新しく作られた神様を
ひび割れた背中にぶら下げて
くすんだ野道に そぞろの巡礼
通りすがりの南風から
千年前のにおいがする
中空いっぱいにひろげた彩度の
かけらだけでも ....
鳥も帰らぬ街の残骸
その真上にも空が拡がる
空には厚い黒雲が犇めき(ひし)
雲の凹凸にたくさんの泣き顔が
泣き出す雨の一粒一粒が
いのちのかけらであったため
泣き出す雨に佇んだ
涙袋が途 ....
がんばりんさい きばりんさい
けれど ちからを ぬいてきばりんさい
どうしても 我慢ができんときは うちを おこりんさい
あんたになんもしてやれん
あんたの出すもんを うけとめて
....
竹のように のびました 手足
それはそれは すくすくと
あなたの引く弓は
あなたのように しなやかです
あなたは的を射抜く人のように すずやかです
きようも笑ってます
トムとジェリーを ....
なんど僕はここを通過しただろう
福山の彼女にあいにゆくときも
飲みすぎて京浜東北線で横浜までいってしまったり
そんな街にきょうはいる
ロフトの6かいにある島村楽器でギタレレを買 ....
地下に埋設された暗渠の中には
一条の光も届かない
真っ暗闇の水路を
とうとうと水は流れていく
行くあても知らず
後ろから後ろから 押しだされて
暗渠の中を盲目的に進む水
ここから抜け ....
{ルビ汚=けが}れに{ルビ雪=そそ}ぐ
{ルビ咎=とが}に{ルビ雪=そそ}ぐ
{ルビ汚=けが}れは溶けて
{ルビ咎=とが}は溶けて
{ルビ垢=あか}は溶けて
一緒に溶けて
愛を注ぐ ....
ない
時間がない
眠りがない
ことばがない
つく 嘘もない
打ち明ける 真実もない
積み上げる 思想もない
吐き出す 幽霊もない
絶叫する 空白もない
....
貧しい言葉たちを見かけると
原発を思うときのような
途方もない気持ちになってしまう
この違和感は正しい
だからといって
正しいことは絶対ではない
それは世間的な話と ....
ぼくはポールマッカートニーだ
レットイットビーを聴くたび
いつも勝手にそう思ってしまう
解散したくなかった
みんな
遠い心になっていた
奔走したんだ
ねえ、母さん
ぼくは分かりません ....
子供の頃
ぼくは信じていた
何処か遠いところに
黒い湖があって
そこには首長竜が棲んでいる
(お父さん
黒い湖はどこにあるの?)
ぼくが尋ねても
お父さんは何も答えずに
....
不幸の似合う女優さんって
近頃みかけないよね
それだけおんなが幸せになった訳ではなさそうだけど
ひたすら運命と向き合う生き方って
求められていないのかな
※
冬の日差し ....
買えません愛がどこかで売ってても お金が無いし働けないし
拾っては捨てる神しかいないのか次は死ぬまで愛されてたい
本なんて読んでる場合ちゃうかった正面の席美女座ってる
右腕にマリコ命 ....
本当のことを言えば
怠け者のくせして
食事のためには命をかけるが
やらなければならないことを何一つしない。
昼食がすわ一大事と
ランチタイムの作戦を
日がな一日考えて
値段と量と ....
Y 八歳の女子として親に質問した
「ねえ、どうして結婚したら赤ちゃんが生まれるの?」
返事はいまや失念
「ねえ、どこから赤ちゃんは生まれて来るの?」
「眠っていたからわからない」納得する
....
休んでる間に担当を変えられた
と嘆く彼女
突然だね というと
前から決まっていたらしい 一言もなく
休んでいるうちに外されたんだと激昂
おもしろくない と朝から大荒れ
だよね 嫌だねと ....
たとえば
想い出行きの列車の切符があったなら
僕は迷わず買っただろう
雷が鳴る雨の午後
胸のジッパーを握りしめて
心細さを振り切るように走った通学路
修学旅行の帰り道
玄関を開け ....
車庫へ還らぬバスは
停留所にも停まらない
ただ辻々で
わずかな客を乗せて行く
代金は要らない
誰もが代償を払っているから
今日は五人だけ乗っている
眼鏡を失くした男と
手紙を置いて ....
真っすぐに投げ入れられた測錘――
それが判断であるなら
縦であろうと横であろうと
無方向でも
その力積が真っすぐでありさえすれば
縦となり緯は定まる
驚嘆すべきほどの前判断がその位置を得て ....
蜘蛛の糸で宙吊りにされた意識が
朦朧として微風に揺れる
埃だらけの部屋の片隅に
宙吊りにされた自意識
窓枠は皹割れ
硝子に結露は無いが曇つてゐる
窓から差し込む悲劇は
眼球からの映像とし ....
ぼくはかつて猫を飼っていた
あるいは飼われていたのかもしれないのだが
いつも隅っこの居場所で僕をみている
そんな猫さ
何も言わないけれど何もも求めないけれど問いかけてくるの ....
殺してしまえと
唐突に言う私の
死後の粒子が
太陽に戻る日がやってきた。
すでに月はない。
粒子であるから
小さな点ではあるが、宇宙は
振動する紐
であるらしいので
小さな紐とも言え ....
何度も何度も
すべり降りた
体育館の屋根の上
つばめの弟
やってきて
もう帰ろうか
額をつけた
横断する春の粒子
ずっと眺めていたけれど
探しにいこうか
遠い昔に流された
小さな ....
何かが{ルビ蠢=うごめ}くのを背中で感じた
後ろを振り返れば
モゾモゾと動きまわる
何一つ微動だにしない筈の
心の虫は笑いながら蠢く
痒さは手では届かず
イライラで集中できない
....
はじめての電話口での溜め息は
恥じらいながら憧れの色
「何色か聴いてみたいなきみの声」
「歌った声に似ているみたい」
話す声は低いのに不思議だよね
愛(かな)しがる声は高くな ....
夜に心があったなら
きっと淋しい心でしょう
闇夜になるのが
淋しくて
誰かを想わずにはいられない
星に心があったなら
きっと淋しい心でしょう
たったひとりで
何億光年旅をして
誰 ....
東所沢で待ち合わせて関越にのる
風は冷たいが僕のラパンは軽快に跳ねる
彼女はETCをATMといいまちがえるような良い詩人だ
三芳PAで彼女持参の昨日の残りのおでんと塩オニギリ ....
現代音楽のようでいて
懐かしい旋律も現れたりする
シマノフスキーにはそんなピアノ曲が多い
冬の夜に近い朝
外灯は暗い空に圧されるように
地に貼りついていた
柔らかな天地の香り
宇宙から与 ....
ふと立ち止まり仰いだ夜空に
一瞬、星は流れ
願いごとを言う間もなく
黒い幕の裏側へ
しゅぅ・・・と消えた
もし、あの一瞬の光が
無限の宇宙に含まれた
一人ひとりの一生なら ....
遠くのほうで 貝殻色の天蓋に
やがてちいさな穴があき
こぼれる石笛の一小節を縫い付けた
あかるい羽衣の 恵みを象徴してもたらされるもの
鉱物たちがふくんでいる 大きな知恵の営み ....
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