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淀みの中に心臓をふかく落としてしまった
不確実な手放しの感触と
俯角の鈍さに たゆたいながら
海水面ではずっと光が音を奏でていたのだ
遠い太陽には眩しい響きが共鳴していて
届かない明るい ....
160126
キタキツネの缶詰ならいくらでもあるよ!
私は声を張り上げる
新鮮でぴちぴちした若い雌の肉だよ
いつか来た道を馬車で運ぶ
淑やかな女性の胸にも
キタキ ....
冷たい手
あたい、冷え性だから
温めてやるさ、ずっと、ずっと、
指先が触れる。
指先が動く。
私の一日がはじまる。
ことばを書くことは、
身体の一部のようなもの。
私がそっと、
何かの気配や、
匂いを感じただけで、
そこからもう、
物語がはじま ....
風が大河のように重い土地で
腰を落とし 捻じれて育った
樹は 首を傾げ 雲を聞いている
節くれだった片目で
ヒレンジャクたちのお喋りに
口をはさむでもなく
遥かな海や
見渡す限りの黄金の ....
160123
ラジオは浄瑠璃の義太夫節を鳴らしている
声は無いから三味線だけだ
第一放送は「今日の短歌」読者投稿に選者が好意的な評をつけ、相づちを打つコンビを組 ....
器官の短詩(四作)
目
畑に落ちた目は農薬まみれ
瞬きをひとつして
流す涙
バブル経済でも畑には朝露(ほうせき)
ひかりと温もり、太陽が
労働の背中を見つめていた
....
http://golconda.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=5297070#11473220
即興で詩を書くサイト 即興ゴルコンダ仮の今回の御題は【はなして】です。
みな ....
眠れない夜が不気味に笑っている
私は部屋の隅にあった、
鍵穴のような小さな穴を覗く。
ぐりぐりぐりぐり、
視線の針先が穴をまさぐる。
私はその触覚が擦れあう音のような、
快感に歓喜する。
ぐりぐりぐりぐり、 ....
鋳掛屋は大阪付近では昭和40年代まで見かけたのだとネットには書いてある。西暦に直せば1965年から70年くらいの期間、日本国が美しい国から、あまり美しくない、やけに忙しく伝統を捨てて、国土開発の名の破 ....
ぬるいまどろみのなかでみた
せつなの夢の裾の感触が、
この指に絡みついてはなれない。
けれど、
ひとつの、
拭いきれない痛みがある。
痛みはこの胸を貫こうとするが、
せりあがる熱に溶かさ ....
大好きだよ
なみだの古里
もう離ればなれ
表面的でもいい
過去形だけど
大好きだよ
増殖していく
あのひとが
あのひとに
僕は敗北した
....
ユキがフッた!
アタリつもって
デンシャ止まって
カイシャ困った
ユキにフラれた
つもりで当たって
あわれ荒れアレ
おわる恋かな
風吹くママに
ユキは降り降り
フリフリチラリ
シ ....
【燃える一週間】
大切な行事のための火は尊いけれど
大事に至ってしまった火もまた うるわしい
漆黒の空に 炎の ....
宵闇 白い息
ナトリウムランプの
並木道
ぼんやり明るい
冬の道
人や車のはけた道を
猫の影だけが
ゆっくり横切る
いいなあ
ランプの精が
炎をジャッグルしながら
....
ピアノを奏でた指先は
詩を書くためのボールペンを握り
最後に送る父への手紙を書き続けた。
父の好きな花達は/何事も無く/式場のライトを浴びて
美しい花びらを/正面玄関に向ける。
ピ ....
淋しいから そっと伏せて
このこころを そっと消そう
悲しくないさ 虚しいだけ
虚しさもいま 消えてゆく
蝶々にも 情がないという
秋桜も 揺れるだけ
ぼんやりとした光景に
ただ ....
暗い駅のホームにてかじかんだ手で
自販機から買ったホットコーヒーを飲む
コーヒーとともに朝が費やされる
未来の広がりよりも
過去の堆積の方が圧倒的に大きく思えるのは
いつからだろうか ....
名もいらぬ
我
一個のエキストラ
160118
穏やかな波がマリモを育てる
丸くなるのはなんででしょうと
ワカナさんは研究している
マリモの動きを見ていると
ぐるぐると回転しているのです
その場で回転する ....
手のひらの奥から、
沸き立つ海の声は、
私の睫毛を掠めながら、
空に向かい飛んでいく。
私は罪という罪を、
毎日犯している。
誰もが罪と認めないことでも、
私のなかでは ....
尖った月を見上げて
寒さに首をすくめた
枯れた街路樹の枝のスキマから
冬の夜空が広がる
凍った街灯がぼんやり
あなたの影を映す
鋭い月を背負って
あなた怪物みたい
優し ....
津波と圧死
どちらも絶望だ
愛が掠れそうだ
あれから重ねる歳月
ペテルギウスはそのままだ
あれがもうひとつの月になるまで
無力でも反芻していようか
津 ....
あなたが描いた絵を見た瞬間私は気がついた。
私は確かに、
あなたの側にいると。
緑や黄や、青や白で描かれた、
あなたの景色は、
私をいつかいた懐かしいあの場所に
連れていってくれる。
....
かなりあ
作詞 西條八十 作曲 成田為三
「唄を忘れたカナリア」から
訪わない
かなりあは
もう唄わない
あとは捨てられるまでを
生きる
眠る瞳で
唄って ....
何のために存在するのか
そんな問いを無効にするため雪は降る
世の不条理と人間の不条理との
遠い血縁を否定するため雪は降る
雪の冷たさは仮面の冷たさ
雪の素顔のうごめきは
辺りを ....
十日以上食べられなくなって
明日から入院
多分2カ月くらいは仕事もお休みだろう
しばらくは様子をみるため監禁される
自殺願望も攻撃意識も無いのに
せめてパソコンでも持ち込みたいのに
スマホ ....
駅のホームには
人々の疲労と希望が散らばっている
コンクリートの怒りによって
掃き清められた余りにも尊い人生たち
線路は狂おしく悲しみながら
大きないかづちを流している
....
160114
拝啓前略
最近、
読んだかどうか覚えていない書籍が増えた
表題のも定かで無いが
雪の降る頂上付近にヒョウの死骸があったとかの
描写があったような ....
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