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 しぬなんておもいもしなかった
 ひとが
 海をみていた
 くっきりカゲを増した
 夕映えの
 不知火干潟で
 たぶん夢中で
 ファインダーをのぞいていたにちがいない
 もえのこる ....
 かけおりてくる兵隊がいる
 指揮だけがあって四季のない顔のない
 丘のうえから
 いっせいに声があがる
 雲がわく


 あがる声には
 責任がないから自主性がない
  ....
 褪色したかこはモノクロ
 セピアのくすむ
 鉄錆の
 あかがね色

 ふくざつに入り組んだそら
 四角い工場群がある昭和のはじめは卵の
 ちいさな箱
 筒状のえんとつ
 ....
  非定型な雲は生硬な定型でしかない
  ぼくを尻目にとりとめがない

  ぼくのO市
  かのじょのN市
  どちらも雲と坂が多い街であるから水っぽい
  川が
  なにか ....
  蘇生のイキをするように
  そっと虚空に
  言葉をはなったとき
  言葉はすぐにちりぢりになってきえた

  あの日の
  あの青空には
  二度とであえはしない
  ....
 日本海にしずむ
 落陽は
 おおきくて美しい
 と、ラジオでだれかが言った

      *

 かつて
 五島灘にしずむ
 落陽を
  ―― オレンジ色のおおきな
 ....
 だれとも一言もしゃべらない
 この日の
 この状況を客観的に
 死と捉えるのであれば
 きょう一日は
 死んでいたのも同然だったかもしれない

 めざめたら小人の国というのは映 ....
 野に咲いていた
 赤い花を
 むしんにむしっていた娘に
 わたしは言った

 かわいそう
 花さん、いたいいたい
 白い花さん、いたいいたい
 赤い花さんも、いたいいたい
 ....
 胴体に日の丸をつけた飛行機が
 滑走路から飛び立ってゆくのを見送っていた
 まるでデジャヴュでもあるかのように

 ものを書き
 考えることをしてきた
 だのに、なにも残って ....
 うらぎりの雲がうかぶ
 青空のした
 ぼくは
 ぼくを問いただしていた
 オマエハ ナニヲ シテイルノカ
 と。

 おおきな地異が
 おおきな波が
 きみから
 大 ....
{引用=



真夜中に犬の声がかけてゆく


やっと帰宅した息子と
息子の帰宅を待っていた家内が
ダイニング・テーブルではなしをしている
声が
ボソボソきこえる

テレビの ....
 なにが有効な手なのか
 わからないままに
 かれは
 もう、とっくに
 地図に表記されていない場所にきていた

 音がない
 姿がない
 赤い血が
 ながれることのない ....
{引用=



 満月の夜には
 外にでてはいけないと老婆はいう
 ふらふらと外にでて
 川を遡上
 青い山に囲まれた
 いちばん星空に近いその湖に行ってはいけないと

 ゆらめ ....
 SF作家や
 だれかによって手渡された
 未来のそばで
 ぼくらは生きている

 どこかがイビツでなにかが不適切なこの
 だれかの未来は
 あるいは
 使用方法をあやまっ ....
 冬のあま雲に
 のぼってゆくように
 クルマで雲に
 わけ入っていった

 国道の
 あま雲のなかは
 濃いキリが視界をさえぎる世界で
 アスファルトに刻まれたセンターラ ....
 すれちがったトラックには
 零れるほどのいのちが
 ひしめいていた

 通勤車両ではこばれる
 ひとみたいに
 いっせいに体をゆらしていた

 くろい体毛
 くろい顔
 ....
 トゥクトゥクの傍らで赤い夕日を待って
 犬は
 なにもしていない真昼
 なにをしているのだろう、そこで
 みずからの首に首輪をつけ
 ひもをつないで

 犬って
 なにも ....
{引用=



夏がころがりおちてゆくのを
陸橋のうえから
ぼくは
ずっとみていたんだ
いつかかならずくる
嵐が
ニンジン畑のどこに潜んでいるのか
だれも知らないことが残念でなら ....
kauzakさんの石川敬大さんおすすめリスト(18)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
さいごの一枚- 石川敬大自由詩17*13-2-6
丘にいる兵隊- 石川敬大自由詩11*12-12-1
フリーハンドのくろい線- 石川敬大自由詩15*12-8-10
雲と坂道のデッサン- 石川敬大自由詩13*12-1-27
失語症から- 石川敬大自由詩2212-1-23
洛陽は落陽の果てにあって- 石川敬大自由詩19*11-8-7
非ガリバァー旅行記- 石川敬大自由詩9*11-5-7
つくりものめいた、花- 石川敬大自由詩15*11-4-26
終末論の週末にくるものは- 石川敬大自由詩15*11-4-20
きみに寄り添う- 石川敬大自由詩11*11-3-17
浮遊するレジ袋と真夜中に棲むものの声- 石川敬大自由詩14*11-2-3
パカッと割れた苦悩なんかない- 石川敬大自由詩17*11-1-28
青い湖畔のシカ- 石川敬大自由詩24*11-1-7
未来への処方箋- 石川敬大自由詩6*10-12-29
キリにわけ入る- 石川敬大自由詩13*10-12-21
運ばれた先で待っているもの- 石川敬大自由詩19*10-12-2
国境ちかくの町かどの犬- 石川敬大自由詩2010-10-7
犬もみていた、夏のおわりを- 石川敬大自由詩1810-9-6

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