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エアロバクターも
エントロバクターも
黙として
デトライタスを
食っている。

ただ
ひたすらに
原始の記憶
そのままに。
街外れで
唸りだす自動販売機の理由を
僕は知らない
全てに理由があると仮定して
その唸りの意味を
誰も知らない

振り向いてしまう癖は
いつかの草笛のせいで
僅かな違いを聞き分けるこ ....
 私とゾマスと赤毛猫は、縦長に伸びすぎたマンションのぶっ壊し計画に取りかかった。電柱より高いなんて生意気だとゾマスは年長者の風をして言う。ゾマスのパラノイヤの目が、戯けた仮面をかぶって私を見る時、必ず .... 羊歯が葉を裏返し
白い歯を見せて笑う
日陰の庭で
ちいさな神様が
泣いている

山じゅうの
虹を融かしこみ
熱い涙をながし
泣いている

(ちいさな神様の
 まっかな
 まっ ....
足音 は
ほっておくとどんどん先に進んで
呼び止められると不満を洩らす
体 は
手足を動かすことに夢中で
なにを訊かれても聞こえないふりをする
心臓 は
なにかあるたびペースを乱して
 ....
 ──ちょうど躓いた小石の先に連なった足が
   氷柱を踏んで動かされていくようだった──


映像はいつもコマ割の上で音をあてていく
それは今日の病室でも変わらないまま
カーテンの外 ....
ビルが泣く
強い隙き間を
風が
泣きながら吹き抜ける

君の
細い隙き間を
ボクが
吹き抜ける時に

君が泣く
そらに
指を伸ばして
       
世界で
一番さみしい ....
ゆっくりと水を一杯飲む
カーテンを閉めて
好きな音楽をかける
何をしてもいいし
何もしなくてもいい
鏡に映った自分を見る
左肩を撫でてみる
前髪をかきあげる
電話のベルを無視して
今 ....
乗り込んだ8番線ホームは
おかえりと張り紙がしてあった
朝顔の色を真似た夕暮れ
僕は余白に
ただいまと付け足す

忘れ物がいつまでも見つからない
開け忘れたカーテンのそば
自分色で横た ....
残業もそこそこに
今夜もいそいそと帰ってきた
玄関のすぐ脇の部屋で
かつて母だった生き物が
また呻いている


父の三回忌を済ませた頃から
母は溶け始めた
ビデオテープのように過去を ....
あついことは暑いことだと夏はただ言って
10メートル先の水たまりを勝手に縛りつけた
彼はどこにも行けない身体をしているのに
もう一人の彼女がいつまでもそばに寄れないようになっているのは
た ....
倒れた自転車から音は聞こえない。

コインロッカーに花束を忘れてきた。

クレーン車の輪郭が闇に消える。

花壇の整列した花々で指先を切った。

低気圧、靴紐を揺らす。

埋められ ....
もうこれいじょう
なーんにもかんがえたくなかった
ところかまわず
からだをなげだして
やーめたっ
なげやりなこえでせんげんして
あとはどこかのだれかが
つづきをするなりちょきんときる ....
花壇のマリーゴールドは
みごとにおひさまの色
おひさまを
いっぱいに吸いこんで

ハナムグリのベッドは
おひさま色の花粉
ハナムグリのごちそうは
おひさま色の花粉

夜なんか知らな ....
  
まるで橋を渡るように
月の町と日の町が
時の海の渦の中に
一つになって溶けていく
知らない町
知らない人の群れ
立体裁断の服の子らが
同じ顔くっつけ喜びはしゃぐ
人形のような老 ....
子供の頃は
山手線とか
中央線の
区別なんてつかなかった

中学高校と
陸上部に所属
大学では
経済学を専攻していた

いつまでも
走らなければ
いけないなんて
思いもしなか ....
赤土の皿に赤い身
濃い溜まり醤油と
潮気かおる雨宵

ここでしか漁れんもんやから

引き戸かたつく飯どころ左隅で
ちらちら横目くれられビールを半分まで
流し込む
わぁ美味しそう  ....
煙草を灰にするように
死に体の鴉たちが一斉に飛び立ったので
空が夜みたい
狭い空ばかり見ていたから
わからなくなるのです
こんなとき
天井がもうきついそうなので
僕は唾を飲み込んで
君 ....
少女まんがワールドのあのピンクの靄の中にいると
書店が丸ごと幻覚剤に思えてくる
美化された男達が刺身のようにならんで
少女達の目で品定めされレジへと運ばれていく
私が初めて読んだのは萩尾望 ....
けらけらと笑いあい
手をつないで
かけぬけた
日々


  わたしはいつでも
  ひとりでした


ほろほろと溶けて
くずれてゆく
角砂糖はキライ

シャカシャカと音のもれ ....
夕立でもぎ取れた蝉が
丁度今乾き切りました
私はアスファルトに足を揃えました
腹をかえし対の肢を合わせたその亡骸は
無音の言祝ぎでした


夕立のあと再び燃えていた日は、結局 ....
はだしで たたん ステップ
ひびけば きょうが はじまる

おはよう おはよう

ことりのようにさえずって
あさのぐんしゅうにまぎれても
ひとり ひとり たどりつくばしょ ちがくて
 ....
  
猫が逃げました
ボヤが出ました
便所は汚すな

親切な貼り紙のアパートの
隣の部屋の人の顔 
まだ見たことありません

のような午後の世界に

河川敷の花火
の音が聞こ ....
ワイシャツに袖を通し
カーテンを開ける
陽射しがこれみよがしに降り注ぐ


 俺は塾講師だ


自転車に乗り煙草を吹かし口笛を吹け
汗が滲む
郊外型スーパーの前 ....
発車を告げる笛がとつぜん響き渡る
いつの間に電車が到着していたんだろう
みんな一斉にホームに駆け出す
ぼくも駆け出す
階段で足がもつれて転びそうになる
転んでいる人もいる
閉まりかけた ....
交差点に立ちながら考えた

なぜ俺はここにいるのだろう
紺色の制服の中のそのまた中は
少しも変わっていないのに

化石となって考えた
風がひゅーひゅーなっていた
女子高生が華やかに通り ....
梅雨明けの午後3時、
高架化成った西武池袋線桜台駅。
昼飯食いそびれた背広姿のサラリーマン(俺)が
ベンチにて団子3串にかぶりつく。


頭ン中にはお気楽な音楽。
「カリフォルニア、 ....
さり気なく母であれば
さり気なくあなたも娘であるから
家の重さが気楽だね
愛しさは葉裏に隠した卵のように
日にも晒さずに
風を気取って通りすぎる
着慣れた服の私を
あなたは横目で追い ....
私には顔がない
のぶちゃんはグルグル包帯の
ミイラ男みたいな顔持ってた たしか
と、思っている
水鏡にもお尻を向けられた
私 やっぱり顔がない
手鏡捨てた
三面鏡割った
別にいいや ....
朝の花瓶から落ちたばかりの
新しい百合の花の傍らに
朝の床にて閉じたばかりの
新しい蝶々を添えたらば
一滴も流れず
ふたつ
満ちた


何も願わない夏の朝
百合の花と蝶 ....
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