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わたしから切り落とされた白い手が
向こうで手をふっていたのです
交差点にはひっきりなしに
びゅんびゅんと雲が行きかうものですから
どうしても渡るきっかけが
一歩を踏み出す勇気が
つかめ ....
空が3つあればね
1つくらい駄目でも構わないけど
音楽室は雨のコーラス
トライアングルを鳴らすと
乳頭があまく痺れた
先生はしょうのうの臭いがした
深くおじぎをするとポケット越しの ....
絡めあうゆび
傷だらけのたましい
ふたりぼっち
ビルと家々との間に
はんぶんの月
体重かけていいですか
あなたは軋むかも知れない
熱と匂いを吸わせて下さい ....
たしかにこわいけれど
津波で死ぬために生まれたわけじゃない
津波から逃れるために生まれてきたわけでもない
死ぬために生まれたわけでもないし
死にたくないから生まれてきたわけでも ....
私は梅の花を見ていた
白加賀に思いをのせて
昨年は夫と共に
梅見に来ていたことを
思い出していた
一年たった白加賀は
相も変わらず淡く芳香し
その香りを胸に吸い込みながら
一人ため ....
目鼻立ちの麗しさではなく
口もとからふと匂い立つ色香でもない
清水の底から沸き上る泉のように円やかな微笑み
それは微笑んで見せようとする思いの仕草が
表情を作り出すよりもどこか深いところの水脈 ....
帯電するからだ
静電気を帯びる
指先から延びるパルス
ステンレスの手すり伝い
衝撃が走る
瞬間君を思い出した
手の痛みよりも
胸がキリリと痛む
歯を食いしばって
静電気ピリリと火 ....
何気ないひとときがとても大切に思える朝。
光はまだ淡くカーテン越しに差し込んでくる。
今を生きている事に幸せを感じ、与え、受け取る。
闇夜の呪いがゆったり溶けてゆくようだ。
....
聡明な目が おきゃんに くすりと笑ってる
黒板の端から端へと 飛び回るプリマドンナ
人差し指のプロジェクタースイッチが効かないときの
パソコンに急ぐ あのお方のご様子は マドンナなの ....
準急列車の三両目
帰路
メトロの窓に
橙色の影が揺れる
窓に映った自分の顔は
五歳は老けて見える
帰宅したらまずは
冷凍庫の中のシチューを温めて
トーストを浸して食べよう
暖かい ....
何かうまくいったとき
いやいやこれはまぐれですよと
謙遜するのは
もったいない
だって
まぐれも実力
まぐれ気まぐれ
縁の下力持ち
裏方の人生送っても
見る人はちゃんと見てる
....
スーパーで
キレイなピンク色した
桜エビを見つけた
美味しそうだなって
手にとって
お会計してから考えた
なににして食べよう
思いついたのはお好み焼き
たしか桜エビが入っていた
....
あなたのせいという
急速な風に吹かれて
青葉がつぎつぎと落ちるように
暦が落ちてゆきました
あなたのせいという
見えない伝書鳩が
ひと息いれる暇もなく
夏の星座の下を行き交いまし ....
営業マンは営業成績が人格だ
老人は預貯金が人格だろうか
アルバイトは手際の良さが人格だ
そうだ
お金持ちだけだ
清潔さや円満さ、温かさが人格なのは
招待状からラ ....
二月のある日のこと
今月の14日はバレンタインデーと
思いながらチョコをかじっていました
今日は役所へチョコレートではなく
離婚届を届けてきました
今日のチョコはとてもビターで
それでいて ....
原人を教えてくれと
どっかで声がした
ジャワ原人と声がする
待ってくれノートに書くからと
また声がする
ここはどこかと思えば
高校の教室の歴史の授業中
そんなわけはなくて
リハビリ ....
熊を躍らせると
一つだけ恣意的な物が
茂って来る
柱時計は赤が出て居て
ネジを巻かなければならない
踊り出した熊は
フライデーに仕留められた
恣意的な物は
奥歯だったのかもしれない
....
はる地球の回転が速まるせいか
わたしは立ちくらみして
光は速さをなくしたみたいになる
だからかはる 風が軽くなりすぎて
わたしの姿は光をうまく受けれなくなり
わたしの影はどこかへい ....
人の多い喫茶店で
私は一人静かに
声をたてず泣きました
下を向くとメガネのガラスに
涙のしずくが溜まるので
そっとメガネを外しました
窓ガラス越しに外を見たら
夜の明かりゆらゆら揺れまし ....
バイクのエンジンオイルを
そろそろ交換しようかと
久しぶりに別れた元夫から
連絡があったので
冬の晴れた日曜日に
前住んでた家の
近くの公園へと
バイクを走らせた
公園では野球少年 ....
インスタントラーメンと目玉焼きぐらいしかつくれなかったが
いつしか肉ジャガが美味しくつくれるようになってしまった
かぼちゃの煮物と筑前煮と筍の土佐煮にきんぴら
変化は世の常ではあるが妻と離別 ....
一億光年の彼方から
因果の報い
十界の営み
喜怒哀楽の命の明滅
文明は未だ
貧困と飢餓と疫病と争乱を抱きながら
明日への光を模索する
自らの欲望の虜
エゴの塊の権力者たちの無能 ....
水になってひそむ
死んだ者たちの{ルビ通=とお}ったこのほそい水系に
官能の色彩はすでにない
光りの粒子のように時は流れ
序章のように生誕の時は流れ
星が囲んだ戦場につめたい炎の舌がみえ ....
風たちが姿を消した
――一瞬
井戸に落ちた片耳のリング
わたしの中のわたしのエコー
響かない{ルビ鈴=りん}の透き通った苦悶
冷気の侵食 いのちの抗い
――再び
風たちに抱きすくめら ....
愛を囁くと梢が揺れた。
協奏楽の流れる部屋に人は無口で
病人の枕元に一輪の花をかざした。
今在る優しさに皆耳を澄ませた。
枯草の美に共感出来た時、私は和的な幸せを得た。
....
春のほどけぐあいが
足早にすすむころ
キミに会えるだろうか
冬はなにかしら
とんがっているから
(雪が積もった日は別として)
たとえば吸い込んだ空気の凍った針が
肺に刺さるんだという ....
宇宙には壁があった
宇宙にも壁があったのだ
壁は油断していた
まさかぼくに触れられてしまうとは
思ってもみなかった
それでも壁は慌てるそぶりも見せず
慌てたところで ....
腰が痛くて歩けなくなっても、
恐怖にすくんで脂汗かいても、
手が訳もなく震え続けても、
全てを失い意気阻喪しても、
大丈夫、大丈夫だよ
生き抜く意志さえ失わなければ
全てを学ぶ機会と受け止 ....
きみが
ふるさとを
いとしく呼ぶ
あいづ と
づ、にアクセントをおいて
うかうか
夜行バスで
きてしまった
きみが歩いた町を
見たくなってさ
雪の白と温泉の湯気
....
豆腐くらいの冷たさの風
味噌汁ほどの温かさのこころ
まっすぐなこの気持ち
浮かんで浮かんで消えて浮かんで
肩のちから
抜く
飛び降りた
それでもぐちゃ ....
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