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はるはだと {ルビ赤色=せきしょく}は
愛したような西風を
ほむらのようにはんでいた
遠くには玄関が
歩きだされた叫びのように
かたむき倒れた墓石のように
日は駆け落ちて 落ちた慕 ....
駅前に君を呼び出して
全速力で駆けつけた時には
もう好きなんて言葉は出なかった
僕らが 宇宙の話をしよう! と言い出す時は
きまって
全ての宇宙が出尽くしてしまった時だ
それなのに ....
荒れ地に生まれたひとつの風と
荒れ野に生まれた多くの風とが
ひとつの海を奪い合っていた
金の光が
銀に変わるまでの永い間に
水は風に混じり
小さなものたちは生まれた
....
少年
いつかなくした自転車の
へこんだ場所を忘れてた
あの子を見ててブロック塀に
ぶつけたときにできたやつ
そうだったね
そこに貼り付けたシールは
昔からの空色で
覗くと雲が浮かんでた ....
私は今風船をふくらましています
止まらないため息のように
少しずつ少しずつ
全てをはきだしてしまうと
手にしている風船を
捨てたい衝動にかられます
私はおととい風船を手放しまし ....
耳たぶが
熱い
空調装置にたしなめられた
浅いシーツのような室内の夜には
昼間に溜め入れた太陽の
滴りそうに赤い耳たぶ一滴で
ベッドが太陽の海になってしまうのを
防ぐ ....
ひじクッションの当たり所が悪く、曽祖父が死んだ。
だから僕の名前は今日からニックネームだ
曽祖父の遺体を三週間ぐらい置きっ放しにしたので追加料金が発生した。
だから曾祖母は諸事情により、とだけ書 ....
深緑の
深くなる光を
鉄筋コンクリートの箱の中から
眺めています
時計の針は
ここを刻むと
それ以上は動かなくなるのです
取り残されるように
私と空間は
どこか
こころ ....
おおきな
あかいかたまりが
ばばばばっ ば
いきおいにまかせて
ひかりをはなちながら
おちていったとしても
まだ すてない
せんたんにのこった
かすかな
ひ
しんぼうづよく
まっ ....
何故この歌を今、口ずさむのか
ひたすらに月光
わたしの影を薄く掬う今宵
開襟シャツの綻ぶあたり
さすものはある、何故
を問いただすも
虫 ....
ここには、ひとりしかいられない
だから、ここには、ひとりしかいない
ここには、いちどしか、こられない
ここでは、ここ以外見えない
あそこも、そこも、ない
ここしかない
....
天野茂典+古川由美
風の通り道には
いい匂いのレストランがある
新鮮な野菜と
おいしい魚の塊が
ゴッホのひまわりのように
置かれている
これからどんな料理ができるの ....
雲のなかで
ねむるように
ちいさな海が死んだ朝
なきがらを
おおきな海に返しに行った。
あなたは
雲の棺をかすみ草でかざり
たいせつに両手にくるんで。
ぼくは
すこしばかり慎 ....
なつがくる なつがはじまる
あどけなくあおいそらに くっきりとくもがうかんで
あおいそら ほんとうにあおいあおいそら
なにもかもが いちばんちからいっぱいになって
ひかりが な ....
古ぼけたジャムのように
君の記憶が
水になる
そちらは
どうですか
晴れていますか
マモルの呼吸は光る
学校のうさぎが死んだ日
マモルは自分の呼吸が時々
光の礫(つぶて)になるのを知った
マモルは決して泣かない子だった
おかあ ....
立葵が咲き出すと
もう夏休みがみえてくる
風が透明になって
夏の陽射しがぼ ....
宵解けて飴の様に
色濃くして
濡れるよう
深く沈みて
包まれて
匂いが立ち込み
咽返る
雨上がりの木材が
その内包する
水分を
細胞から排出し
それによる
収縮作用と
材 ....
ここが ここだ
はるかな天上は無く 奈落の底もない
ここで 生きているのだ
ここで 死んで
ここで 他の何かの 一部になるのだ
身体も 心も
ここで くる ....
なんとなく
うつむいてしまったのだが
黒い列
振りだした右足の
小暗い瞬きへすべりゆくのを
間のびしたストライド
生垣をゆらした
モンシロ ....
こだま呼び込む窓辺
群れる空の白魚たち
過去と迷走の影なら
銀のクリップで重ねて
浮かれるまま
浮かべばいい
望み通りの風
手のひらで創ったなら
さあ ....
ある日友人が呟いた
「鷺て、ポキておれそうね」
白く細かった鷺が水しぶきの中
静かに足を上げていた
自転車で走っていると、いつも
ポケットに ....
食欲と性欲はよく似てる
お腹いっぱい食べても
違うタイプは別腹
だったりする
美形もいいが
知性も捨てがたい
体がいいのも魅力ですね
たまには若くてかわいいのもいいし
もちろんオヤ ....
あまりの暑さとくちなしが溶けて。
胃の中の空気を誘い出そうとする。
あまりの暑さがくちなしに溶けて。
色はいつのまにか番茶になっていた。
あまりの暑さにくちなしが溶けて。
....
おまえ
いっつも
かみのけいっぽん
にえきらないんだよ
無邪気にテストする
くちびるのように
やわらかく指をあてがわれ
そのアンプルは甘いですか?
呼吸困難になりませんか?
シーツの色は
私が決めてもいいですか?
葉の雨 音の雨 風の雨
低く蒼い夜の連なり
月にいちばん近い星
吸い込まれるようにかがやいている
ついさっきまではっきりしていた
よろこびをふちどる線たちが
おぼろ ....
飛行機の描く曲線が世界で
僕等はそれをなぞるように
思い出したようにつぶやく言葉と
ため息とを
窓から投げ捨てるようにしながら
空の曲線を
眺める
晴天
歓声の子供達
夏の日 ....
--僕の、美しい人の話をしよう。
さっきまで、おしっこみたいな雨が降っていたのに
太陽の奴ったら
まるで君の妹のように、甘酸っぱい笑みをうかべて
うそみたいにけろっと晴れちまう、
なんて ....
ストーン・サークルで君が
ウチューと繋がった夢を見る時
僕は君のために
何が出来るか考えた。
煌めく星座の下で
丘に萌える草の息吹と
立ち並ぶ石の冷たさを感じながら
僕は君のために
何 ....
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