの席に語りかけて
そ ....
オレンジの灯りが点々とする
雪の祭りの
ぼくらの町
狭い歩道を歩く 婆三人
灰色のほおっかむりで
ひそひそと
植え込みの陰に
みかんの皮を押し込む
ぼくらの町
町から背の高い ....
霜月の末
義母が逝きました
筋肉が次第に衰えていく病で
手足も口も思うにまかせないままの死でした
目だけがよく動いて
さびしさとうれしさを伝えていましたが
妻は静かに泣きました
義妹 ....
玄関の戸がふうっと開いて
そのままなので
誰かが閉めに行く
みんな たくさん泣いたけれど
泣き足りないと思って
二階の
薄い空箱の
暗がりから
なんとなく降りてきてしまう
妙 ....
車のドアを開けて
アスファルトに降り立ち
ゆっくりと
夕焼けを踏む
夕焼けについて書こうと思う
古びて傾いた夕焼けについて
それは人通りのなくなった街道の
傍らに立つ廃屋の壁に
擦 ....
七月の階段を登ってホームに出ると
七月の風にはじかれる木蓮の花
のぞき込む 流れない水
そして少女が手を振る
まるく
何ものをも拒まぬ速さで
おはよう
こないだ タケダからメール来て ....
祭壇の遺影の陰で
その人がまんじゅうを食べている
もぐもぐ
甘いものは好きじゃなかったんだけど
ずっと食べていなかったからねと
老いた未亡人の言葉が涙を誘う
導師の読経は熱を帯び
喪主の ....
おとうさん
新年はやっぱり青空だね。
見上げると雪に覆われた町の空は円く晴れ渡り
周縁の雲は黒く山の上に山を重ねて
峰々の隙間から綿アメのような曙光が
白く絡んでいる
首を直角にあお向けた ....
今年娘が
中学を卒業する
生まれたときに
そばにいてやれなかった娘だ
海がめの背に乗って
海中のテーマパークに行くお話を書いてやろうと思う
今年娘が
中学を卒業する
俺に似て
出 ....
天井から
夜が下りてくる
お父さんは四十年生きて
長かったなあと思う?
布団の中の息子が
息継ぎに顔を出す
しみじみする口のまるい形
「ささやかなこの人生」とつばを飛ばしてナカジマは歌い ....
kauzakさんのオイタルさんおすすめリスト
(10)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
春の
-
オイタル
自由詩
7*
10-4-26
ぼくらの町
-
オイタル
自由詩
4*
10-1-1
霜月の末
-
オイタル
自由詩
5*
09-12-14
閉めに行く
-
オイタル
自由詩
2*
09-12-12
夕焼けについて
-
オイタル
自由詩
12*
09-9-19
七月の階段を登って
-
オイタル
自由詩
7*
09-7-18
遺影
-
オイタル
自由詩
3*
09-3-20
元旦に雪を掘る
-
オイタル
自由詩
3*
09-1-2
今年娘が
-
オイタル
自由詩
3*
08-12-26
ここに魚を
-
オイタル
自由詩
6*
08-11-29
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