海が知っていること
かんな



脱ぐかといったら脱がない
深夜の湿度を保った風に揺られながら
海辺をきみと歩く

曖昧なことを
ことばで表現したがらないので
わたしの質問はいつも夜の闇に消えていく

星々だけがきれいで

悲しいわけではなくて寂しいという
ものともどこか異質で
泣くという行為に感情を添わせることなどできないでいる

変わらないものは
どこかに帰るためにある

愛情と比例せず
かといって反比例もしないものも多々ある
曲線が限りなくしあわせに近づいていくだけであったり

ものがたりを探して夕焼けを歩けば
斜陽に映し出された人影が踊るように
わたしときみの自由に換算されるものなどについての

思考だけは限りなく自由

いらないのではなくて必要性を見いだせないだけのもの
そういうものもおもいも
たくさん大気中に飽和してしまっている

脱ぐのかといわれたら脱げばいい
まとわずに抱き合わなければわからないものが多い
海もそれを知っている




自由詩 海が知っていること Copyright かんな 2013-06-13 10:19:36
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