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Museum of Broken Relationships
星のきまっている者はふりむかぬ
私がニューヨークへ
映画のプロモーションに行くと
朝5時半から行列ができた
8時の開場までに ....
長年カーよいなれた湖畔のドライブインがゴールインしたというので、祝いにいった。
助手席には白樺がフロントガラスをくりぬいて座り、はやくも車を湖沼にみちびいた。
故障にしずむクラッシュカーに枯葉がお ....
アフターダーク 影は踊るよ
張り詰めた宙 小声で歌うよ
月 星 現れ 宇宙 火花 生まれ
暗くなってゆく 本当の内証…
天高く月が昇ります 白銀の女王よ
夜の風景に溶けてゆく呪 ....
○「家庭菜園」
家ノ前の畑に
白菜キャベツ大根などの野菜が
よく育っている
毎日見るのが楽しみだ
見るだけで元気をもらえる野菜たちだ
○「ホスト狂い」
愛を金で買うことは
できない ....
○「認知症行方不明者」
一年間で二万人近くもいる
この深刻な状況が目の前にある
他人事じゃない状況が目の前にある
長生きは楽じゃない
○「頻尿」
二時間おきに小便に起きると友人がいう
....
岩隠れ、{ルビ永遠=とは}に{ルビ天陰=ひし}けし岩の下蔭に、
──{ルビ傴僂=せむし}の華が咲いてゐた。
{ルビ華瓣=はなびら}は手、半ば{ルビ展=ひら}かれた{ルビ屍骨=しびと}の手の{ル ....
AからZまで順に発音させて
好きにドレミで歌わせて
どれか一音でも
「お!?」と思わせる音を
唇から出すシン ....
子守歌がきこえて
野は秋色にひらけゆく
かなたを渡るひとひらの雲
古き心のなつかしさ……
夏のかたみに置き捨てられた
小さな竪琴を奏でてゐるのは
優し気にうなだれる草々 ....
チンチンにカメラを入れられたことがあるかい?
別に麻酔も何もなしで入れられちゃうんだぜ
管にクリームみたいなもん塗っただけで
スルスル入っちゃうんだよ
そしたら医者が入れたり出したりするんだけ ....
コン ト ロール ケーキ ケン スギル アイツは、ロッカー
どこからともなく
黒い帽子、
黒いコートの
陰謀論者がやってくる
はじめ電信柱の影にいたが
子供たちが騒ぐと、
わざとコートの前を開いて
●ン出しをして追いかけて来る
不気味な ....
Mmmmm.
Whip!
Mmmmm.
Whip!
子よ、
(創世記二七・八)
わが子よ、蜜を食べよ、
(箴言二四・一三)
tuum est.
....
詩をさがしても必シになることはない
糸をたらして蜘蛛のようにおりてくる
視点と蜘蛛の交差点の上に支点がある
蜘蛛を息でゆらしても支点はぶれない
背と腹を交互にむけながらまわる蜘蛛
あたか ....
○「投資サギ」
「そんなにもうかるなら
人にすすめないで自分でやれよ!」
「甘い言葉ともうけ話には
厳重警戒!」
「お金は昔から
汗水流してかせぐもの
楽して増やそうとするか ....
一雨過ぎればそれはがらんどうな九月の空
晴れた午後には青いト短調のひとふしが流れる
鳥の運命しか知らない僕らは
夏ぢゆう播き散らされた花の残り香に狂つて
澄んだ微風の失 ....
幌馬車にゆられ
ぽつんと大地に置かれた
ゆられ、ゆられて
何処でもない場所に産み落とされた
幌馬車の上で巡り会う
出会いと同時に別れの挨拶もした
私に仕事を与えてください
信じる ....
立冬の朝ワイフを乗せて美容院へ行く途中で
自転車をこいでいる二人の知人に会った
一人は同級生
車の免許証は取ろうにも取れないので
八キロあまりの道を
自転車をこいで人妻にしばしば会いに行く
....
フィリピンの孤島で
日本の自称詩人が発見された
1945年から1985年まで続いた
自称詩人狩りが終わったことを知らずに
38年もの間逃げていたという
自称詩人が村に出没して
食料を強奪す ....
for an album "Radio Bukowski" by Guilherme Lucas
え?
なんだって?
おれは──英語がわからない。 ....
○「まちがいや失敗から」
○人生にまちがいや失敗は
つきものだ
まちがいや失敗から学ぶ力をつけよう
「失敗は成功のもと」
「まちがいは成長のもと」
まちがいや失敗は
隠すためにあるも ....
({ルビ天=てん}{ルビ使=し}の、{ルビ骨=ほね}の、{ルビ化=か}{ルビ石=せき}、じつと、{ルビ坑道=かうだう}の、{ルビ天盤=てんばん}を、{ルビ見下=みお}ろして、ゐた、……)
({ル ....
下半と上半をつなぎとめているのは腰の骨
(やれやれ腰がついに口をききはじめた)
つまりは天と地の神聖なむすび目も腰にある
(口をひらけば不自然な違和感もおきてくる)
神がつかわすロープは言葉と ....
船場汁っちゅうのは
塩鯖のアラを使い、
その塩気と、
だしだけで食べるもんや
汁の具は鰭と目玉、
鯖の骨やらのアラのほかに
大根の薄切りをつかう
そんだけでもう十分やろ
板張り ....
なにになるのかわからぬまま
船を漕ぎださなければならない
河岸を変え
肉に刃を入れ
針を刺し
名をあらため
これまでの日誌は燃やした
空は暗く北極星もない
羅針盤はくるくる回り ....
赤いウインナーに、
十字の切れ目を入れて
四本の足を作る
さらに一本づつ 内側から
四回、切れ目を入れて
八本の足を作る
油を引いたフライパンで
コロコロ炒めると
足が開いて蛸ちゃ ....
庭にいるのはだれか。 (エステル記六・四)
妹よ、来て、わたしと寝なさい。 (サムエル記下一三・一一)
箪笥を開けると、
──雨が降つてゐた。
眼を落とすと、 ....
何でもないやうな
大したこともないやうな
永遠なるものが流れてゐた。
そこらの小川のやうにゆつたりと流れてゐた。
しめつた、つめたい風が吹き
茜の雲の、{ルビ一群=ひとむれ} ....
○「寂しさ」
秋の夕暮れはやっぱり寂しいね
みんな寂しいんだろうね
寂しさは誰にでもあるものなんだろうね
子や孫に囲まれていたら寂しくないとか
金持ちは寂しくないとか
皇帝は寂しくないとか ....
東京スカイツリーから
自称詩人を突き落としたい
自称詩人のことだから
地面に激突するまでに
自称詩の一つでも朗読してるだろう
いや、ひょっとしたら
落ちずにそのまま飛んで
カラスみた ....
何も言わない
誰かとすれ違っていく
夜の街灯の 道を 僕は
歩いていた
誰かを追い越していった
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