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長い間 探した虹は見つからず
今日の行方を、風に問う

僕の内面にある
方位磁針は
今も揺れ動いている

風よ、教えておくれ
ほんものの人の歩みを
日々が旅路になる術を

群衆の ....
空洞の目から
風景を吸い

真横に向く耳から
音を吸い

手も足も無く
がらんどうの体で立つヒト

薄く口を開き
遥かな命の記憶について
旅人の僕に
今にも〝何か〟言いそうだ  ....
翔子さんの筆から生まれた
その文字は、無邪気に駆けている。
その文字は、歓びを舞っている。

  「空」

誰もが自らを空の器にして
忘我の瞬間を、求めている。

翔子さんの持つ
 ....
大雪の翌日

退院間近の幼い息子を迎えに行けるように
シャベルを握り、腰を据え、無心になって
門前に降りつもる雪の{ルビ塊=かたまり}を、掬って、投げた。

玄関から顔を出した、姉さん女房 ....
ほんとうに「優」れているものは
「優」しさが、宿っています。
そうして「優」しい人というのは
どこか「憂」いている「人」です。

じぃ…と「優」を視ていると
(百の愛を身ごもる人)の、微笑 ....
今はもう(夢の時間)になった、十代の頃。  
ほんとうの道を、求めていた。  
敷かれたレールを、嫌がった。  

思えばずいぶん、{ルビ躓=つまづ}いた。  
人並に苦汁を飲み、辛酸も舐め ....
緑の庭の階段で 
座る少女に 
覆いかぶさる葉群から 
木漏れ日はふりそそぎ 

何かを両手に包む、少女は 
嬉しそうにこちらをみつめ 

テラスの椅子は
かたかたっ…と風に揺れ 
 ....
熱血上司は耳をまっ赤にして 
デイサービスのお年寄りを
皆送り終えた、スタッフの中へ 
ふつふつとやって来た。 

「なぜ敬老祝いの紅白まんじゅうを 
 ○○さんに届けないいぃ…!! 」  ....
小さき花のテレジアは 
修道院の姉妹等の 
冷たい目線が心に刺さり 
獄中で鎖に繋がれた 
ジャンヌ・ダルクに自らを重ねる 

「風の家」に住む井上神父は 
老いた体に嘆きつつ 
在り ....
ふと立ち止まり仰いだ夜空に 
一瞬、星は流れ 
願いごとを言う間もなく 
黒い幕の裏側へ
しゅぅ・・・と消えた 

もし、あの一瞬の光が 
無限の宇宙に含まれた 
一人ひとりの一生なら ....
国道1号線を渡る前 
信号待ちの車の窓から、遠のいてゆく 
最下位のランナーのもつれた足で走る後ろ姿に 
歩道から無数の旗をふる 
人々の声援が、彼の背中を押していた 

国道1号線を渡っ ....
神保町の古書店でみつけた 
亀井勝一郎の本を開く 

薄茶けた頁の紙を捲れば 
文中の「純粋」の粋のところに穴が開き 
前のページの「醜」という字が穴に重なり 
「純醜」という言葉になった ....
僕等は、いつのまにか 
否応無く人生という列車に乗っていた 

やがて、この列車は 
御他聞漏れず地上から浮遊してゆく 

いつか、必ずブラックホールの暗闇を 
一度は通過するという 
 ....
いつものようにキスをして 
電車に乗った君の 
窓越しの笑顔に、手をあげて 

一人になった休日の僕は 
駅ビル内の喫茶店で 
朝食のパンをかじりながら 
ふいに 
自らを漂う雲と思う ....
不格好に欠けた{ルビ湯呑=ゆのみ}が 
窓から光をそそがれて 
嬉しそうに 
{ルビ煌=きら}めく{ルビ水面=みなも}を、揺らしている 
深夜の台所で 
小皿にのった梅が 
まあるく佇み 
影を、伸ばしている 

