すべてのおすすめ
昨日旅立ったものへ
ふってくるものが
すべてくもからやってくるものでもない
なんてことはわかっている
と
そらをみあげる
今日旅立ったものへ
明日旅立つものへ
ふっ ....
いつからそこにいたのだろう
しわしわの殻に包まれた
わたしの祖父
甘さと渋さを身に秘めて
日が暮れるまで
縁側の外を見ている
殻に閉じこもりながら
本当は外に出たい
....
{引用=
ハルが鳴く
寂寞とした夜が明け
やわらかな陽射しが
小さな籠をみたす頃
デジタルのアラーム音に
携帯のモーニングコールに
沿って響く
心地よい声が
目覚めを誘う
....
内から歩いた昌平橋は
橋の欄干鉄骨造
頑固に昭和を語っているが
通る者皆急ぎ足
君に会いたい訳でなく
季節外れの花粉症
マスクの中から見る川面
鯉が悠々縄張り確認
外から歩いた ....
みずすましが
水を滑る
虫の比重は
水より軽い
あなたの舌が
私を滑る
あなたの声は
水より軽い
あなたの中に
潜ろうとする
私の比重は
水より どちら
あなたの浅 ....
オシマイにしましょう
大事だったもの全部
ゴミに出して
そこにわたしもうずくまる
収集車が来るまで
あと少し
大丈夫
オシマイ
にしましょう
とってもステキな思い出
これまでどうも ....
立ち食いそば屋で
夕飯を食った
客のほとんどは
お酒を飲んでいて
立てなくなると
ざるそばを食って
次々と去っていった
素数について
話している客がいた
立て ....
まるで神経が張り巡らされているように
私の神経が私を越えて
身の回りの人工物を覆い尽くし
神経節が夜陰に乗じて
あらゆる構造物に痛覚を持たせる
あらゆるものが会議にかけられ
その形が決 ....
街、に行く
ふあり
掌を反す
どうにかなる全てのことを
届いてしまういつかのことを
不可能、と扉を閉めてみせても
細い
糸のように呼吸をして
歩幅はそれでも加速 ....
朝のような
首すじだから
遠くから見つめている
階段をのぼっているだけなのに
人生だ なんて言っていいのか
自由と自由の間に
履物をそろえる
わたしを取り去った世界とは
ど ....
ギトギトの君を、
ギトギトでヌメヌメの君と、
ギトギトでヌメヌメでベトベトの君が、
好きすぎて近寄りたくない気持ちを
恋と呼んでいいものか悩むから
もう夏だ
私は赤いニットのカットソーを握 ....
風に舞う嘘を見ている
風に舞うのは雪だから
僕は嘘をついている
嘘をついているのは僕だから
僕は風に舞っている
風に舞うのは雪だから
僕はもうそこにはいない
肩に白く積も ....
誰かが耳を澄ましているから
夜は静かなのでしょう
全身で聞いているから
夜は暗闇なのでしょう
街がしっかり消えてから
目を洗うふりをして
しばらく
目を泣かせた
きまじめだ ....
スタンバイ、夕暮れ。涙はぬるくなり、あな
たは融解する。手遅れになる前に、手を、届
けられぬままに。言葉は無い、書き起こされ
る文章の中で、葉は散るように。ここは、規
則正しく揺れる箱の中だ。 ....
白いあなたはたちのぼりました
火葬場の空に
時間はどこででも流れるものだと
感じた棺の残骸
自分の嗚咽に一番 自分が驚きました
私はあなたを憎んでいたし
あなたと対決する日がこわか ....
灰色がいとしかった
軒先の粗雑な植物がいとしかった
産業道路はいつも混んでいた
アスファルトの平地にはチャリが湧いている
ラブホテルやコンビニがいとしかった
おまえの家で ....
カレーの中に牛はいた
5分後、私の中に牛はいる
結局牛はどこへ行くのか
共に私の中で生きていくのか
記号未満に成り果てた牛が
言葉へと向かわせる不思議
しかし
死んでいるので ....
ずっといたい
君の興味を乱暴に触る
君を敏感に関知する
乗れない雲が冷たく広がる
恐怖は熱い人肌空気のにおいがする
遠い日付 新しい言葉
固まったガムシロップを君がふくむ
微弱な ....
色の海で泳ぎたい
きっとおれはちょっと溶ける
肌の外側がピリリと感じて
いくらか色が落ちてしまう
肌が白くなる
だけど知ってる、中身は{ルビ闇=くら}い
心臓から黒が染み出して
いつ ....
言葉を家へ持って帰る
言われてしまったことを
言わずにおいたことを
持って帰っても
家の人には言わない
代わりに別のことを言う
家の人が安らぐことを
自分の気散じになることを
そうする ....
虹の行方を尋ねましたね
庭に駆け出す小さな足で
あれは、たしか夏の終わり
まだ見ぬ向こうに触れたくて
尻尾はそのたび凛と鳴り
その頃わたしはまだ
羽ばたき空飛ぶネコでした
....
ありふれたおはなしが
ささやかに座っています
テーブルの上
紅茶が入ったカップの横
読みかけのおはなしは
トコトコ歩きます
誰かの声をとおって
誰かの頭の中へ
沈黙を守って
....
父が釣りに連れてってくれた
それから数日後か
数ヵ月後か
数年後なのか
忘れてしまったけれど
近所のおじさんか
同級生か
はたまたいもしない
兄なのか
とんびなのか
カ ....
これは たまらないね。
とふりかえると
そこに君がいない
そんな間違いとか
勘違いとか
ずるいことなんか
を教えてくれる小説が
本棚に詰まってゆく
ねぇ
Мさんなんか ....
{引用=ぼくたちの未来は いつも、さよならで終わっていくの?}
地球儀をまわしすぎたせいで
透きとおっていたものが
濁っていく
あの日、
チョークで描いた線路が滲んで
二十 ....
言葉
目配せする紫陽花たちはにぎやか/に笑みをこらえる。もうすぐ先生がやって来る。廊下をひた走る。期待。新学期はとうに古びて奇妙な連帯感が地中に根を伸ばす。もうすぐ黒板消しが落下する。中間テスト ....
(輪郭)
こんこんと湧き上がる花の火の
みみへ伝わる振動が
つれてゆく
うまれたての湖の静寂
くちびるの隙間から
こぼれてゆく言の葉が
切りとるいっしゅんは
つめたい石に閉じ込 ....
ー少年はマナウスを夢見ていた
川の対岸に沈む夕日を
アマゾンの熱い空気圧を
しかし、
川の向こうの水平線に
大きな夕日が沈む時
マナウスの熱い夜が始まり、
船が夜の川をゆっ ....
あの星はもう死んだという。
その知らせが今届いた
楽しげな絵葉書にのせて
東通りを歩いている
歩調にあわせて動き出す炉の
焼き焦げ一つの
多くの星は今私の眼にはなく
焼き焦げた一つの
形があるばかり
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