次へと向かう
夕日との
約束ごとで
明日の空に
靴を飛ばした
背中押されて
真っ直ぐに
伸びていく影
追いかけながら
家に急いだ
そこには
少しばかりも
寂しさに
背 ....
最近、黒い手袋が
落ちているのをよく見かける
ある時は職場の廊下
ある時は駅の構内
人間達の無数の足が
通り過ぎてゆく隙間に
{ルビ木乃伊=みいら}の面影で
誰にも届 ....
喉に流れ込み
触れては弾ける小さな花火
光に透かして
揺らぐそこを見つめると
まるで
そのときをたゆたうような
はたまた{ルビ空=くう}を泳ぐような
淋しがり屋特有の錯覚に陥る
ひとりでも平 ....
トリコロールカラーを織り混ぜた不協和音が
螺旋状に響く午前2時
F♯dimとB♭7がクロスした地点に
ジンジャーエールを凍らせたような結晶が生まれる
そう、今わたしの左の腰に小さな氷山が突き出 ....
がれきのしゃしん は いつみても いい
しょうせつみたい に はしからはしまで よまなくても
いっしゅんのうち に あらすじ が わかる
わかってしまいたくはない のに
め を はなすことが ....
朝 魚だったものが
夕方には生花に変わった
明朝には昭和を生き延びた築堤も
すっかり掘り崩されているだろう
燃え落ちる前々日に新線開通
潮で潤すことができなかったいきもの
忘れた積りはなか ....
この浴槽を欲情で満たす牡丹雪
ひとひら、
口づけるたび、悲しみの温度が肌を焼く
ひとひら、
白い手に抱かれるまま、別れの雪を肌に降らす
この雪は溶けるため
この白は忘れるため
あなた ....
向かい風、吹雪の下校道。
風速10メートルと零下10度の結婚で生まれた雪のカミソリに
顔を傷つけられないように、後ろ向きで歩く。
「大丈夫だから。」って言って
かばうように前を歩いてくれる友達 ....
砂浜に受付のデスクが
ぽつんとひとつ
前方には潮の引いた藻場が
どこまでも広がっている
デスクの上の
海の図鑑を開くと
いろんな星の海が泳いでいた
地球の海は昼寝をしてい ....
服をしまう家具がほしい。
しまいこんでもう二度と使わないようにするために 服を収納するんではなく、
いつでも着られる服をさっと取り出せて洗濯したらすぐに戻せるような
服の定位置 それを与える ....
きみが帰ってこないあの日から
砂時計の砂はさかさまにこぼれて、こぼれて、
しだいに、ちいさな子供になってしまう、夜
遠くで、つぶやくきみの言葉が、わたしの名前だといい
そんなふうにして ....
化粧水をたっぷりふくませたコットンを3枚ご用意下さい
それを
おでこ 右ほほ 左ほほ
に 1枚づつ
丁寧に重ねて
15分ほど
お待ち下さい
ほほを触ってみて
....
オメエ、死ぬのかい
――だったらよう、
せめて逝く前に鮨食おうぜ
肝っ玉据えて、俺と鮨食えよ
粋な麻暖簾くぐってさ
どうぞ勝手に席へ就いちまいな
捌いたネタと酢飯の匂い、
舎利の温( ....
乳房が熱くなって
きみの鳥肌が湿っている
きのう出会ったのは
地方都市の中華屋でだった
客はふたりしかいない
そのあとカラオケに行った
十五の夜を歌う
きみは ....
しとしと、ざわり
雨音の狭間で風が唸る
濡れそぼった大地に
孤高を持するように
どうだ、と
唸りをあげる
風
自信と威信が綯い交ぜになった
誇り高い生き ....
いま振り返れば
ぼくら無限の可能性と選択肢を持っていた
自分がなりたいカタチにつながる糸を必死にたぐっていたんだ
迷って、傷ついて、選んで、投げ出して、
ちっぽけなことや格好つけなこともあ ....
あのひとから乞われた訳じゃない
成り行きでと言えばそんな感じだった
奥さんよりも私を選んでくれた
そんな幼い優越感が無かったといえば嘘になる
幸せだった頃に家族で訪れた事があると話していた ....
あとひとつきもすればさくらがほころぶ
去年はきみと名もない小山をのぼった
ぐねぐねとした白っぽい坂道
わたしたちしかいない公園
つめたくなったマクドナルド
力のない紙袋か ....
≪〜春〜≫
◇パンジーに雪降り積もる寒い朝けなげに小首かしげて笑う
◇待ちきれず眠い眼こすり顔を出し辺り見廻すチューリップ
◇れんげそう髪にかざして春の野を駆けてみたいな ....
■潜在意識のプロトコルを宇宙に合わせろ・・・
■われわれは受信した
朕深ク世界ノ大勢ト帝國ノ現状トニ鑑ミ・・・
まだはじまってもいないぞ終わりは
街は真っ黒に焼けたがれきであり
....
飛行機に乗っていますか
それとも鳥になりましたか
空はあまりに高すぎて
あなたの姿が見えません
風はあまりに強すぎて
あなたが何処にいるかがわかりません
今日は雲が ....
真夜中
出張さきに着いて
部屋にはいる
FMにあわせると
モーツァルトが軽くながれた
4時間まえは
海をこえたところで
会合の司会をぐだぐだやっていた
....
遠くの光は冷たい
近くの光は熱い
欲しいんだ
わたしを照らしてくれる光
わたしの手は夜の闇に融けて
わたしの手は光のシルエットに砕けて
あの向こう側に逢いに行きたい
照らしてくれる
わ ....
ひき肉を買った
何だか退屈な日常を少し変えたくて
冬のわりには暖かく
スーパーは少し込んでいる時間帯で
特売ってわけでもなかったけれど
料理レシピのサイトでふいに思い立ち
ひき肉
....
オレが中二のとき生まれたおまえ
こうしていることを妻子が知ったら
いきなり難破船に乗らされるだろう
抱きしめるという行為とはいったい
戦争に引き裂かれた愛ではない
切 ....
あなたがそばにいるだけで
まわりが海に変わる
ほんの少しだけ夜のような
ほんの少しだけミステリアスな海
このまま小さな魚になって
あなたのまわりを漂っていたい
あなたは私の梢を揺ら ....
キラキラした世界と サヨウナラ
ヒラヒラ浮いた僕と サヨウナラ
10年後まで生きていられる カナァ ?
飛んだり跳ねたりはもうできない
あなたが白いから
10年後ま ....
口語の時代はさむいがその寒さの中に ※2
自分の裸をさらすほかない時代
ひとつの恐ろしい美が生まれた ※3
三角さん、錯覚しなければ ....
親子であったり
夫婦であったり
友であったり
天使たちの遊戯
声のない
音のない
天使たちの遊戯
しびとになって
このよをのぞいていた
光 ....
何故かあのひともそうだった
年上の素敵な奥様がいて
それなりに幸せな家庭を築いていた
そしてそんな男の軽い浮気心に惚れてしまう女がひとり
初めて出逢ったのは真冬に逆戻りしたような夜 ....
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