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さびしい
小石は
お日さまに
じんわりと照らされて
あたたか
いのち
ここにある
そこにない
どのいのちも
大切なまま
「おはよう。今朝も、正門前に救急車が止まってたわよ。」
「二月になって、この数日どうなってるんだろうね?」
雑木林から出て来たサバトラ猫の鈴ちゃんと
施設の裏庭へ朝食を貰いに出向く途中の ....
「な、見て。またやってはるわ…『松の廊下』。」
「ほんまやなぁ。」
午前の館内清掃へ向かう若手職員らが足を止めて
視線を投げる主任と副主任の姿
朝礼を終えた会議室から
旧館へ戻る ....
かすかな生活の、いつ消えてもおかしくない繫りの
はっきり見えていなくても、それを想い描ける
聞こえないけれど感じる
小さな部屋で、今あなたが立てるあらゆる響きを
同じ夜の片隅にある、遠く隔てら ....
○「遊び」
姪の子たち三人にせがまれて遊んだ
お手玉 鬼ごっこ かくれんぼなどをして遊んだ
疲れたが
子どもたちにとって遊びは
何ものにもかえがたい至福の時間だ
と改めて思った
子どもた ....
息をするだけで
胸がスーッとする
朝早い冬の陽があたる窓際で
窓を全開にする
まだ
人の数もまばらで
車の音もほとんどしない
街を赤く染め始めた
あたたかい朝日が ....
「ハマさん、夕食後また三十万盗難事件ありましたよ。」
「困ったもんやなぁ…。一昨日の空き巣はキクチ君やったしな。」
「今夜あたしですわ、さんざん…。」
宿直日の二十時前、事務所におられる ....
わたしが傷ついたのは斑にみる視線
....
バス停に向かう時からドキドキしている
次のカドをまがると待ち人の列ができている
心臓がドキドキしている
最後尾に並んでいる
毎日新鮮な気持ちで向かっている
....
冬眠から目覚めたクマが一番にやらなければならないのは歯磨きだ。それから税金を申告に行く。顔を洗い髪の毛に櫛をあて下着を履き替えるともうこんな時間だ。できるだけ先のピンと張った歯ブラシを見つけて蜂蜜 ....
はる、
にちようびのそくどで走ってゆく、
ひとときの、
ゆるやかな午睡、
草木は徐々に生いしげってゆく、
山沿いの線路で集約される、
一両の田舎の電車、
ちいさな無人駅のような、
ささ ....
見るものすべてが嫌になり、
瞼を閉ざす闇の中。
沈黙に勝る音楽はなく、
肌を刺す冷気よりも
痺れさせてくれる抱擁はない。
゛お前なんか゛と笑う眼差しの剃刀が、
私という果実を切り刻む ....
人のかたちと
花のかたちが
重なると
やわらかな色が
生まれる
花のかたちと
鳥のかたちが
重なると
にぎやかな色が
生まれる
鳥のかたちと
人のかたちが
重なると ....
オレンジカクテルの空が
家々のむこうに沈んでいく
どこからともなく飛来した
小さな黒い鳥の群れは影絵
ゆったりと宙に張られた電線に
互いに平和な距離を開けて
つぎつぎにとまれば
みんな
....
河原で石をひろう人たち
貴方に触れない私なら 無いのと同じだから
鬼束ちひろ『流星群』
蔵王の河原で石をひろう神の子たちがいる
名もない石に名前を ....
雪の
結晶が
ほほで
解けて
私は熱を知る
小鬼の
しろい肌に
ひろがる
さやかな
月影
「あんた、Rさんと二人やったんかっ?さっきまで。」
それは或る日の午後
旧館寮母室から日誌を書き終えて
廊下へ出て来た私の片腕を掴み、たずねる四十代の先輩
「はい。そうですけど。 ....
僕はお天気屋さん
空が晴れると
心も晴れる
空が曇ると
心も曇る
空が雨だと
心にも傘をさす
今日は久しぶりの晴れだ
それだけで何かいいことがあるような気がしてくる
つまり笑顔の絶えない
しっとりと濡れてる
やさしいだけみたいなあの部屋を想うと
泣けるのです
黄昏の駅のホームに
ゆっくり流れる
ひとへのおもいやりを
掠れた ....
誰かが俺のことを呼んでるのは聞こえていたけど俺はすっかり出来上がってしまっていて返事ひとつもままならなかった、ここで無理矢理立ち上がったところでテーブルと一緒に転んで弁償するグラスがまたひとつ増え ....
「Wさん、新しい靴良く似合いますね!良かったですね。」
廊下の手摺りを伝い一日のほとんど徘徊なさっているWさん
たいてい誰かの目に、その姿は見留められていた
彼女に言葉はなくても
....
耳をとざしたほうがいい
ことばを思わないでいいから
目もひらかず
ただ触れていたい
指で肩で舌で
そのからだの奥を覗きこむような
こまかな息づかい
一度は奪われた草木を甦らせ
半透 ....
シンプル
にする方が
難しい
けれど
たのしい五行歌
・
人
それぞれの
世界があるなあ
かけがえのない
その世界
・
進むために
立ち止まり
思う
あと ....
「今朝の朝礼の申し送りで、Kさんがまた、夜中に
Tさんのベット部屋から出てきたやろ。」
「この間、Eさんとこ行ってたんと違うの?」
「掛け持ちしてるんちゃうか?」
「八十歳やで!… ....
引っ越してきたばっかりなのに、
ほら、ここは、神さまの家に近いでしょ。
さっき、神さまが訪ねてきたのよ。
終末がどうのこうのって、うるさかったわ。
だから、持ってた布団叩きで、頭を叩いてや ....
○「センサーからやられる」
今朝は寒い?
とワイフがよく聞くようになった
年を取ると
暑さ寒さが
わからなくなるようだ
○「SNS犯罪」
親が
悪いやつらから
我が子を守れなくな ....
老人ホームの裏庭の金網フェンスに取り付けられた鉄の門
その下の開口部をくぐり抜けて道へ出る三毛猫
「おはよう。朝ご飯もらえたの?」
「やあ、おはよう。うん、今朝も猫ミルクとキャットフ ....
蟻を踏み 瓜を食む
夏の熱 まどろみ乱れ
毬を持ち 森を見た
月の角 しじまに白く
きみといた うたかたを
書きとめる すべもなく
こころ満ち また欠けて
十六夜の 膝枕 ....
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