はろー はろー
わたしはここにいるよ
きみがしってるわたしはここにいる
だからさがさないでね
おやすみ ぐっない
いいゆめを
女たち二人が男に言い立てている−−
女1:その言葉があなたのものである証を示しなさい
女2:言葉はあなたのためにあるのではない
女1:あなたが体験したものはあなたが体験したも ....
いくら考えてみたって、それは
途方もなく大きな壁だし
やっぱり誰かの覗き穴なのだ
漏れてる光は淡くて黄色くて
きっと幸福を形にしたものなんだけど
爪あとに似た影も見えるね
だからき ....
これって何かの間違いだったりして
夕方近くに先日面接受けた問屋さんからの着信
胸の震え抑えつつ電話に出てみれば採用しますの吉報だった
他の誰かと間違えていないよね
いつもの野良猫に ....
雪の降り積む
季節の頃に
じっとつぼみを
育んできて
やわらかな光が
いま やさしく包む
きょう、桜の花が
咲きました
これからずっと
幾年も
ふたりでいつも
過ごします ....
コンビニの袋をちりちりいわせながら歩いていた
夜風のなかに小便のような匂いがした
あたりを見回すとその匂いはツツジの群生からこぼれていた
それは甘くて涼しいヨシミの匂いにも似ていた
連休ユ ....
君に対して
誠実な言葉を口にすることが
できなくなったのは
君が僕を軽く扱うから
それは僕が
気が付かないまま
不誠実な行為を繰り返して
いたからなのか
ゆっくりと壊れてゆ ....
新雪の上にあし痕をつける代り鮮血を垂らす
雪の原(畑で可)に裸の女3人をしゃがませる
1の女は経血を垂らす
2の女は死産児を産み落とす
3の女は陰部にナイフが刺さっている
3人の女の流血 ....
赤色のじゅうたんのうえを靴音をしのばせながら歩く。
五歳のポールは早くも昨日の夜からカルナヴァルの予感を感じていて、鏡の前で衣装あわせ。
おしゃまな彼は、オペラ座の舞台で道化を演じる花形ダンサ ....
そのメーカーはあった
コガネイ係長の言うとおりだった
最初にかけてみたメーカーがそうだった
そこのなら、移設でもシステムやりかえでも、何でも出来ますよ、元そこの社員の設計がうちにはいますから ....
圧迫 閉塞 窒息
肺をもがれたみたいで
息が出来なくって
縋るように窓へ駆け寄り
愕然とする
そこにも また
目の醒める様な拒絶があった
月が綺麗ね
あなた
三日月であろうと
半月であろうと
喩えば新月でも
夜空見上げて
語りかける
まるであなたが
横にいるかのように
月が綺麗ね
あなた
雲に隠 ....
耳の中、ゆっくりと流れ込んでくる群青色の金属音は
きりり、きりり、と子守唄気取り
前に進めば、曖昧なクラシックが見えてきて
立ち止まれば、冷えきったエレクトロニクス
遠い国か? い ....
三月の飛鳥山
王子駅から望むと
厳冬時とさほど変わらぬ
枝振りの樹々が
何の衣も纏わず
剥き出しではあるが
陽光に透けて
半月後の桜色の
淡い期待を靄のように
纏っている
穏や ....
{引用=
降りてくる朝の手綱を引いて
静寂の中にひっそり佇む戸口を叩く
小径を満たしてゆく血潮が瞼を温める
レンズの向うに産まれた半透明の結晶が
ぶつかりあって溶けてゆく
あらわれ ....
動き出した特急が
午後の太陽のように
去り行く僕の影を
ゆっくりと引き伸ばす
まだ知らない場所も
通り過ぎた道のりも
結局ここからは見えないんだ
僕はこの町が
好きで嫌いで
....
女の腹が真珠(たま)孕み 男の腹に指が這ふ
愛ほしいひと、今宵貴方を離さない
貴方をわたしに誘ひたい
迸る極楽浄土を黄金で編んだ煉獄に
火と蛇で撚つた鎖で繋ぎたい
男の胸に日が昇り 女の ....
雨が降るよ
春がくるから
雨が重たく降るよ
肌にむずがゆく、すいつくように
風が吹くよ
春がくるから
風が海から吹いてくるよ
タンポポのわたぼうしをとばし
空に白い雲をころがし
....
高架線の流れに押し戻されつつもドア際へ体を寄せれば
やがて天井桟敷の建物が左手に顕れる
夜勤明けの尻ポケットには馬券の束
そして耳に挟んだ赤鉛筆
「穴場に手を突っ込んだ勝負馬券は当然に ....
左折レーンにいた
交差点にしゃがみ込む人たちを見た
赤い小さな水たまりを見た
音声を風が運んだ
がんばって…
がんばって…
助手席の彼女が見たもの
人の言葉を持たない小さな生命が
消え ....
ユキオは高速を高松ではなくてヨシミに向かって飛ばした
酒造メーカーの博物館で事務をしているヨシミに3時くらいに着くから早退しろと言ってみた
わかったよ、と即答で応えてくれたことにユキオは感謝した
....
ちゃぷ ちゃぷ ちゃっぷん
水まくら
昭和ロマンの{ルビ色形=いろかたち}
今に伝える
水まくら
ベンガラ色の胴体に
銀色ネクタイ首に締め
お腹の水を堰き止めて
口をへの ....
つい今しがたTVニュースを観始めるまえまで
いくぶん柔らかめなカールのブリーチトブロンドの女は
薄切りのハニートーストと生ハムと桃を食べていた
その唇は鮮やかに紅く、甘い蜜に濡れている
花 ....
夕暮れに
濡れた雨傘がぽつんと一つ
夕陽を浴びて
柔らかなオレンジ色に染まり
沈みゆく太陽を見て
何を思うのか
忘れ去られたかのように
壁に立て掛けられた様子が
どこか寂しげに見え ....
わたしの灰色のへやに
いろんなひとが入ってでていく
オレンジジュースの澱みたいに静かなきもちで
かたい腕に抱かれて痛くない。
あなたが
もし
わたしをすきだと言うのも
この灰色のなかに限ったこと ....
工場長が腕組みをほどいた
ああ、工場長が行ってしまう、
ユキオは顔をあげた
ユキオの唇がかたくなった
工場長が胸ポケットからケイタイを取り出した
あのなあ、頼まれてくれないかな、今から割 ....
あなたはカラスは可哀想だと言う
黄色い色が見えないから
菜の花畑の心地よさがわからないと
黄色に指定されたゴミ袋を見て言うんだ
はじめから見えないモノ
知らないモノ
それがわからなくて ....
となりのカプセルのアラームに起こされたユキオは浴場にゆき湯につかり頭を洗い全身を洗い歯を磨いて髭を剃りトイレを済ませてカプセルホテルを出た
8時まえにはメーカーに着き通勤ラッシュの正門まえに立った
....
小蝿が旋回している台所、たくさんの腐ったイカの目玉がこちらを見ていて、嬉し恥ずかし、アイドル気分
今日も私は輝いている
ストロボライトが私を照らす
今年の春に隣に越してきた素朴な ....
声 その声を聞きたくて
今教わったばかりの番号をダイヤルする
そして 櫛を入れた洗い髪のように
柔らかな声がぼくの元に届いた
話すべき言葉なんて
用意していなかったので
ぼくは ....
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