窓から
ふるる

小刻みに刻むチョコレート
ロンサム・ジョージのために

部活をさぼってクローバーをちぎる
きみのためだよ

小学生向け科学雑誌がなくなってひさしいね
ちいさなピンホールカメラを
覚えているかな
真っ暗な中
現像液に浮かばせ
赤い光に照らされる内緒

昔々に別れた彼女が
にっこり笑いながら妊娠線を見せてくれた
そんなこと誰が想像するっていうんだろう?

ポップスって聴いてるといらいらしてくる
こんな楽しすぎじゃだめだって思う
何がだめなのかはよく
わからないんだけど

洗濯で一番好きなところは
洗濯機のボタンを押すところ
料理では
テーブルに並べるところかな
こんなこと誰が想像するだろう?

開け放した窓からは何も始まらない
淡いグレーの青色の夕べも

まんまるお腹の赤紫の亀裂模様を
ぼくはまじまじと見た

ロンサム・ジョージのために
トリュフチョコレートを作る
世界でたったひとり
そんなこと誰も想像しないだろう
だからって
ないってわけじゃない
無視もされるべきじゃない

ぼくだけは知っている
愛するきみがいつか流すであろう涙
その涙が彩る
淡いグレーの青色の夕べ

ジョージも見上げるだろう
そしてケイトも







自由詩 窓から Copyright ふるる 2012-01-30 23:53:19
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