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キンタマが臭いと言われた
すごく心外だった
でも、ひょっとしたら
そうかもしれないと思った
彼女が嘘をつけない人だから
その日から
僕は柔軟体操をするようになった
十月の空 軽やかに
抜け落ちた天使の羽根
青へ青へと沈んで往った
解かれながら天の淵へと
いっせいに湧きかえる小さな羽虫たち
凝縮された生と死が充満した宇宙 裂くように
歩いて往く 衣 ....
空になった孔の底から、
風が吹き抜ける声が聴こえる。
喉の奥が苦しくて、手を伸ばす。
(届かない、でも感じる) ....
名付けなさい
君を縛る暗闇を
君を閉じ込める闇の正体を見極め
君自身が
名付けるのです
例えば
「コウモリ」
と名付けたら
君の闇からコウモリが
切りとられた影絵のように
現れ ....
キンタマがデカイことに
何の意味があるのか
奥さんにもよく分からない
かわいそうを
拙い力で摘むその指を
見守っている
指輪にしようか
髪飾りにしようか
一本、二本、3本
束にして編んでいる私は
数分後にはこのかわいそうが
無造作に捨てられることを ....
(声をきかせてくれないか)
誰かがこの肩に息を吹き掛ける。
鳴らないはずの電話が点滅する。
見えないナイフが
手のひらを追 ....
待つということは
ときに苦痛をともなう
その時間を
固いベンチで過ごすのならば
背中は痛むし
柔らかなベッドの上だとて
安らかともいかない
点滴につながれた腕は夢の中でも痛むからだ
....
(どうしたら、お父さんは元気になるのだろうか?)
東京に行く前の晩
少し細くなった父の右足を揉みながら
二人並んでテレビを観る。
「大丈夫だよ、少しずつ良くなっているから。」
....
うそつきは
どろぼうのはじまり
と言うけれど
泥棒になるには
嘘をつかなきゃ
いけないのか
むしろ
自分の現実を
受け止めきれなくて
どうしようもなくなった時の
衝動な ....
両手で掴みとった羽根が、
灰になって消えていく。
白い大地に佇む夢で目が覚めた。
(もう、約束はしない) ....
黒曜石は砕かれた
もうずっと昔のこと
何もかも失ってちっぽけな存在だ
もとの自分がどんな形をしていたか
思い出すこともできない
以来 変わらず尖ったまま
今も誰かの指が血を流している
....
【酒場にて】
俺のような誇り高い男はな…
そのとき彼は一段と高らかに笑った
そして転げ落ちていった
何処までも転げ落ちていったのだ
私は月明かりの映える窓際で
杯から転げる音を聞いてい ....
パクリパクリ
月は太陽のパクリ
チンパンジーは人間のパクリ
ナポレオンはいいちこのパクリ
エジソンはドクター中松のパクリ
モーツァルトはキダタローのパクリ
パクリパ ....
(誰かが見ている)
そんな気配で
窓を振り返ると
一匹のしらすの目があった。
思い出した、
弁当箱いっぱいの
ぎ ....
その日は
お花見の桜より うんこの話のほうが
うつくしかった
お隣さんが用意してくださった花見弁当を囲んで
いっしょに 盲の方と お花見をした
お洒落な桜色のスカー ....
大切な人に手紙を書いた
心を込めて書いた手紙
郵便ポストに投函した
街中の郵便ポストは
人の心と繋がっている
心で生み出した言葉が
相手の心に届けられる
郵便ポストは心 ....
夕暮れだろうか、明け方だろうか。
深い森の中に薄紫色の光が差している。
薄い霧のかかるどこか懐かしい空間で
いくつもの死と生命の誕生とが
上品な絹のように織り交ぜになっている。
遠くか ....
ちっこい白と赤の金魚
ちっこい赤の金魚
それより大きい赤の金魚
目の飛び出た黒い金魚
妙に細長い白と赤と黒の金魚
ぶくぶくと飛び出す泡っ粒
広がる水草と背の低い尖った造草
みんな仲良く餌 ....
人 人 おまえは
ひと
噛み砕き
噛み砕かれ
野にあいた
暗い穴の淵に横たわる
天気雨
小さな蜘蛛が隠れる場所
風が
少しずつ少しずつ
強くなってゆく
....
着いて翌日の朝は
マスタード色の
プラスチックのコップに注がれた
オレンジジュースで始まった
初めて見るプラスチック製のコップに
本物の生のオレンジジュース
九つになったばかりのこどもには ....
千円で二冊
手頃なんだから、
、と、擦りきれた本にきれいなままの文庫本
何故か捨てようにも捨てられない
同じような顔をして段ボール箱の中に眠ってる
たまに取り出してページをパラパラ ....
胃が悪化してきつい朝
今後のことを考えるためにわかばに火をつけた
魚を釣りに行きましょうと
手を引かれて行く
氷のように冷たい手である
連れてこられた川辺には
沢山の人がすでに釣りを始めていて
思い思いに竿を上げ下げしている
自分もどこからか
骨のよう ....
夫と言い合いになった日の深夜
冷蔵庫の前に這いつくばって
冷たい床に雑巾で輪を描いた
何度も何度も同じ輪郭を辿って
ただ一心不乱にひとつの輪を描いた
怖い顔で子供を見送ってしまった朝は
....
ひきちぎられたこころたちが
あきのてんじょうを
およいでいる
うめつくされて
ひしめいている
ちいさないきもののように
おびえながら
むれている
ねてもさめても
どこへにげて ....
西日に首を傾げている
絃を爪弾きながら 全く
永遠の光芒の野は無邪気で
故に無伴奏から不在を学ばず
そのままです神さま 私は全く
手放した数多の心には
なみだを送り毛布を送り
子守唄 ....
文句があるかとムンクが叫ぶ
天狗になるなとコングが応じ
透明ゴングが鳴り響く
ガンガン玩具でやり合って
「レフリー チョークだろチョーク!
「何がジョークだ さっさと絶句 ....
朝がくることを待ちこがれるほどではないが
ちょっと陽がさす
古い集合住宅の一階の湿気のこもりがちな
鉄筋コンクリートで仕切られた空間が
僕のすてきな居場所だ
教会の鐘はどこからも聴こ ....
満月がおおきく見えることがそんなにめずらしいのか
もうしょっちゅうスーパームーンとか言ってるけどさ
満月なんて地平ちかくにあれば昔からおおきく見える
錯覚なのか光の屈折率のせいなのか ....
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