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庭の土を耕して
人差し指で穴を掘り
ヒマワリの種を植えたのが五月
まいにち
土の湿り具合に神経を尖らせ
やがて
いくつかの芽が出ると
お気に入りの芽を一つ残して
あとは全部引っこ抜 ....
夕暮れ色の飛行船、
たくさん空に浮かんでいたけれど
空と一緒の色だったので
誰にも気付かれないままでした。
*
毎朝、起きたらすぐに顔を洗います。
....
最悪やなじぶん
才覚やなきみ
性格やなじぶん
正確やなきみ
どんだけ追いかけはしっても
おいつかないなぁ
きみ
だんごむしみたいに
マイペース
....
裁くことは可能だ
だが公平ではない
愛することは可能だ
だが公平ではない
博愛主義とは何だ
ひたすらに
わけあうことか
私の精神は
無限ではない
私は
命のベクトルを
....
2007/05/25
賞味期限の
切 れ た
賞味期限切れの
カマンベールチーズを
冷蔵庫から取り出して
見る
そんな儚い連想をしながら
21世紀末を思う ....
{引用=
きみがとなりにいて、まつげの
触れるくらいとなりにいて それは
おどろくほど退屈で いとおしい
午後で}
きのう、オジギソウが発芽して
日記にそのことは書かなかっ ....
地下の機械室で
とつぜん白熊が働くことになった
あの北極の白熊である
会社では白熊も雇わなければならない
そのような法改正があったらしい
私の部下として配属された
初対面のとき
イッ ....
朝起きると、
夫の蟹を食べる。
水のきれいな土地で生まれ育った夫の蟹は、
沢蟹に似た味がして、
なかなかの珍味である。
蟹は大抵、
夫が寝ている間に、
湧 ....
三丁目のタバコ屋さんの向かいの家に
春のはじめに女の子が遊びに来ました
少女はギターを抱えて 切なく響く歌声で
僕を幻想の世界へ つれていきます
三丁目のタバコ屋さんの向かいの家で
....
ぞうさんみたいにやさしい目でいたい
くまさんみたいにふかふかでいたい
かめさんみたいにゆっくりでもいい
きりんさんみたいにながくいたい
そらいそげって
ムチ打たれたら
....
電車を降りると
点字ブロックが
花野に埋もれていた
あなたはここにある花の名を
一つとしてしらない
見えることもない
それでもその眼は
厳かなほどに瞬きをするから
見えているも ....
ずっとむかし
ひとも蛇のように脱皮したのよ
そう言いながら
そのひとは裸になりました
きょうは
わたしの水が澄んでいるから
涙の色がよく見えるとか
そんなことを
とつぜん言 ....
さようなら 風
ごきげんよう いのち
あなたのすきとおったあつみ
やぶれるようにさきなさい
そこはダメ
とか言いながら
崩れていく豆腐
ダメなとこだから
いいんじゃん
角から崩れていけばいい
そして跡形もなくなって
おいしい白和えになって
波打ち際にゆきちゃんがひっそりと立っています。
おまえ誰やねん。
ゆきちゃんです。
ゆきちゃんがそう、答えました。
///
25世紀の春、消滅寸前の太陽のもと、
ゆきちゃんは草 ....
なぜそこに居るのか分からなかった
気が合う仲間たちから離れて
早く一人になりたかった
そう思えば思うほど
一人になることが怖かった
通いなれた八王子の雀荘に
喪服姿の若者が四人
「最 ....
戦争が終わって
俺は窓辺にサボテンを飾ってみる
戦争が終わって
俺は愛のあるべき形を知ったのだ
戦争が終わって
俺は誰も彼も愛しまくる
フィルピンパブで働く女を
....
5
ささやきとゆめとで満たされている
乳白色の匂いが駆け巡り
スカートの裾と共に影がゆれる
したたかに群れるとりどりの手足に
手招かれるのは
おなじ匂いをさせる 少女
....
ガードマンはハンコを押す
祝日だから
ビジネス街はひっそりとしている
八十八階の窓から山が見える
あの向こうで母は
病室の四角い空を見てるのだろう
雲という名前を失った雲は
やはり雲 ....
山鳥は、
語りえない
ゴム、しゃぼん
せかいは いとも
かんたんに
喧嘩する
きみを ぼくは零す
しゃぼんのせかい しゃ
ぼんの せかいは 簡単に
....
つかめないから
つかもうとする
するりとぬける
透明くらげ
ゆらめくあいだに
消えてしまう
とどまらないから 不安になるよ
こっけいなふり
無理なく笑う ....
春がじかん切れとなり
贅沢な地下鉄のゆれにまかせて
それぞれ 肩から鳥を逃してゆく
そらにまいあがれ、ちぎれないままで
そらを
みじゅくな鳥が
春の隅っこを
ゆっくりと ....
1
逆光の眼に飛んでくる鳥を、
白い壁のなかに閉じ込めて、
朝食は、きょうも新しい家族を創造した。
晴れた日は、穏やかな口元をしているので、
なみなみと注がれた貯水池を、
....
「 世界でいちばん幸せな乗り物 」
乗り方次第で
何人でも乗れます。
車内には 「美しい水」 と 「空気」 が溢れていま ....
お仕事は何ですか、と
聞かれたので
コピーライターです、と答えたら
あなたは不思議そうな顔をしました
そこで、コピー機の説明書を書く
仕事なんです、と付け加えると
ああ、と少し理解 ....
駱駝が
ゆっくりと通り過ぎるのを
ふたりは
石の窓からみている
駱駝は寡黙な動物だと
女が言う
男もずっと
駱駝の言葉を探していたのだが
砂嵐の中へ
ときどき駱駝 ....
海岸に太陽が落ちていたので、
拾ってポケットに入れた。
手のひらは、
じゅって、
音を立てて燃えたけど、
そんなの気にならなかった。
どうしてもこれを、
....
耕す
土の中にも幾千もの命
ちぎれても生き抜くものもあれば
七年ののちの七夜の花で
ついのなりわいをとげるものもあり
それを耕す
おかに生きるものよりも
海に生きるものが多いとか
....
本を読む人の眼は
例外なく真っ黒い色をしている
それはもちろん
眼が活字のインキを吸収してしまうからである
本を読みすぎて
白眼まで真っ黒になってしまった人が
こちらを向い ....
子供の頃は
大人になったら
お嫁さんになりたいと思っていました
けれど、大人になった私は
気が付くとお母さんになっていました
子供の頃の夢は叶わないもの
空を飛ぶ夢を見なくなったと ....
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