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容疑者の写真がニュースに流れている
月が北東に隠れようとしている
あれは北西なのかも知れない
月が容疑者のように
どちらの方角にも気配を撒いている
三日月ぐらいの形を見つ ....
不思議
深く眠りながら
果てしなく醒めている心地
見えない舟が 横たわる僕を乗せて
透きとおる彼方へと 漂ってゆくよ
夜は青く
あえかな香りが僕を包む
この流れのほとりには 何処まで ....
きみはスタンダード曲が大好きなんだって
でも何故シナトラやトニー・ベネットばかり聴くんだい
日本にスタンダード曲はないって
スタンダード曲を愛するきみが
それほどに無知だとはね
そん ....
ひとりで生きられる
生きられない
それとも、ひとりで生きざるを得ない
わたしってどれなんだろうね
※
無責任ってわけじゃないけど
ちょうど
満員電車のなかで誰かに寄り ....
大きなゴミ箱の中で
暮らしている
最近
腐ってしまって
汁が出てきた
犬でも飼おうかな
このままどんどん腐って
いつか雲に乗って
飛べたらいいな
その4人は故郷である奴隷貿易で栄えた街で生まれ
ドイツの或る街で夜通しライブに明け暮れていたクラブで
故郷のレコード店の店主に発掘された
4人は独りの仲間を解雇し新しいメンバーを迎え
再び ....
私は
カラダの中に
海の記憶をとどめておくの
何度
再生しようとも
薄れはしない
漣の音
いつか
愛しいあの人が
私のことを手にとって
そっと耳にあてたなら
懐かしい愛の歌が ....
*銀色夏生の「下心」のアンサー・ポエム
確信をもって行動したら
「そういうのは、ちょっと」と否定された
恋をしていたけど愛はなかった
貴方にも
後になって気づいたのだけど
否定されても ....
あまりにも白々しい骨。
雪よりも小汚い、
血に肉が親和するように、
骨に音楽が融和する。
「種子を植えろ、荒野へ!」
砂、砂があるゆえに白い砂漠。
(水 なくて白く ....
鏡の裏に灯る鏡の
違わずに違うゆらめきたち
午後を夜にわたす道
満ちた花を踏みしめる道
窓のむこう
緑の雨
誰のためでもない
三重の檻
冬につらなり
....
君がリリアン編んで
見上げた空は花と同じ色で
ぜんぶ、ぜんぶ春だった
ゆびさきで、光源をたどる
なくしたもののかたちは
思い出せないけれど
なくしたものから芽ぶいたのは
街でいちばん ....
夏にあいたひし形の穴から
海が溢れだす
きみは定規で水平線を引き直す
クジラが大きな口を開けて
ぼくの腹話術で、あー、と言う
わけてあげると
たわけたことを
のんきにみせてる
づきづき わらう
かなしばられないかおで
そようのないがしろな
ほのぼのやわに
ちゅあちゅあ こぜり
みくだし みくるい
....
猫を飼いたいと想う
強く猫を飼いたいと願う
何度も管理人さんにお願いしても
答えはいつも駄目だと云う否定の答え
外には出さないし
部屋も清潔にするからと
懇願してもやはり否定の答え ....
ふと、とまる
みえない
レールのうえで
きみとなら
どこにでもいけた
どこまでも
いけたはずなのに
ぼくらのきしゃが
みつからない
まだ 朝のやさしい光が
町にあふれるまでには 時間がある
薄闇の中で 白い呼気が
のろしを上げている
白いのろしは まだ街灯が灯る 細い路地を抜け
古びた木造アパートの鉄階段 ....
小学生の頃のいきつけの内科医院は いつも
消毒薬と漢方薬の匂いがしていた
医者の奥さんが受付の奥で薬を調合していて そこでもらう薬はとても粉っぽくて
飲むと必ずむせた
待合室から小さな裏庭 ....
なんの気なしに
好きだといったら
なんの気なしに
好きだと返され
空に
青がみたされるように
しぜんと
おわってしまった
泳ごうか、とぼうか
愛機に祈るか暁に祈るか、
暗く閉ざされた青のなかで
惑いながら
魚になる魂。
受肉せざるもの、すべてに灯をともせ!
雪、ふりつもる雪。
銀 ....
きょう、
もう わたしは
倒れてしまった
独り歩きつかれて
のどもカラカラ渇いて
バタンと前のめりに
倒れてしまった
すると
背後から
男に捕まってしまった
....
かあさん
お空が ないてるよ
だれかが
なぐさめてあげたらいいのに
かなしくなくても
なみだはでるよ
なみだで
せかいを
あらいながしたあとは
とつぜん
正気にもどって ....
わたしの空には定規があてられている
電柱の先がじゃまでまっすぐ線が引けない
わたしの空には定規があてられている
わたしはそれを美しいと思っている
わたしの空にはすべての青が詰まっている
....
ぼくの人生はだれが采配してるのかな
彼女に言われたの
あたしは結婚も恋愛もあきらめていたからいいのってね
時々恋をしながらでも恋に遅れていたのだね
ぼくの中には数億から数兆 ....
紙コップを満たす時間
計算機を分解し続ける少年の側で
親戚の人が斜めになってる
今日会いたい人の
苗字が思いつかないのだ
空も
海も
荒れている
鉛色した浜辺に
鈴をなげる
こんな日であっても
ひとは
生まれ死ぬのだろうか
鳥たちは
季節を選ぶというのに
どんな理由があって
生まれ死ぬのだろうか
....
突然見舞われる不幸は
偉そうなご高説によるものではなく
リアルな現実でしかない。
直面する哀しみは
勿体ぶった芸術作品の中にあるのではなく
喪失したという現実の中にある。
今見ることの ....
ふと、目をやる
視線の先には 木蓮
ここ数日
一けた数字の寒さの日
もこもこに着込み
大判マフラーの間から
景色を見ていた
ベージュに近い2センチほどのつぼみ
....
「むかえにいくよ」と、
男が言う。
「きっと、むかえにいくから」
そう、いつも私に言うので、
「いつむかえにきてくれるの?」と、
訊けば、
「ロトシックスが当たったら!」
大真面目に男が ....
自分が何者かを知りたかった
今はイザベルおばあさん愛用のひざ掛け と
呼ばれているのだが
もともとどこから来たのだろうと
人間たちの間で流行っている
自分探しというものを
し ....
ちくしょう!
畜生畜生ちくしょう!
と いう波 何度来ただろう
生きていて
どうして人は
他人の不幸やかなしみへ
軽く哀れみの言葉の一つでも投げてみれば
反応次第で
次から ....
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