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JRから東武線への通路は朝から混雑し
僕はひたすらまっすぐ歩く作業着の僕を
高い窓の外から眺めている
通路の真ん中には真っ赤なテープが貼ってあるのに
右にも左にも進行方向を示す矢印がなくて
 ....
いけんをいえと
あなたはいう

いけんはないと
わたしはいう

それでもいえと
あなたはいう

いわなければ
ころすとせまられる

わたしはあなたに
いけんととも ....
   野の兎
   降る雪ものともせずに
   跳ぶ

野兎にとって
視界のきく
晴れわたった銀世界は
好ましい環境とは言えない
狐や鷲、鼬といった
天敵の眼に自分の姿を曝してしまう ....
世界が美しい花のように開く時

人々は皆沈黙している

言葉がそれを讃え 音楽がそれを表す時

人の耳と目は沈黙している

君は

空が降ってきたかのように

目と耳を塞ぎ ....
今、私の目の前に存在するネジを巻いたら
昨日西永福の駅で私に舌打ちをした中年と
再び会えるのだろうか。

もしそれが叶うのであれば
私は迷うことなくネジを巻いて
その中 ....
超音速で舞い降りたガルーダの
尻尾の先にくっついたまま
世間を見てきた烏天狗の出来損ない
それが自分の姿で
嘴はもちろん黄色かった

そのまま部屋の中に入る
無音
嘴と眼をカッと見開く ....
先月エアコンが壊れた
次の日炊飯器が壊れた
次の次の日Macが壊れた
次の次の次の日掃除機が壊れた
次の次の次の次の日冷蔵庫が壊れた

でもね
いちばん最初に壊れたのは
ぼくだったんだ ....
食パンのみみが
初めて出会う言葉は
まだ星空が出ている時間から
働き始めるパン屋のおじさんの
「上出来だ」の嬉しい言葉だろう

スライスされる前は
全身が みみなので
工房の全ての音が ....
叶わない


あなたには敵わない



ゆるぎないモノ?
なぁにそれ?

雲みたいに幼く移ろう日々
少女は問う

雲みたいに流れない、ものだよ

かすかな記憶に響く声 ....
その頃
仕事の成績を上げることに必死だった男と
その頃
産声を上げることに必死だった少女

子供を産むために愛情を交わす必要条件が
物欲と性欲を満たすために交わされた交換条件の下出会う昼下 ....
昭和5年の夏、関西のとある町にて 
縁側に横たわり昼寝する 
少年が目覚めた頃、母親は 
まっ赤に濡れた{ルビ西瓜=すいか}を 
お盆に乗せて、持ってきた 

庭に立つ一輪の{ルビ向日葵= ....
「位置について、用意」 

乾いた鉄砲が空に鳴ったら 
時を忘れて 
自らの存在が溶け去る迄 
只、走り続けよ 

脳内から分泌される 
あどれなりんの快楽が 
体内を巡り 
魂の ....
こしかけていたひとが
もういないので

そのいすに
こしかけてみる

いなくなったひとと
おなじくうかんに
ねぇ こっち向いてよ
誰としゃべっているの

ねぇ こっち向いてよ
何を考えているの

嫉妬の始まりはみんなこう
恋人でも 友達でも 両親でも

さみしい って気持ち
愛されたい  ....
  空き缶がある
  中に一匹の蝿がいて
  ぶんぶんと旋回している
  わたしの耳に聞こえている
  耳にだけ聞こえている
  蝿は蝿を欠いている
  蝿は蝿を欠いている
   ....
逆立ちをして血が上り続けてしまったことを悔やんでいた男たちは鉄錆になく

暮れとも明けともつかない空は鈍色だ。鉄骨の喉元を明け透けにして、鉛筆の芯みたいにうらやましい胚内をうらんで、せせこましくも ....
死者の世界をも包括しないと
現代に物語が成立することはない
といったのは誰だっけか

死者の世界とは
異形の世界であり
異能の世界でもある

リアルが
揺るぎないものとして
そこに ....
目を刺す金色、完璧な夕方、漫画雑誌の白黒



まずそうな紙の上で女の子が笑ってる。明朝体でしゃべるのが逆に
ポップ。あらかじめ用意された運命がめぐる毎週、終わる前提の世
界で、それでも恋 ....
  .
なぜ真っ黒な爪を残そうとするのか
なぜこんな真っ黒な棘をおれたちの
臥床{ルビ=ふしど}の下に残そうとするのか
おれが寝返りをうつたびきみが頬杖をつくたび
おれたちの手を胸をちくちく ....
{引用=
新人の台頭にカメラマンはシャッターをきりきり舞いさせ
華麗なジャンプはエッジを立てきりきりと氷を削った
綺麗な放物線を描いて舞った氷は
スケート靴すぐ傍ぎりぎりに
命がけ(とプレー ....
顔見知りの男が死んだ

いつも何かにイラついていて
斜に構える自らの姿に酔いしれていた

そんな一人の男が死んだ




よくある話しだけど
おんなが二人いた

別れた奥さ ....
自分の人生を愛おしんで
ここまでつき合ってくれた
セーターの青ミックスの色を
両の腕に抱きしめる

コープのお店に並んでいた
赤ミックスも緑ミックスも
好きだったな
モールのセーター
 ....
この世界は綺麗です

あなたはそう言って
どこかへ去って行った

この世界は綺麗です

あなたは泣きながらそう言った

この世界は綺麗です

あなたは痛みに顔を歪ませて言った
 ....
時計のない国で
のんびりと暮らしています
時計はなくとも
時間はあるわけで
朝、昼、夜と
まこと
大雑把な時間の感覚ではありますけれど

いちまばたきが 
      およそ一秒
 ....
物言わぬ駝鳥の目
遙か目の先には地平線がある筈なのだが、
駝鳥は相変わらず地面を見つめせつせと虫を啄む。
せつせせつせと虫を啄む
危険を感じたとき駝鳥は首を長くして遙か遠方を睨む。 ....
許容量を超えた痛みには
モルヒネを!

彼女にとってのモルヒネは
慰めでも愛でも誰かの保護でもない
背中に彫られ増殖しつつあるドラゴンタトゥーと
顔のいたるところに開けられたピアス

 ....
オーケストラの調律の基本となるのは
オーボエの出す440HzのAの音程

オーボエは音程の不安定な楽器であるのに
ただ音程が聴き取りやすいために
その任を担わされる

しかしコンサートマ ....
独り暮らしに
慣れたのか
不安なのか

はたまた
楽しんでるのか
つまらないのか

休みの日の夜は
あてもなく
バイクでちょっとお出掛けをする

街から少し離れた
農道を走る ....
子供のころ

ブランコを漕ぎながら目をつぶり

どじょ〜、どじょ〜、と叫ぶと

気持ちよくて好きだった


なぜ

どじょうだったのか

それを思い出すたび

胸に痛みが ....
ホッテントット
ビッケ
ブッシュマン
ホッテンプロッツ

ノルマン人
ロイバー
メスチゾ
蒙古斑

マッケンジー
アルマゲドン
マーマーレード
モカマタリ
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_- 自由詩112-2-21
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