すべてのおすすめ
兄はケッコンしてつまらなくなった
と
私は思う
別段
破天荒な人生などではなく
公務員の次くらいにお堅いお仕事
今ドキの中学生に現代文やバスケットなどを
教えているらし ....
みぞれの降る中
父のコウモリをさして
図書館に行く
(春とは名ばかり)
早咲きの水仙は凍え
風雨は破れた生け垣を震わせ
裸の額に夕暮れの灯火がにじむ
本当に寒くて泣きたくなった
....
スペースシャトルの打ち上げが映っていた
アトムや鉄人28号の時代から ずいぶん経っているのに
いまどきロケット噴射とは なんて野蛮なイメージだろう
ぼくは未来からきた人のように かんがいぶかく
....
あたらしい神様が来るまでは
原価計算や伝票処理をするふりして
午前中の時間をつぶして
昼休みに会社の近所のコンビニに行ったら
あたらしい神様が
少年ジャンプを立ち読みしてた
午後になっ ....
おとうさんは帽子と靴だけになって
夏はかなしいですね
おかあさん
虫は人になれないけれど
人は虫になれる
と母は言う
両手と両足を地べたにつける
そうやって虫の産声に耳をすま ....
いくら温めても孵らない夕暮れに
灯りはじめた明りが視線にぶら下がっている
帰り道を間違えた私は
街角を覆う木の下で傾くようにして
蝉は鳴かない
明日への蓄えを手のひらに溜めるようにして
燃 ....
ぜんまい
をまくのがすきだった
きりきり きり
ねじをつまんで
まわすと
ゆびさきから
きんぞくおん
がつたわってくる
めろでぃが
とつぜんにぶくなって
おとがゆがんで
ぷつ ....
深くまでつづいている
いつか見失った道の先にある、森で
夏の日
ぼくたちは、生まれた
頭上には空があった
ぼくたちと空の間を通り過ぎてく風があった
ふりそそぐものは、光
光とも見 ....
かけら
かばん
「か」ではじまるものを
てあたりしだい
かきあつめて
へやをとびだした
かんかんをけっとばして
かびん
かがみ
せかいじゅうが
かたちのないものばかりなら
よ ....
皮膚が邪魔だ
熱だけが祭りのようで
街灯までが青白く貫く
ああ、皮膚が邪魔だ
この世界と私を
容赦なく隔てる
この外套を捨て去ってしまえば
多少は見苦しい液体を
ばら蒔くかも知 ....
やっとのことで
いれものにふたをした
かぎをかけて
ひもでぐるぐるまきにして
たおるでくるんで
かばんにつめて
おしいれのいちばんおくに
つっこんで
ほっとひといきついた
りんり ....
思いがけず
可笑しさがこみあげて
くるが
すぐに冷め
可能性の欠落を夢みる鋭さ
鮮やかな月に照らされて
{ルビ青灰色=せいかいしょく}の肌は
淡く
光合成を告白するが
しおりは空 ....
心ゆくまで涼もう
誰も居ない そして
自分も居ない処で
噛んで、呑みこんでしまえば
たいしたことではなかった
と、いうことなのか。
てのひらに、吐きだしてみる
つぶぞろいの屈託。
「帰ろっか」
「ういーーっす」
来るときには僕がこいできましたが
帰りは彼がこぎました
もう日が射していました
僕たちと自転車は塩水にぐっしょりぬれていたものですから
図らずもきらきら ....
お花畑に
直立するオベリスク
であるところの君
あるいは
漫画に戯画された
仮性包茎
であるところの君
きわめてきわめて 男根的性格である君よ
君のピンクの先っぽには
いつもお天道様 ....
えいえんについてかんがえるたび
きまって
とほうもなくながいでんしゃ
がおもいうかぶ
くらやみをきりさいて
でんしゃはひたすらはしりつづけていて
いくつ
とびらをあけても
つぎのしゃり ....
航海記。鼻息を荒げた 鉄仮面をかぶる男が
捕まえた猿達に首輪をつけている。
サーカスの夜、団長は無邪気な子供たちだけを
テントに招き入れた。
その中から 笑い声よりも大きな
足を踏 ....
早起きに過ぎる。
セミのくせに早起きに過ぎる。
年寄りみたいに早起きだ。
それとも年寄りなんだろか。
夜勤が明けて、
眩しい日射しが鬱陶しくてたまらない朝、
それでも眠らなくちゃならな ....
うつむかずに
かおをあげてあるこう
うでをふって
まえにすすもう
って
だれにおそわったわけでもなく
いきてきた
すわりやすそうなきりかぶも
きれいなこいしも
ふみこえて
たど ....
適当に掘られているようなトレンチ
きちんと測量されて
合理的な設定なのだと
発掘で変な日焼けあとのついた
汚いヘルメットの学芸員
掘り出された破片は
プラスティックのコンテナで研究所に ....
夜の野を
羊たちは走る
帰るところなく
羊たちは大群となって
夜の腕の下を疾走する
月の微笑に照らされる夜
野の果ては地平線で切断されている
人はひとり凍えて横たわる
夜は ....
夏にすきな言葉は
清涼飲料水
です。
それは
レモンをしぼった透明のサイダーで
汗をかいたグラスは 商店街の福引の。
扇 ....
いつでもいいよ
って
ついいってしまった
じゃあいつか
かならず
って
てをふってくれた
ほんとうは
いますぐ
っていみなんだ
とおざかる
とおざかる
....
恋人は、詩を書く人と走る人
ふたりはお互いを知らない
わたしは詩を書く人と暮らしている
わたしは詩を書く人のために食事をつくる
詩を書く人はとてもきれいに日々を食べているので
....
わたしがきらきらの火花に歓声をあげているあいだ
そのひとは
灯かりのむこうの景色をみていたというのです
駆け抜けろ!今の奇跡を
唸る肉体に熱いボディを載せて
光るうねりの中
喝采はまだまだ早い
スタートダッシュが決まれば
後は走り抜けるだけ
煌めきを乗せて突き進む
嬌声をあげて突き進む ....
街は、宣伝する車の謳い文句と、気にも止めない通行人を生贄にして
せり上がる暑さよりも、乾いた空虚さを従えていたので
僕等は、長い橋の上からきらめく水面を眺めている。
そこにありもしない目印を探し ....
ながいはりを
ゆびでまわす
ぐるぐる
なんどもまわす
まどのそとは
くらいやみ
わたしひとりじゃ
たりない
のかもしれないけど
ぐるぐる
ながいはりを
まわす
....
明日の朝まだ日が昇る前に
わたしのアパートまで
迎えに来てください
最新型のスポーツカーで
あの角をゆっくりと曲がって
わたしのアパートの前で
静かにエンジンを切ったら
わたしは小さなバ ....
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