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異物から目を離した瞬間、
時のうねりがその場の地軸と僕の視界を襲う。
例えて言うなればスロー・モーション。
窓の外を二匹、灰色の鳩が飛ぶ。
映画のフィルムに入り込んだ感じだ。
鳩の進行方向に ....
次はあなたの番です
鳥が丸い目をくるくるさせながら言った
そんな なにかのまちがいだわ
だってわたしまだこんなに若くて元気なのよ
反論しても無駄だった
鳥は粛々と書類を広げて
わたしの ....
ドナウ川の交番脇を
飛ぶ石曜日をつんざいて
マンテンバイクのレッドロブスター号にて
SOON SOON SOON
高速道路の真下も真下
巨大ネオンも若々しく
田園地帯に屹立する
ディ ....
やろうとしていたこと
鍵を差し込むべき鍵穴に
母のズロースを差し込もうとしていたこと
そうだ 父に見せなくては、と思い立ち
犬を連れて落雷を待ち焦がれていた ということ
落雷 ....
隔離された仄赫い闇に影二つ。
兄妹のようにも見え恋人のようで
単なる友いや仇敵の頭骸骨。
何故どうして一緒にいるのかあくまで
秘密のようだ。だあれも知らない三月。
それぞれの幻灯をもって ....
近しい人の部屋
近しい人の猫
正午 匿名な
正午
ワンルームの壁際の テーブル越しに
片隅の空
南南東に穿たれた網入りガラス
通り隔てるアルミフェンスに
迫り来る連なる家並みに ....
こうしていつもおわる。
いちにちがおわる。
ぼくにはありったけのなにかがない。
そうだ。ありったけだ。
それにしても
みながとおりすぎていった。
いや、とおりすぎようとしている。
ほ ....
夕方と夜の境目
湖畔の輪郭が紫色に曖昧になったころ
湖に身を乗り出し水平に手を伸ばすと
足元に流れ寄る無数の細かな波が
浮力となって
まるで
湖の上を滑らかに飛んでいるかのような気分になる ....
卵、みせかけのベニヤの殻をぺりっと突き抜けた
明るい中から暗い夜へうなだれぶち込められたどろりの光を
そのまばゆさの産物がひとつひとつ小さなゼリー状で次々と分裂し
粒が粉になり地球上に拡散しまた ....
ゴミラは疲れてしまった。
うつむいて
とぼとぼと茶色い海辺をあるいた。
テトラポットが陽気な声で
「あたしはゴミじゃないわよ」と言った。
でもゴミラは知っていた、
テトラポットはゴミラ ....
膨らんでしまった
地球の半分の大きさになった
わき腹に インドネシアがささるし
南アフリカからドイツまで腕をのばすと
陽が射さないと 苦情がくる
こんなに大きくなったのに
考えるの ....
クウェーティーは路肩を歩く/
クウェーティーは路肩を歩く/
クウェーティーは携帯ゲーム機をやりながら路肩を歩く/
qwerty walks in the shoulder of road/
q ....
(曙)
薄暗い部屋の中
光のはしごがすうっとかけられ
それは
雨戸の隙間から漏れていて
僕はふとんから起き出て
手を翳した
掴むことはできない
ああ それでも
....
としゃっ、としゃっ。
雨ではないものが降っている中閉じこもる膝
肩にもたれる自分の頭 とか、
不自然なほど換気されていない部屋の中の一部
とりわけ日々の苦痛より前 ぬくもっているそのものが
....
台風の声がする、ゆあーんん。
道化どもの動悸が青テントをきしませるサーカスの夜
ぎいこ、ぎいこ、と支柱が「舟」を漕ぐ
真ん中で振り子、する空中ブランコ金魚じみたラメ衣装の乙女ひぅぅぅぅる ....
きれいな三角形の甘いスイカのてっぺん
ちょっぴり齧ってみた
・・・甘い
ちょっと固くなった食パンの角
ちょっぴり齧ってみた
・・・香ばしい
小さい時から手放せないウサギの縫 ....
道中 キモミミズは、兄の横顔を見ていた
兄ちゃんの髪はヤモリのお腹みたい
橋の苔はツルツル
足の甲はトゲトゲ
今からケイバに行くところ
葉が踊りざわめつく
天井から、アナウンス
....
ニワトリのたまご
白いネリケシで
土台を作って 10個
窓辺においた
今日は 曇りのち晴れ
少しずつ輪郭が浮き彫りになる
黄色い光が浮いてきた
午後
ジリジリ
なのに冷た ....
捨て金魚をした
近所に川がなかったので
人の多い駅前に捨ててみた
金魚だってわかってもらうために
「大学と手毬です 可愛がってください」とでっかく書いた
気になって一日に何回も駅 ....
全身黒ヘッドフォンが千羽飛ぶ 都会の空に響く雑音
*
一羽からは TOKYO-FMのハーフのDJの声
(猛暑苦)
一羽からは ソフマップに行くとかかっている歌
(広東語)
一羽から ....
少女は部屋の四方の窓を全開にして
綱を握りしめて
鐘を力いっぱい打ち鳴らした
なぜだか判らないけれど
とにかく屋根には鐘があって
そして鳴らさずにはいられなかったのだ
鐘はボワァ〜 ....
正午だ
ダッシュ!お昼、のあとでゆっくりと《神々を噛むためのガム》を買う
お気に入りのキシリトール、あの木陰がいい
アラニン化合物、腰をおろしてゆっくりと
フノラン(FN)とリン酸カルシウム( ....
165cm
背伸びする 172cm
椅子の上に立つ 212cm
たんすの上に ひざまずく 423cm
屋上にいく 2665cm
富士山に登る 377765cm
飛行機 エコノミーに座る 1 ....
ヤモリが窓にはりついている その腹は白い わたしはそれを見つめながら 目の前が
急に真っ白になってしまう もがいても晴れぬ霧のなかで 人恋しさに泳いでいた視線
が骨格を発見する 継ぎ目の無い骨はセ ....
昨日はオレンジの匂いのする君の部屋を出ると見えたいっぱいのコンクリートを僕は何も考えないことでやり過ごした。
僕の頭中いっぱいの僕でさえよくわかっていないものは君の部屋のオレンジの匂いに少し似ている ....
かかとが少し痛いけれど
あなたがくれたこの靴は
いつでもはいていないと
誰かにとられてしまいそうで
ばんそうこうが蒸れて
きずぐちに良くないと知っていても
はかずにはいられない
むか ....
1. 太陽のひとしぶきが僕の額に夏を刻印する夜明け
2. 僕はパジャマの袖を不器用にたくしあげながらテーブルに付く
3. 風のブランコに押されてレースのカーテンが膨らみ高まってゆく ....
たとえば
クロワッサン と アールグレイ・ティー の 朝食
よろしければ目玉焼きも付けますが
たとえば
チャーハン と コーンスープ の 昼食
よろしければしゅうまいも付けますが
....
ルールーと悲しい音を立てて回る歯車を引き止めて
唸っているゼンマイに電気を通すとそれなりに揺れている
動力に油をさしすべらせることによって加速は増す
近くの見知らぬ工場から無断で引いている電線の ....
今の気持ちを残そう
コトバにのせて残そう
ヒトは忘れる生きものだから
今の気持ちを残そう
ヒトは変わる生きものだから
変わる生きものだから
今日の真実も明日は虚無
だって変わる生きも ....
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