すべてのおすすめ
街の
人の
屋根瓦を
頬っぺたを
ボンネットを
ランドセルを
街の
人の
やわらかいところを
かたいところを
親切なところを
依怙地なところを
つついて
....
十分の一
もし十分の一だけでも
あなたがわたしに心を向けてくれるなら
その日に鳥になってもかまわない
そうして湖の上を飛んで去る
十分の一
もし十分の一だけでも
あなたが認めてくれる ....
森”ローリング”光子と
泉”ウィークエンダー”ピン子に
囲まれて
静かに眠る
はし、はし、橋田壽賀子
山岡久乃が待っている
藤岡琢也も待っている
はし、はし、橋田壽賀子
きっと ....
真紅の壁を
真っ白に塗り潰すような時間の中で
喉の渇きを覚え、だが
ページをめくる指を止めることはなく
幾つか咳をして
唇を舐める
昨日より冷える気温と
昨日より
....
失われたものたちのしぐさがみえる
俯瞰するぼくはまだ若くない
もし可能性が尽きていないとするならば
このかたまりの中からいずれ旅立つものがでるだろう
それはまだ歯が生えていなく
はだかで腕の ....
春の採点
平日
ちっとも忙しくない日
じっと座っていると
時が頭上を通り越して行く
一世紀ぐらいのストライドじゃないかと
それほど風圧を受ける
目の前の原で四歳の私が
一心不乱に ....
自ら意図してじゃないの
前世の因果かしら
武道に縁があるようなのよね
父から剣道の手ほどき
刃を垂直に落として
むぎゅっとばかり、つかを絞る
小指の力が肝心でね
弓を引いた年月も ....
僕たちはDNAの命じるままに歴史を漂流し拡散してきた
朝露に濡れた森の匂いに
木漏れ日の暖かさに
まっすぐ空に突き刺さるメタセコイアの高みに
想いを託してきた
僕 ....
幼いころ
のっ原をかけまわっていたあたしの
いつもそばにあったその草花が
いぬふぐり、で
あると知ったのは
高校生のときだった
かわいらしいひびきに
その名をおぼえた
....
去っていったものは
はじめから出逢ったことのないものと
想えばいいこと
背をむけたものは
はじめから背だけを見せていたと
想えばいいこと
そしてぼくは幼い頃に戻るだけ
独りぼっち ....
意味がない言葉ばかりが
自分の中に 転がっている
失業したばかりの 月曜日 思い出の場所を目指した
きっと そこは あまり遠くはないところ
レンタカーを借りて 旅に出た
飛行機の 薄 ....
夜半の犬よ
おまえは 闇にまぎれて 旅を続ける
人々が 自分を演じることに 疲れ
一人 目を見開いて
静寂の闇を 探っている時
蒼い星空と黒い山脈の境界から にじみ出すように
....
{画像=120317205808.jpg}
野に集えよ
きんぽうげ
小さき
いつつの
花弁ゆらし
....
迷子のような顔をして
歩いているおっさん
優しいひとがいる店へ
とんぼりゆくんだね
あれがとうさんなら
ちょっと許せるわ
あんなひといっぱいいるから
一緒にかえりたい
とうさん ....
雑種の黒い犬を飼っていた
足と耳のさきっぽが白い犬
散歩もご飯の世話もブラッシングもわたしがしてた
学校から帰ると
尻尾をふってぴょんぴょん飛びついてきて
ハッハ言いながらどこまでもつい ....
登校中の女の子と男の子が
道路を横切ろうとしている
飛び出しに供えて ブレーキに足をかける
春の陽射しの中 防寒着の子達は
車道の前に立ち止まり
急に 女の子がしゃがみこんだ
その手に ....
あ という間に時だけが経ってゆく
から、寝て起きるのに
生きるのが 駆けてゆく
思うことはたくさんあるのに
からだは痣跡だけをのこし
かさぶたあとはなかなか消え ず
甘ったるくし ....
お祭りなので
顔を汚くしていた
ドラム缶いっぱい
葛湯を作ってふるまう
青い星だけをつないだ星座を下さった
青いネックレス座だと
いって
作業台の上にはつねに
いっぽんの薔 ....
恋人の心臓を
水槽で飼ってる
コイントスで
絞首刑か電気椅子か無罪かを決める
若い裁判官は
早く家に帰りたい
可愛いワイフが
彼を待っているから
手を翳すだけで
治癒できるとは限らない
....
ぼくは沸騰するスープである
ジャガイモが崩れていく
ぼくは真っ赤に茹で上がる毛蟹である
苦しさに前脚を伸ばして泡を吹く
底から熱せられていて
二重の蓋がかぶさる
重くてもちあがらないで ....
煮つめられた、ような
まよなかのにおいを
くたびれた寝床で嗅ぐ、遠いこめかみの痛み、ディスプレイの照明を、受けとめ続けたせい
おとなしい雨の日の
波打ちぎわみたいな間隔で ....
東京にいた頃から中華料理を頻繁に食べていたのは、割と安めの定食があるから、と、一人で入っても気兼ねのあまりしない店が中華料理屋に多かったからで、今日も、むーすーろーを食べた。
きのうは春巻 ....
ぎぜんしゃは
いつもきづついてる
ふりをする
ぎぜんしゃは
いつもなにもできない
ふりをする
ぎぜんしゃは
いつもがんばれと
エールをおくる
ぎぜんしゃは
....
一粒の私を
順番に潰していく
一粒の私は
潰れるたびにまた現れる
一粒の私は
いつまでも一粒の私でいるつもりらしい
あの日
真っ逆さまに落ちていく景色の中で
....
目を覚ますと、とある住宅街の狭い路地、これを抜けた先の、猫の通るような路地に出ました。ここはまるで知らない場所でしたので、道ゆく人々を目配せして捕まえ、わたしはこう ....
家を出る時に
ちらほらと
降り出した雪が
そう時間をおかないうちに
吹雪いてきた
三月もなかばだというのに
フロントガラスに
積もってゆく雪を
ワイパーでどける
ラジオか ....
ブラックバード
真っ白な羽を持つ鳥 地味な自分の色を嫌った
そして綺麗な色に出会う為 長い旅に出た
透き通る青は空の色 誰もが託す未来への願い
旅立ちの朝は それはそれ ....
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しかし人生はあまりに冗長で
ただ生きているというだけのことすら
難儀に感じられるというのに、
人を愛している余力も余裕も
無い。
それでもなお、
愛せずにおれぬと叫ぶなら ....
鮭は生まれてから
海を目指して何万kmにも及ぶ
果てしない距離を旅する
その海で4年暮らしたら
産卵期が近づくために
過つことなく自分が生まれた川を
目指して過たず
流れに抗いながら ....
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