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今日は雲一つない晴天夜空
ひとつの銀河をそのままに
グラスにとくとくとくと注ぐ
星々がきらめき弾けて消えて行く
飾りには土星をグラスの縁にのせて
風呂上がりの夜空の三日月に腰掛け ....
冷えきった部屋から外へ出れば
陽の光がジリジリと体にしみる
角をいくつか曲がって坂道をくだり
今日食べるためのパンを買う
空は雲一つない青
心の中は積乱雲
乾いた風に吹かれ
別世界を ....
そよ風の様な彼の残り香は
あっという間の出来事で
まだ腕の中の温もりとして私の中に記憶する
邪魔が多くて藍せない日々を恨めしく想う
いっそ邪魔も藍せたらと難しく想う
どこかで誰かが嫉妬す ....
近所の子らの手をひいて
人いきれのする方へ お提灯かき分け
夏の夜がひろがる空で
花を散らせる 長い指さき 見ていた
二十七歳の私
ルリカケスの羽根 織り敷いた
天の川から眺めるこの町 ....
○「自由な時間」
僕はお金持ちではないが
自由な時間だけはたっぷりある
高齢者になって自由な時間の有り難さが
わかるようになった
読書、散歩、詩作、坐禅、登山、家庭菜園┅など
マイペースで ....
今日もまたあなたを傷つけた
心のか弱さにくらべても
言葉はなんて
不自由なんだろう?
お終いまで好きでいられたのは
あの日の雪がや ....
貝のように閉じた小部屋
布団にくるまり明日に怯える
昨日と変わらぬ今日はまるで
見飽きたドラマの再放送
誰にも呼ばれない
安心と寂しさと
不安を煽る不穏な夢
眠ることを諦める ....
深緑の
葉の
光合成をする
魂(いのち)の
静かさ
子供の頃は
辛口が食べられず
甘口を食べていた
いつしか辛口が
食べられるように
カレーを作った料理
どれも美味しい
また食べたくなる
毎日食べたくなるぐらい
それぐらい ....
昔 暗い電柱の蔭に
鮮やかな口紅を咲かせていた女と
細くしまった腰をもった男との
悲しい抱擁を見た時
思わず浮かび出た詩は
美しかったけれど
月が厳しい弧を描く
夏の ....
からだも
こころも
その時その時の調子があるね
からださんもこころさんも
いつもありがとうね
流れ星のつく嘘に騙されて
幾千も羽ばたいていく星宛ての青い希望達
宇宙の塵になってゆく
もがれた翼が無意味なゴミのように時折地上に降っている
…
地下は重く粘度の高い暗闇だ
息 ....
愛情の渡し方には方程式があるみたいだ
式を間違えると渡すことができない
そんな顔しないでほしかったけど
たぶん間違えたのは私の方だ
こんなに不自由なら
渡さずにしまっておくほうが良かった ....
歩んできた日々を
振り返る
一週間前に通り過ぎたばかりの
森の出口で道は消え失せている
歩んできた日々を
振り返る
あなたが遺した道が途切れてから
見知らぬ景色の中を彷徨 ....
四角い画面越しに
ピアノの調べ
ギターの弦を弾く音
1/fに揺らぐ歌声
眠れぬ夜に
ブルーライトで照らした
頬をつたう涙が光る
ベッドの上で
体を小さく丸めて
眠れぬ夜に
....
無
と聞いて
深く思う人と
浅く思う人が居る。
無もさまざまに受け取られる
いつか、詩人は、わたしに、森 鴎外の『舞姫』のパスティーシュを書きたいと言っていた。
愛がわたしを知るとき、わたしははじめて、愛が何たるものかを、知ることになるのであろう。言葉の指し示す ....
サボテンとの別れ
身を切られるような痛み
きみとは何万語のことばを交わし
無言で見つめあったろう
きみはわたしの髭を
わたしはきみの棘を
お互い数え飽きなかった日々が
あえなく終わろ ....
生温い風に吹かれている
魂はこの世に残らないのか
跡形もなく消えたあの人
生きる力を失いそうな時
思い出の欠片を
かき混ぜてみるけど
記憶をすり抜けて
静けさだけが残る
....
川上から金曜日が流れてきた
彼は働きすぎたのだ
川上から土曜日が流れてきた
彼は眠りはじめた
川上から日曜日が流れてきた
彼は手を冷たくしていた
川上から月曜日が流れてきた
彼は左の瞳し ....
宇宙が
生まれてから
ずっと来て
つながっている
私のいのちに
さまざまな
美しい影の
濃淡を
描く
光のいのち
涙の夜に
生と死を思い
絶望を失った。
生を楽しむ
そう決めた
雨があがり 黒い蝉が騒いで
真昼の月と目が合った
月にあなたは穴なのかと問われ
自分がいつの間にか大穴だったのことを知った
細くて 丸くて 白い月は
とてもゆっくり喋る
そして地球の周りを ....
振り返っても
もう元には戻れない
歩いてきた道
歩き方が悪かったのか
いつの間にか獣道
足を引きずるようにして
闇雲に進んでいる
ふいに現れた道に
躓いてしまう
Y字路の ....
寄せては返し合う
はてがないことのふしぎ
ここから命がうまれたというふしぎ
だとしたら
この水はなにからうまれてきたのだろう
半島の先でぼんやり待っている三ッ石
今はまだ歩いてはいけないけ ....
未だ幼木の胡桃の木の後ろには籾乾燥施設があって
霧はそれらを囲むように包んでいる
疲労という疲労は
体のあちこちに固形物のようにしこりとなってとどまり続け
筋肉や腱を蝕んでいるような気がす ....
アンジーがみずから
帰り来る月夜の吸血鬼に
その白く細い首を
差し出し
その瞳には歓びの涙が浮かんでも
固く結んだ真っ赤な唇から
甘やかな夜の声が漏れ堕ちたとしても
....
夜を歩く
雨の匂いを嗅ぎながら
時々苦しくなるこの胸の
内側と闇を重ねて
街灯や家の灯に助けられ
地に着く足が見える
暗がりのロードムービー
果てはある
明日が来るのが ....
グラスの縁を
指でこする
音は
遠いあの日とつながっている
あの日もじんわりほほ笑んでいた
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