川原で
宮川大助師匠のような顔をした生き物を見た
って 言って良いのは 花子師匠だけかもしれないけれど
ずんぐりむっくりとしたケモノだった
大きさは 犬と猫の中間くらい
....
立ち止まるのもありとは思うものの
夏らしさを感じる風の勢いに身を任せてみる
買い物帰りとかに立ち寄る近くの公園
このあたりは放射線とは多少なりとも無縁でいられるのか
小さな子供たちのにぎや ....
風が流れている
夏の兆し
木漏れ日が揺れる
樹が鳴る
遠くから聞こえる
ざわめきに
ふと手をとめて
窓の外の世界に
目をやると
光と襞と陰りに満ちた
五月の地球だ
温かい空気に
....
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気が付くと雨の音があって
全てが濡れている。
空気の匂いが濡れている。
自動車の走り去る音が濡れている。
風にそよぐカーテンが濡れている。 ....
ぼくが寝付けないのは
すこし飲んだアルコールのせいか
食後のあとのコーヒーのせいか
それとも 今日を終えたくないのか
・・・・
眠れるように 君に おやすみを
眠れるように ....
もう付き合って十二年か
お前のイイとこも悪いとこも
朝まで語れる
え?それは私の台詞だって?
そりゃあ お互い様だ
最初の頃は 錆止めだ!ワックスがけだ!と
お前に気を使ってたっけ ....
錆びた釘 カンの切れ端 木屑をめくれば虫
雪で潰れた物置小屋の腐らない破片をさらう
小さなスペースに散らばっている小石
両手で包み バケツに集める
土台と共に 捨てられる礎
....
きいてね。
きいたこと、あってもね。
うるさいだろうけど、ね。
ねぇ、きいてね。
きいてね。
その耳たぶでね。
もっと奥のほう、
まごころ ....
沸点で淹れた紅茶に
蜂蜜と
生姜の絞り汁
握り拳よ
芯部に響け
きみたちが求める女に
雄々しさはあるのかい
絞め殺したくなるような可憐さ
汚したくなるような透明感
ほんとうは
....
夜中にひとり食パンをかじる
バターをつけないで
ジャムをつけないで
電気もつけない
冷蔵庫の前にしゃがんで
はみはみ
虫みたいに食べる
どこか外国から船に乗せられて
海をこ ....
お疲れさま♪
優しく声をかけたいのだけど
つい嫌味な言葉なんかを付け加えてしまう
どうしてなのかな
額に汗かいて努力したのはあなただし
わたしは洗い物とかしながら眺めていただけ
....
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ぼくは夕方の景色が好きだ
建物に夕日が当たって輝き出す
( と直ぐに )
周辺の空気が藍色に染まり出す
( それでもまだ ) ....
雛菓子をつまむ指先の
その感触は
母さまの温もり
ひとつまみ
もうひとつまみと
雛の飾りから拝借する君の
{ルビ当=あ}て{ルビ所=ど}ない{ルビ戯=たわむ}れは
長き ....
あんなところまで
かけあがってゆく脚力があった
なんて、知らなかった
あれが
かけのぼってゆく波のペニスだったなんて
美しい波形
コバルトブルー
夏の日に ....
また、わたしが見ていると、一羽のわしが中空を飛び、大きな声でこう言うのを聞いた、「ああ、わざわいだ、わざわいだ、地に住む人々は、わざわいだ。なお三人の御使がラッパを吹き鳴らそうとしている」。
第五の ....
昔に植えた
自慢の椰子を倒してくれという
七メートルほどあるトックリヤシモドキが四本
これから台風がくれば
隣の駐車場の人様の車の上にいつ倒れるかも知れないのが心配で
風の日はよく眠れないの ....
押勝の横顔は
琵琶湖に沈もうとする夕日
の照返しを受け
朱く染まっていた
湖畔勝野の鬼江から
船を出し、助かる見込みの無い闘争
せめて家族はという家長の気持ち
そんな気持ちも家族は一 ....
声高に叫べないから
文字の裏にスルリと隠す
ほとばしる感情をメタファーにゆだねて
苦く噛みしめる思いをほどいて昇華していく
そうやって幾つ言葉を散らしてきたのだろうか
押し黙 ....
♂「いいか。一度しか言わないから よく聴けよ。」
♀「ええ。」
♂「おまえのことが... 好きだ。」
♀「えっ? なんて?」
♂「・・・。 いいか。一度しか言わないから よ ....
朝
小料理屋の前で
ミャアミャア鳴くお前は
「リアル招き猫か!」と
心の中で突っ込んでは惚けてみた
あの凍てつく日から
平日の朝は日課のように
小料理屋の前を守っているんだ
夜 ....
さがしています
わかりやすい たいど
わかりやすい ことば
澤にいたのでしょうか
青筋アゲハが よこぎります
そんなはずはないのに
蝶番のように 澤の景色が見えました
....
{画像=080524153641.jpg}
話した途端に、あ痛ぇ、失敗したなんてありませんか? 言わなきゃよかった言葉を吐き出してから失敗に気が付く。
もう取り消せないけど、コチンって落ち ....
真っ直ぐな視線じゃなくて その少し斜め上
空中にある 円錐形を採用している 銀色の小さな突起物。
扉を開けば シチュエーションにそぐわない着信音が鳴り
詰め込まれていた伝言が 近所迷惑を心配させ ....
蛍光灯のタイムラグ
青白い光の中で
斜めになった椅子の
神経質な輪郭に
目を瞑る
張り裂けそうな胸を抱えたままで
整然とした街を歩いていく
君を失ったからではなく
単に空っぽな未来を想って
痛むこの胸がつらくて
知らないうちに奥歯を噛みしめている
若者たちが集まって ....
AといえばA
されど
BといえばB
最近入店した笑顔の素敵な男のひと
洗い方は丁寧なんだけど
細長い指先からほのかにただようタバコのにおい
最初は気のせいかと思ったんだけど
どうやらそうでもないようで
せっかくのシャンプー ....
今はね
ヒトノチカラを
信じてみようと思うの
これまでは違っていたけれど
そうしたら
変わると思うの
この空気の流れも
何かと一緒に
手を伸ばしても届かないって識っているからさ
ちょっとだけ黙っててくんない?
頭も良くないし、
難しいことから逃げんの得意だけどさ
とりあえず諦め悪いんだよね
手を伸ば ....
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初夏の夜
二人公園で夜空を見上げていた
静かに揺れるブランコに二人
並んで座り
揺らしていた
暗い花壇では朱いコスモスが
強い ....
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