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世界が世界であるかぎり
わたしたちは夢を見るのだし
なんどでも夢からさめる
放りだされたさいころみたいに
つめたい体を転がしながら ときどきは、
咲いたりもする
咲いたふりをして逃げた ....
光はエロスの舟
夜の海原を彫り進む
うすべに色の裸婦たち
西風を脱いだり着たり
死は翅を休める蝶
なだらかな土器の窪みへ
そっと脈でも取るように
その中で葡萄酒が笑う
....
剽窃したい人はそこに居て、夏のセロリをしっぽから齧っている。水は生温い
が金魚鉢の赤い魚たちは夢を追わずきょうも元気だ。猫は背を丸めしっぽりと
寝ている。
猫を抱き ....
薄氷の上を
危うくも繊細な
ステップ踏み
僕は進む
いつ崩壊しても
後悔だけはしないように
慎重に大胆に僕は進む
世界は獰猛な場所
人と人が争い喰い合い
天返に隠れ胡坐かく支配者 ....
人のいない真昼
都市は連帯に悶えていて
都市の配管の末に一滴の誓いが芽生える
真昼の誓いは沙漠へと向かい
死の永続性を砂に誓う
涸れ果てた湖を
野獣の群れが飛び交っていく
無限に ....
私達はきょうも鳥の首を絞めて
お釈迦様を雑巾でぬぐっている
星は一面凍りついてしまって
月の香りがしないと鼻をすする
ころっと犬の彫刻が転がって
心臓をノミで打たれた感じ
....
ひかりのつくり方は だれも教えてくれない
水の配合を間違えたことで 白く霞む朝に
きみの浅い微睡みは
錆びたダイヤモンドのように 美しくおちていく
レースをまとった瞳の透過は
いくつかの ....
こん夜
つけて寝るためのピンクのマスクがある
かの女はいま
どんな心の中の秒針を回して
何を燃焼し拍動し続けているのか
考えたりする
答えはどこにもない
海にも空にも星にも
そしてここ ....
一枚の写真が燃えている
黒い鉄の花びらの上
ひらめく炎をその身にまとい
そりかえる
水蒸気と煤があいまって
白くにごった煙とともに
封じられた時間も漏れ出して
霧散する
平面の中の奥 ....
立ったまま
枯れている
あれは
孤高の命
もうおひさまをおいかける元気もないし
だれかをふりむかせるような輝きもない
けれど
おまえがひまわりで
凍えながら
戦い続けているこ ....
ふわふわ
漂い
ゆっくり落ちる
金の花びら
わたしは貴女を知らなかった
[磯の香 、 零れる光滴 、 白波の残響]
あの青い青い宇宙の大海原
貴女は幾人もの従者を連れ
喉を震わ ....
ふくよかな大気あり
清新な波動あり
まじめな車たち
街道の電飾
町には外灯がなかった
ライトを消せば黒
闇ではなくて黒
そこにもふくよかな大気
清新な波 ....
読んでいて癒される詩がある
読んでいて気づかされる詩がある
読んでいて心重たくなる詩がある
読んでいて心躍る詩もある
感銘を与えられ
勇気を与えられ
楽しみが与えられる
人間 ....
その少女の心にとって
世界はちいさな鳥籠のようなものだった
清潔な場でなくてはならなかったし
少女も清らかな心を懐いて
完全無欠な美しい絶対の四季の森の湖面に
常にさやかな漣をつくる風のよう ....
意図は回りを濡らしてしまう
意味へと上手く収まり切れず
ことばは未満の盃
発しては 少しだけ 欺かれ
揺るがないものを前に
自らの揺らぎに幻惑されるのか
受けとめては傾ける 刹 ....
たのしいな
たのしいな
ごめんな、俺なんかで
いとしいな
いとしいな
お茶も、唐揚げも、な
なみだがとまらない
きずつけたくないから
あくびがとまら ....
最期のタバコ屋で最期の女に出会い
最期の言葉を交わして
いっしょに暮らそうかとも想う
いつも最期に出会いたくないので
のらりくらりいきている
挑戦状のないリングで闘争心のない犬と成り ....
まだ無名の星に
光が差しはじめた頃
静寂な空気の語りと
無重力の宇宙の波動は
無音を破ろうとして
互いに感覚の符号を送り続け
やがて瑠璃色となった惑星に
言葉を招き入れた
人間たちは歓 ....
糖蜜工場が爆発したことによって
甘い蜜たちが
静かに街を流れ出しました
その粘度たるや
もう人の手にはおえない類のものです
アスファルトの上の蜜はそのまま冷えて固いかさぶたとなり
土の上の ....
あなたの静かな骨の上を一本の真新しい国道が通る
あなたの大きな悲惨の中を一つの真新しい意味が走る
眠るあなたの骨が今こうして車輪の下で砕かれていく
ぼくはその音を聞いているのだ
きみに ....
真冬の朝
道を歩いていると
飛べなくなった小鳥を目にすることがある
数年に一度
いつも忘れた頃だ
そっと捕まえ
コートの内ポケットへ忍ばせる
少しおくと
飛べるようになって
やわらか ....
焦りや落胆や失望は
いろいろなことを教えてくれる
ぼくには祈りがあるのだ
澄みわたる世界があるのだ
それが有難い
親切されたり誉めてもらえば
だれでも感謝ぐらいでき ....
ビルの谷間から充血した月が昇る
繁華街のノイズは クラクションと欲望と金と罠
生まれたての女はマドンナを名乗り
男たちを虜にして魂を射抜く
作られた世界の路地裏は 闇のルートの ....
防波堤に打ち付ける、波
全てをさらっていく
泡沫が少し
澱みに残るだけ
日がやけに低い昼下がり
人の姿もなく
旅の友は、おねだり上手なカモメ
行先不明の私は
いつだって
迷ってい ....
ほんとうの自分のことを
わかってもらうことは
誰かをそっとこころのなかで
信じるということでした
あの日を
僕らが生きていること
すでに静かな風が通りすぎるように
深い森林と広い草 ....
説明 解説 言い訳
どれも要らないと云った
ただそのままで
あなたは惹きつける
男が女を始めて見たように
女が蛇を始めて見たように
たぶん
美しくて奇妙
エロチックで恐ろしい
....
誰も知らない そんな夜、
少女のぽっちり開いたくちから一羽の蝶が
それはすみれいろの 夢見るひとのうすい涙のような
蝶が飛んでいった 音もなく
(恍惚めいた ひみつの儀式)
....
1
赤トンボたちが
飛行機のルーツのように飛行している
一日ごとに冷たくなる風が
透明に流れている青空の清れつさと
黄いろい木々の退廃を同時に包含している
秋の午後
パズルのピー ....
いのちを使ってるか
時代や場所にも負けないほどの
それはいのちなのか
いのちを使ってるか
そのうえをだれかが歩くほどの
それはいのちなのか
春夏秋冬に感じている ....
私の背後には、いつも
不思議な秒針の{ルビ音=ね}が響く
――いつしか鼓動は高鳴り
――だんだん歩調も早まり
時間は背後に燃えてゆく
この旅路に
{ルビ数珠=じゅず}の足跡は…刻印 ....
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