すべてのおすすめ
なみだ、
ぽろぽろと剥がれ落ちてゆく、
頑ななウロコの溶解、
あつい塩水が、
頬をつたうたび、
こころは、
飾らない、
まっさらな素裸になる、
なみだ、
かけがえのない、
....
近所の子らの手をひいて
人いきれのする方へ お提灯かき分け
夏の夜がひろがる空で
花を散らせる 長い指さき 見ていた
二十七歳の私
ルリカケスの羽根 織り敷いた
天の川から眺めるこの町 ....
いつか、詩人は、わたしに、森 鴎外の『舞姫』のパスティーシュを書きたいと言っていた。
愛がわたしを知るとき、わたしははじめて、愛が何たるものかを、知ることになるのであろう。言葉の指し示す ....
明日は梅雨の中休み
曇りのち晴れだという
渓谷の奥深く入り
源流の王イワナを狙う
バッハの無伴奏チェロを聴きながら
神さまは、
いらっしゃる
とても、
気まぐれに歌を歌って
いらっしゃる
下々の下賤な希望を踏みにじるのが喜悦
なのか
くすくすと
笑ってい ....
陽のかげる時
美しくなる人だった
陽の輝く時は
自分から遠くなった心を
捜しかねているのだ
まして雨の時など
濡れた頬に
昨夜のベーゼが生き生きと甦っている
....
「真実なんて、どこにあるんだろう?」と、ぼく。
「きみが求めている真実がないってことかな?」と、詩人。
でかかった言葉が、ぼくを詰まらせた。
文章を書くということは、自分自身を眺 ....
はじめての晩餐は
邑に訪れたちいさな食堂で
私たちのざる蕎麦をお月夜に見立てる
ふるぼけた小卓でやおら啜れば
コップには光る泉も噴水もあって
おばちゃんのコロッケ
箸おきに触 ....
○「思いやり」
思いやりはちょっとしたところにあらわれる
相手が負担に思わないところにあらわれる
○「理屈妻」
ああいえばこういう
こういえばああいう
理屈はもううんざりだ
お好きな ....
あー、なにも変わらない、ボロの部屋
ゴミ袋の中の昨日と分別中の今日
そして明日も良い天気かな 少し不安
とりあえず、納豆&卵かけゴハンを食べる
おそるおそる粘つく息をして 咳き込む
叫 ....
{引用=
日々のいたみを忘れるように
ときおり視野の淵をはしる線
四季の陰影をかなでる奏者
モノクロームで、ことたりる
もう
彼方からの
....
午後まで晴れていたのに
それからはずっと
降りやがって
いまはもうちがった肉体が
駅を拒みつづけるのはいったい、
どういった理由なんだ、運転手さん
おれが待っていた、 ....
メーカー希望価格の最高級ラインが2,500円
大手釣具ショップで2,200円くらい
それがネットでは1,400円から3,400円で売っている
釣り針も大手釣具ショップで16個入りで200円くらい ....
激しい 嵐が 過ぎ去った
そのあと
訪れる 新しい光や やさしい安息は
まるで愛する人のように
僕のこころを そっと くるんでくれる
すべてを 許せるくらいに
憎し ....
*今年は鶯がよく鳴いている
隣のじいちゃんもそういっていた
梅はならんかったが
鶯は絶好調である
ホーホケキョ!
*天気だけはどうしようもない
人間が適応するしかない
九州は今週も雨 ....
{ルビ渓=たに}と渓が合流する遠い澱みには
銀鱗の女王が潜んでいると釣人たちはいう
普通のロッドと仕掛けでは逃してしまう
いよいよ本流竿の出番がやってきた
7mで250gの本流ロッドは軽くしな ....
図書館へ続く石の階段
日陰には
きのうの命がただよっている
雨ののち
ひごとに深くする手鞠花の青
カタツムリは絶滅したんだろうか
遠い子守唄
世界に向けて閉じられた手提げの中はやすらかに ....
○「伝わらないワイフ」
ワイフはいつも「主語」を抜いて話す癖がある
隣のおばさんの話が
いつの間にか亡くなった伯母さんの話になっている
○「修行の夢」
「残念ではありますが
お釈迦様の ....
掲示板
イタコです。週に二度、ジムに通って身体を鍛えています。特技は容易に憑依状態になれることです。しかも、一度に三人まで憑依することができます。こんなわたしでよかったら、ぜひ、メールください。ま ....
死んでも旬でいるために
生はどんよくに波をかく
波うつことで脈ありと
信じていけるその日まで
脈動はきざまれた
きざまれてわかたれた
脈動はわかたれた
わかたれてきざまれた
わたしとあ ....
大きく裂けた口のある白い顔で笑い
煌びやかな衣を纏った記号が宙を行き交う
吊るされた語彙は真夜中の死体のように重く
暗い羅列が濁点だらけの股間にあった
大好きなキミの瞳を輝かせたいから、
....
あんなに永遠だった花も
過ぎてしまえば永遠でなくなる
嘘みたいだ
今までを永遠と呼ぶこと
永遠が終わり
実存の穴埋めが始まる
埋まらないまま時が流れる
その間も日々の生活があ ....
論理的には全世界が自分の名前になるということが理解できるか?
(イアン・ワトスン『乳のごとききみの血潮』野村芳夫訳)
ほかにいかなるしるしありや?
(コードウェイナー・スミス『スキャナー ....
彼には、入れ墨があった。
革ジャンの下に無地の白いTシャツ。
ぼくを見るな。
ぼくじゃだめだと思った。
若いコなら、ほかにもいる。
ぼくはブサイクだから。
でも、彼は、ぼくを選んだ。 ....
土留色のナイショが蠢いている
秘めごとを沢山食べて大きくなった
巨大な海鼠にも似たナイショが床を這う
ナイショの匂いは潮風のようだった
こんなに丸々と育ってしまったら
きっといつかバレて ....
{引用=
日々の蓄積された労働によって、もうすっかりとひび割れて、枯れきってしまった。そんな心の大地の奥底から少しずつ滲みでてくる、君という存在を知っている、ボクの中から生じられた、補おうとする水な ....
暗い目をして 海へ
暗い目をして ブツブツ云う
私を嫌ったひとは 嫌いかえしたいな
いつまでも好きと想うな 自惚れないで
わからないなら べつに良いけど
わからな ....
やまない雨はないけれど、
世界のどこかでは雨が降る。
たとえ地球の降雨量が
ゼロとなる瞬間があるとしても、
宇宙のどこかでは
絶対に雨が降っている。
硫酸の雨が、
鉄の雨が、
砂の雨が ....
◯●●●●◯●●●●●●◯●●●●●◯●●●●●●◯●●●●●●◯●●●◯●●●
◯●●●●◯●●●●◯●●●◯●●●●●◯●●●●◯●●●●●●◯●●◯●●●●
◯●●●●●●◯●●●◯●●●● ....
蝿の唾液の味というものは
全体にくぐもっている輪郭と
妙に痺れるようなさらりとした芯で構成されていて
鈍い光を反射する鉄釉の盃の縁を
六本の脚で複雑に
同時に滑らかなことこの上な ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208