すべてのおすすめ
多摩南野に降る雨がしっとりと僕に優しい。
まるで霧雨の薔薇園にいるみたいだ。
白いヴェールを纏った貴婦人は冷たい微笑を浮かべて佇む。
モネの絵画。
濡れてギラギラと輝く路面はかつて光の ....
僕は気取った女が嫌いで
たとえばピアノをがっつりやっていた とか
陸上をやっていたとか
負けず嫌いなんです とか
いろいろ自己顕示をする
やつがだいきらいだということを
飲み屋の横の席に座 ....
あたし自慢じゃないけど
不幸そうな顔を
してしまうことの名人
影が濃くなる夜の
街灯はやなやつで
こっそり隠れていようと
するあたしを照らす
ホームにはふたつの人影
たぶん別れ ....
日差しに焼けた肌が
深夜の電光に溶けている
胡瓜は
フルーツだろうか
という議論を
今し方
あの白い壁の向こうに聞いた
そうだ
もう
夕焼けのときめきが
透明な鴇色のレイヤーに ....
夜 お手洗いに起きて
階段をトントンと
降りた
リビングでひそひそと
話す
父と母の声が聞こえた
あの子は冷たい子だね
母は言った
一瞬 なんのことか
わからなかっ ....
またあの子
そうか 小学校が休みだから
女の子はもじもじしている
暑い昼に お母さんと道で弁当なんてという顔をしている
頬に浮かぶその汗を無理やり拭いている
わたしが来ても顔色一つ変えな ....
数か月を一緒に過ごした季節が、けさ帰ったようだ。
挨拶はできなかったが、夜中から荷造りをする音が聞こえていた。
せめて手紙でも置いて行けばいいものを。
寝転がったまま薄目を開けてみると、 ....
母さんにちゃんとした初給料で
ご飯誘ったら、笑ってやがる。
何食べるか考えといてって言ったら
へっへと笑ってやがるんだ。
つられて ....
むかしむかし
アルプスの少女ハイジを観ていて憧れたのは
日向の匂いの藁布団や家の後ろの父性の巨木
何よりも、おじいさんが串で炉火にかざして
ハイジのパンに載せてやる、山吹色にとろけたチーズ
....
潮風が夜の帳を連れて去り
厳かな今日の光が
水平線を少しずつ露わにしていく
岩肌が頬を染め
砂浜が肌を隠そうと波にもぐる
生気と活気に風景が色づいていく中
僕だけが依然として黒い
....
シャッターの音には
変な顔が必要で
歩きにくい
ごつごつした石畳が
水の底に沈んでいた
あたしは花柄のあたらしい長靴で
口を曲げてウィンクした
パシャ
....
パンを一口かじる
柔らかくて美味しいので
生きた心地がしない
少年が救急車の真似をして
変電所の方へと走っていく
その距離と速度の先に
助けなければならない人がいるのだ
....
ひとは
寂しいふりと、狂ったふりが上手です
全員ではないけれど
大半は、そんな気がします
彼女は論文を書きます
自分が、自分に出した課題で
原稿用紙を何枚も埋めるこ ....
現代詩手帖を
ツタヤで立ち読みした
イチローが
内野安打を打つたびに
子どもが一人死ぬ
というような、うろ覚えだが
そんな詩があって
胸を打った
その後
....
子どもが18人います
一日に3人殺します
何日で殺せるでしょう
生き死にの話をするとひとが立ち止まる
がちゃがちゃ
誰かが
わたしの筋に刃をいれて
筋とりを ....
鉢植えの故郷を食べちらかして
ぶらさがるようにサナギと化し
太陽が一番高くまで昇りつめた日に
みどりいろの粉をまきちらしながら無軌道を描いた
6月の水たまりと7月の林床と8月の月あかりと9 ....
心の傷に苦しむあなた
退屈な毎日に飽きてるあなた
自分の存在を認められないあなた
あなたたちですよ
そんなふうに
自分のこと思ってるのなら
試しに
死んでみてはどう ....
穏やかな夏の青い空に
幼い頃聞かされた赤く染められた天地が
嘘のように
頭を刈った少年たちの
淡い掛け声が響いた
誰もが歩む死への行進
だけど殺し合いは御免だ
「兄弟仲よに分けないか ....
深夜 静かな公園のベンチで
そっと涙を流す
失ったものの重さ
耐えられそうにない
僕はいくつ失敗を重ねてきたのだろう
届きそうな幸せは
みな手をすり抜けていった
崩れてゆく未 ....
特に何もない
さ迷う道を 振り返ろうとした
歩いていくべき道だと
躊躇しながら 私は 歩きだす
特に何もない
髪の毛はなびいていることだろう
金髪だ 「だが」
私は また 歩き出 ....
美しいもののために
わたしの泥がたちあがる
言葉は手段になり
舌も歯も唇もメディアになる
ぜんぶ私のもの
だったのに
どうしてだろうわたしは
どうしてだか
人間になって ....
ヘンリー・リー・ルーカス
ソニー・ビーン
ヨアヒム・クロル
俺の心臓は一個
お前ら犬の糞と同じく一個
....
三連休には困った。
やることがない。
というよりも、したいことを、するだけの、
金がない。
(体力も気力もないが)
欲望はストレスに比例する。
死ぬ間際に、ひとは勃起するらしいが、それ ....
もともと世界は一連の階段だった
一段一段に彼がいてあなたがいて僕がいる
その下には彼とあなたと僕のご先祖様がいて
「あ」が「あ」になるように「さ」が「さ」になるように
首をひねって
....
親愛なる○○ちゃん
テレビのジョンって凄いネーミングだとおもったことってある?
犬キャラなんだぜ
しかも(語尾上げ)
テレビの犬
ってことかっておもわないかい?
これが民間 ....
風邪ひいた
鏡の私が情けない顔で
くしゃみを3発
脳味噌が揺れる
くしゃみを3発
モナ・リザもくしゃみをする
その時
?泣く女?もくしゃみをする
アイスランドもくしゃみにぶれる
世界 ....
ススキの穂の群れの中でキスをしました
高く澄んだ青い空が見えました
ここは心の中にしまっておくための
誰にも邪魔されない場所だから
あなたとわたしは幸せでした
サワサワと穂が揺れて包むものだ ....
学校のかえり道
キミはいつも
あたしに
宿題をだした
それは
2次関数だったり
パズルだったり
次までにがんばって
キミはいつも
白い歯をみせて云う
理数系の苦手 ....
水の作り方を
書き留めておこうと思う
水素とヘリウムと鉄と酸素
それからスーパーノヴァ
水の巡らせ方も
書き留めておこうと思う
雨の落とし方と土地の刻み方
呼吸と光合成、涙と氷河
....
カキコ
ゆかりの詩人の指を一本拝借して詩を書いていたのですが
その指が痒いというのでクリップの先で擦ってやると
流れる血がまた詩の風貌に滲んできたので 調子にのって
ためしにインスタント珈琲を ....
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