すべてのおすすめ
早朝 外は一面の霜
暖炉で部屋が温まるまでに出ていかなくちゃ
凍えた鉛筆を少しふるわせて
横になった君をスケッチ
しょうもない僕を好いてくれた君の
ため息は漂ってすぐ消えた
....
かねてから
懸念していたことが
懸念していた通りに
それでも
助けたい
風船が
萎むように
あっという間
また
膨らまそう
人生は放物線
って垂直落下
してるでしょ
....
未明から降り始めた雪が
台所に積もっている
牧場の色彩を思いながら
わたしは冷たいサラダを
二人分作った
あなたはリビングで
新雪に埋もれたまま
詰将棋をしている
本を見な ....
はやらないことはやらない琴線の
ことはことばかわからない
じゅげむじゅげむ
なんとかなるさ
にんげんだもの
しらんけど
男雛女雛
ならびて透る緋毛氈
右近左近、たちばなさくら
今 ....
ヴェランダをはじめて見た時
その美しさが怖かった
風の流れがそこだけちがい
光あたりも微妙にちがう
犬がおなじ犬とは思えないくらく白い
あの、人工芝とはなんだろう
ガレージって一体なん ....
ここ数日で失った総熱量が
まもなくプランの上限に達するという通知は
私の視界のすみずみまで霞ませ
内蔵が熟れた
あけびの実のように黒ぐろと蔵種した
発熱で疼く思考の芯を
地下で砥がれた ....
前略
昨日曇のち灰神楽
静かな凧あげ日和
腰のお加減如何
本日未明より流謫
星は晶となり積み
手元不如意につき頼む
草々
「はい、どうしたんですか?Iさん。」
私を手招きするIさんの車椅子へ
膝を折り目線を彼女より低くして寄り添う
舌が上手く回らないIさんは
口籠もりながら優しい目をして
お風呂 ....
春の雪の
降ったそばから
解けてゆく
悲しみ
愛に変わる
・
にっこりする
魂という
命は
光る風に
戦ぐひとつの影
※ 戦ぐ=そよぐ
・
変わ ....
過疎化はしていないけど
もっと地元を盛り上げたい
地元のものを使った
アイデア料理募集すれば
たくさん集まる
驚くようなアイデアや
今あるものを
アレンジしたり
地元を盛り ....
冷たい風で日の差す路面のアスファルトに
一台の車の走行音も乾いている
道の向こう側に閉まっている施設の大きな鉄の門へ
毛繕いしながらチラッと目をやる
サバトラ猫の鈴ちゃん
....
ゆめからさめようとするとき
ひき潮のけはいがする
現実にうちあげられて
そういえば
さくばん黒い虫をころしたことなんかをおもいだしている
永遠に置く不毛なことの筆頭にかかげよう
今日が ....
「新館の二階、また部屋替えあるみたいですね。」
相部屋なので、入居者同士の相性の問題が生じてくる
「もめてんのよぉ、永田町。」
「また××さんと△△さんの派閥ですか?」
旧館 ....
首無し
地蔵の
首無しの部分に
巻いてある
布の朱さ
*
まだ寒いのに
もう立ってしまうのか
立って 先に
行こうとするのか
その後ろ姿を見つめて
僕たちは
ずっと後から
暖かくなろうとするのだが
まだ寒いのだ
もうこんな ....
年を取ると
排泄が大変になってくる
頻尿
寒い夜中に何回も起きなければならない
車の運転中に何回もトイレへ駆け込まなければならない
渋滞しているときは漏らしたくなる
トイレが心配で好きな旅 ....
青い魚が三月、泳いでいた
眼もなく、口もない魚
、と呼べる生き物なのかどうか
みんなはそれを魚かどうなのか
、と疑問符をハンガーのようにぶら下げていた
一途な男の弾丸が放たれるが
....
幻のステージに、
昭和を生きた女がいる
鳥の羽根で飾られた衣装を纏って
ジャズとロックンロールと演歌を混ぜた
──アジアンであり、
──洋風でもあり、
戦争に負けた戦後の日本みたいな
....
いくせんまんのやさしさで
あかるいよるを私に頂戴
ジメジメとした闇は好きだわ
なんてゆうのは強がりだから
いくせんまんのあわれみで
すてきなよるを私に頂戴
月がかた ....
お母さん
今朝のカレーは夕べのカレーより
美味しいねって言ったとき
それは
お母さんが一晩寝ずにかき混ぜていたからよ
と言いましたよね
僕はずっとそれを信じていて
逆にカレーを食べたいと ....
丸の内駅のホームで、あなたを見かけたとき、BOSEのヘッドホンから聞こえていた音楽より、脈がバクバク鳴る音のほうがはるかに大きくて、動けなくなった。まるで、両方の靴が触れている地面から、たった今足が二 ....
雑木林の茂みから車道へ出て来た
サバトラ猫の鈴ちゃん
金網フェンスを伝って行き
施設の厨房がある裏庭を覗いてみる
昼食の準備が始まっているのね。
いい匂いがしているわ。
....
「Uさん、こんにちは!ちょっとお邪魔してもよろしいですか?」
居室の木戸をノックし在室を確かめて引き戸を開ける
同室のGさんは先ほど入浴日なので脱衣所へ
職員に誘導されて行かれる姿を目に ....
ももを食べました
塩で食べました
レバーを食べました
タレで食べました
叔父が余命を宣告されました
ねぎまを食べました
塩で食べました
十人いた父の兄弟姉妹の
最後 ....
「寮母さん、寮母さん。」
タクシーの後部座席でフロントガラスに揺れるワイパーの
雨しずくを見ているうちに眠りこけてしまった私を
「もう着くで。」
肩を叩き 起こしてくれたYさん
....
白梅の散り初めし小道に
空が
あの冬の頃の
遥かな厳しさをはなれて
泉は薄青さをとり戻し
ふつふつと 春に向かって駆け出している
梅の林は
香気を溢れさせ 溺れて ....
生きている生きている
高齢者も子どもも
生きている生きている
病人も健康な人も
生きている生きている
貧乏人も金持ちも
生きている生きている
仕事のない人もある人も
生きている生きてい ....
会話だけでは
君を理解できない
熱いキスをしないと、
心は通わない
一晩じゅう愛し合って
瞳と瞳で想いを映しあわないと
夜が白みはじめても
心は暗く閉ざされたままだ
どうか ....
まだ日暮れには早いけど外にいると冷えるから
おばあさんがアタシのために縁側の下に
段ボール置いて 敷いてくれているプランケットへ
戻ることにするわ
午前中の雨で湿気った雑 ....
同じものを見ているのに
なぜこうも違うのだろう
誰もが気づくことを並べたてたて
尚も新鮮な目線に驚かされ
尊き子ら 高き空を飛んで行く
止まり木もいいななんて人生観に酔っ ....
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