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まんじゅうをお湯で溶かして
ぐにぐにして食べていたのだけれど
そんなことはやめろと言われて
めんどくさいな
おまえはこうじゃ
と、針を突き出す
それが傍目に面白かったのか
さらにさらに鬼 ....
都で流行っているひげ茶です
これはご丁寧にどうも
と、そのような取引があってから
何度か顔を洗って
学校にも行きました
戦争があったかもしれません
泣いて帰って戸棚を開けて
ざざーっと海 ....
箪笥の中で眠っているといろんなことを思い出す。外では送電線がぶんぶん唸っているので余計にそうだ。そのうちまた学生服を着た鶏のような女がやってきて、箪笥ごと海に運ばれるのだろうけれど、今はまだ真夜中の最 .... 家のまわりをうろついてるあの音
ざりっざりっと砂利を踏むあの音
あの音
二本の白い木のような足
指は全部ある
裸足で少し汗をかいてる
五月の夜
家のまわりをうろついてる
あの音

 ....
そろばん屋の戸をくぐる
奥に小さな番台が設けられていて
主人がそろばんを弾いている
わたしがそろばんを見に来た旨を告げると
主人は顔も上げずに
今時そろばんでもないでしょう
とぶっきらぼう ....
湯たんぽを使うようになって
夢の中にまでそれが付いて回るようになった
野末のだだっ広い大座敷や
寂れた遊園地のおばけやしき
はたまた性交の場面の片隅に
それは寄り添うようにいて
まだら色の ....
まな板にびっしり生えたふじつぼを
包丁でこそぎ落としていく
刃を横に寝かせて
柔肌からかさぶたを剥ぐように
緑色のふじつぼを剥いでやる
少しの抵抗と悲鳴があったかと思えば
ぽろりと流しに落 ....
座敷を貸してくれというので
貸してやったら
ずいぶんと荒らされてしまった
土まみれになった畳を
泣く泣く雑巾で拭いていると
おまえがいつもそんな風に
下手に出ているからつけこまれるのだ
 ....
新館と旧館を繋ぐ渡り廊下が
道路の上にかかっていて
それをくぐって行った先が海です
わたしたちが着いた頃にはもう真っ暗で
大急ぎで荷物を運び入れ
各々の部屋に落ち着いたのでした
厨房の火は ....
寝苦しくて目が覚める
触手のようなものが首を締めていて
暗闇に目を凝らすと
大イカが一本の足を伸ばしている
どうやらそれが眠りを妨げているようで
一体何の了見があって、と気色ばむと
イカは ....
角を捨てるのなら山がよい
季節の巡りごとに生え変わる角を
ひとまとめに籠に上げて持っていく
このあたりは古い窯場だから
埋もれて見え隠れする陶片を拾いに
屑拾いがうろついているのもちょうどい ....
わたしが桂馬をくすねてきたせいで
あの人たちは困っているにちがいない
そう思うと笑みがこぼれてくる
桂馬ひとつがないせいで
互いが互いに疑心暗鬼になり
それがために命を奪い合えばいいのだ
 ....
納戸に牛の首の男たちがいて
いつ見ても
輪になって下を向いている
一体何だろうと思って
家族に訊ねてみると
別に気にしなくていいんだという
皆に了解されているのならば
害をなすこともない ....
魚を釣りに行きましょうと
手を引かれて行く
氷のように冷たい手である
連れてこられた川辺には
沢山の人がすでに釣りを始めていて
思い思いに竿を上げ下げしている
自分もどこからか
骨のよう ....
レタスさんの春日線香さんおすすめリスト(14)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
地獄- 春日線香自由詩223-12-30
ひげ茶- 春日線香自由詩623-12-26
箪笥- 春日線香自由詩123-12-19
あの音- 春日線香自由詩316-5-18
そろばん屋- 春日線香自由詩416-1-2
湯たんぽ- 春日線香自由詩415-12-16
調理- 春日線香自由詩215-11-16
あとの祭り- 春日線香自由詩115-10-25
渡り廊下- 春日線香自由詩115-10-19
活劇- 春日線香自由詩115-10-18
角埋山- 春日線香自由詩515-10-16
桂馬- 春日線香自由詩215-10-9
牛の首- 春日線香自由詩115-10-8
夜釣り- 春日線香自由詩815-10-1

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