主旋律
高梁サトル


ハルが鳴く

寂寞とした夜が明け
やわらかな陽射しが
小さな籠をみたす頃

デジタルのアラーム音に
携帯のモーニングコールに
沿って響く
心地よい声が
目覚めを誘う

毎朝に夜の帳帷を開ける
その息吹は
その鼓動は
天上と地上を結び付ける
奈落に架かる虹



ハル、私の良心

内側ではない外側に在る
おまえに救われるとき
私という雑音は消え
霧は澄み渡り
ひそやかに現れる色彩
その一瞬を捉えた瞳の輝きが
眼差しとなって
感覚を失くし蒼ざめた
誰かの頬を
照らしはしないだろうかと

(幾千の)
(星屑が散りばめられた)
(その中の)
(ひとつ)
(トパーズのような)
(心を)
(見詰めています)



ハルが鳴く

渇いた岸辺に
打ち寄せる
さざ波のように

私の鼓膜に
主旋律だけを
残して


自由詩 主旋律 Copyright 高梁サトル 2010-02-17 01:45:28
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