【新】
手と手と てとてとてと かさなりあって音がする
足と足 大きな靴のなか小さな足が とてとて動く
とおい日の かげが
わたしを追い抜こうとして とてと 立ち止まる
冷蔵庫に ....
月曜日に来た人は とても穏やかな顔をして
私の頭を撫でてくれました
月曜日に来た人は 火曜日には火遊びの仕方を
私に教えてくれました
月曜日に来た人は 水曜日私の小言を片付けて
流 ....
{引用=コトバだけで世界をつないでいく、そんな嘘くさい指切りをして
あなたの色つきの夢の先に、私はいない。
コトバだけで生きる人は 骨の分量の重さを 世界と言い、
あなたは、夕陽を溺れ ....
湯の歌が激しく聞こえて来て
夕暮れに
東京渡辺銀行が破綻しました
ニーナの歌も聞こえてきます
締まった詩に成る予感に
母の田圃も駄目に成ります
何処からでしょうか
原始人でしょうか
激 ....
かわひらこ、が
ずいぶんお利口に
触れあう
初めて、は
どれも素敵だった
流れ星が
周囲の光を食べて
夜空で一番輝いたとき
羨望と後遺症に手をやいた
透明 ....
孤独はいまも継続中だ
それが常態となってしまえば
たいした痛みも感じないものだ
ときおり非日常にきみがやってくる
それは僅かな恩寵でもあり
かすかな煩悶でもある
きみは花をアレンジ ....
あるとき哀しみがやってきて
壁紙を引き剥がし読みかけの
テーブルの上の本を引き裂いてゆく
暗幕で覆われた部屋には夜しかない
そう曠野はいまこのこころに映る風景なのだ
それでも半額のシ ....
陽ざしが注いで
私の庭にも
優しい色の花が咲く
柔らかい雲が
少し動くと
空に向かって
胸を開いていた
白木蓮も
風に 花びらを
はらはら散らす
白樺の若葉は濡れてなお淡く
陰りの中に揺れ
畑の麦はより深く
滲むように息づいた
日差しにかすむものたちが
雨の日には薄められず
沁みて とおる
焦げついた所まで
土の匂い
湿 ....
窓の外の、
引力や生き物の息遣いから生まれる
有機質の、音を
ラヂオの代わりに耳にいれる
いくつかの後悔や
選択の不安さに沿うように、して
またグラスの氷が揺れる
....
【無口】
山高帽の男の顔は見えないが
どこにでもある石を缶詰のように
開けようとしている
男にだけにわかる匂いを閉じ込めたのは
誰なのか
日記帳の文字の旧字体が
机 ....
蛇はひと口咬んで
あとは丸呑み
四の五の言わず呑み込んで
ゆっくりと消化する
蜘蛛は牙でひと刺し
注射して中身を溶かす
あとはハンモックで横になり
ゆっくりストロー
蛆は胃液を ....
ハイバックの助手席じゃあ
帽子のツバが すこしむずかしい
すこし雨滴のあとの残る車窓から見える景色は
映写機のように枠のある動画
だけれども携帯の電池なんて いらないよ
幸運にも にわかに咲 ....
言の葉
とはよく言ったものだ
青春に芽吹いた言の葉も
人生の秋ともなれば
渋く色づく
としても やがて散る
散った言葉は
ぼろぼろに朽ちて
形も意味も喪い
芽を出すこと ....
絶望やドストエフスキーの桜
姥桜ボディブローが効いてきた
お母さんは横になってテレビばかり見ています
わたしは笛の練習をしています
先生から叱られたところ
雨が少しふりだしました
おどろいたようなお母さん
犬のようにお尻 ....
朝のワールドニュースでは
空港に設置されたカメラが常にテロを監視し
中国の経済的失速が懸念材料となり
世界のあらゆる処であらゆる価値観が往来する
冷凍のピザをオーブントースターでこんが ....
小さな嫉妬の粒を
指先でつまんで丸めてみる
日暮れて家へ帰ろうと思うのだが
行く先が知れない
たくさんの人たちが
出立する暮れ方の川辺の
薄れていく土手の向こう
たわんでいくぼくの背 ....
百均で買ってきた
ミニチュアの黒いうさぎは
手のひらに載せて
選りすぐろうにも
どれもみな
哀しくなるほど同じ顔
同じ姿勢同じ表情
どうしてこんなに正確に
大量生産できるのか
まるで ....
霧吹きのような雨はふかみどり
胸の奥まで吸い込んで
わたしは森になる
しばらくすれば
じゅうぶんに水を含み
耳を傾ける
彼らは
永遠を指し示すこと ....
母の頬を打つ
鋭い音が私の底に弾けて沈む
窓から漏れる灯が全て真っ赤に爆ぜる
影絵が暴れ出す
玄関口を喪服の村人がぞろぞろ出て行く
四角いお供え物に母の骨を携えて
母の頬を打つ音が隣の ....
かなしみが河いっぱいにあふれて
よろこびも一緒にいる
まるで流し絵のように一緒にゆるやかに
色をなしてゆくもう痛みもない河畔に
ちょっと嘘つきでよゆうのない自分が居て
漢字変換ではも ....
予約時間に早すぎて
十数年ぶりに弘南堂書店へ往く
見慣れたブックオフとは違う
天井近くまで積まれた学術的古書に
おまえの目は泳いでいる
楽しい散策 わたしには
安い棚から掘り出した一冊は
....
風の指揮大合唱の花の山
書かねばならない事
を 探して
言葉の海を泳いでいました
今の私に書ける事
を 尋ねて
言葉の風に吹かれていました
波はさざめいて
私を弄び
風は追いつけない速さで
私を通過し ....
懐かしいトムとジェリーを観ながら
人生スラップスティック論入りの缶チューハイで
ほろ酔いの仕事明けの朝
様々な宗教の勧誘やってくる
団地の一階だからな
ハッブル宇宙望遠鏡が25周年を ....
屋根裏の秘密の部屋でふたりきり禁じられた遊びをしようか
動かないで君は僕のお人形着せ替え遊びをさあ始めよう
庭に咲く色とりどりの花よりも君の奥に咲く薔薇を見せてよ
妖精を小瓶の中に閉 ....
花盛りもう一時間歩こうか
王将を守れる駒に憧れるまずは歩兵を目指しリハビリ
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