些細なことで取り乱す 
僕とは違い 
微動だに、せず 

のっぺらぼうの顔で 
ただ、そこに。 

 ....
らんぷの灯の下で
古書を開く深夜のひと時 

遠い過去から 
著者のたましいが 
私にそっと、語りかける。 

いのちの宿る一行に 
無心で引いてゆく線は 
宇宙を貫く、流星です 
 ....
かけがえのない友が
生きる場を失い 
追い詰められてゆく 

無慈悲な社会の偶像に 
人波の渦の中で立ち尽くす僕は 
只、拳を握り締めている。 

君に電話するといつも   ....
工場には 
一つの巨きい機械が常に作動し 
ベルトの上に運ばれる 
「商品」は次々に仕上がり 

( 巨きい機械を組織する 
( 無数の小さい歯車達は 
( 涙を流す、暇も無い・・・ 
 ....
初老の母ちゃんを乗せた 
旅客機は 
赤ちゃんを産んで間もない 
姉がいる富山を目指し 
羽田空港の滑走路から 
大空へ 
飛んでいった 

定年をとうに過ぎた親父は 
警備の泊まり ....
チェーン店のカレー屋で 
「グランドマザーカレー」
を食べていた 

自動ドアが開き 
ヘルパーさんに手を引かれた 
お婆さんが店に入り 
隣の席にゆっくり  
腰を下ろした 

 ....
くたびれた足を引きずって 
いつもの夜道を帰ってきたら 
祖母の部屋の窓はまっ暗で 
もう明かりの灯らぬことに 
今更ながら気がついた 

玄関のドアを開いて 
階段を上がり入った部屋の ....
 昨夜の「ぽえとりー劇場」のオープニング
では昨日の朝、現代詩フォーラムでみつけた 
nonyaさんという詩人の「鳥瞰図」と「三寒
四温」を朗読しました。 

「鳥瞰図」という詩から僕は、 ....
最近、黒い手袋が
落ちているのをよく見かける 

ある時は職場の廊下 
ある時は駅の構内 

人間達の無数の足が 
通り過ぎてゆく隙間に 
{ルビ木乃伊=みいら}の面影で 
誰にも届 ....
 立原道造記念館に行った日 
 「立原道造と堀辰雄」という図録を 
 細い両腕で包むように 
 君はぎゅっと抱き締めた 

 後日僕は独りで 
 同じ場所に佇み 

 在りし日の詩人の ....
川の向こう岸に 
「矢切の渡し」と赤字で書かれた 
白旗が 
緩やかになびいている 

広々とした土手に座った僕は 
右半身を暖かい日にそそがれながら 
左半身を冷たい北風に吹かれながら ....
渋谷駅前広場に置かれた 
緑のレトロ電車に入り腰を下ろせば 
クッションみたいな長椅子は 
日頃の腰の疲れを
吸い取るように暖かい 

走ることの無いこの車両に 
集まる老若男女は 
 ....
どうやら僕は
今迄の思い出を 
大事にしすぎたようだ 

部屋の中は 
まだ終えてない宿題みたいな 
山積みの本  

ポケットの中は 
札は無くともささやかな記念日の ....
雨のスクランブル交差点を眺める 
2階のCafeで 
木目のテーブルの上に 
「 アランの幸福論 」を開く 

信号が青に変わり 
湿った白い梯子の上を 
流れ出す 
色とりどりの傘の ....
nonyaさんの服部 剛さんおすすめリスト(29)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
靴音- 服部 剛自由詩919-2-3
埴輪ノ声- 服部 剛自由詩318-5-25
ましろい世界___- 服部 剛自由詩516-2-14
詩人と雪掻き- 服部 剛自由詩9*14-2-16
「優」__- 服部 剛自由詩9+*14-2-12
無人駅にて__- 服部 剛自由詩11*13-11-6
風のひと_- 服部 剛自由詩9*13-7-16
まんじゅう事件_- 服部 剛自由詩4*13-5-3
テレジアの花_- 服部 剛自由詩612-8-1
流れ星_- 服部 剛自由詩312-2-9
燃える人_〜箱根駅伝を見て〜_- 服部 剛自由詩212-1-8
窓_- 服部 剛自由詩511-11-29
魂の器_- 服部 剛自由詩411-10-20
雲の箱舟- 服部 剛自由詩410-12-4
欠けた湯呑_- 服部 剛自由詩310-7-23
梅の顔_- 服部 剛自由詩610-7-8
らんぷの灯の下で_ー深夜の読書ー_- 服部 剛自由詩609-10-10
Protest_Song_- 服部 剛自由詩3*09-10-7
イデアの国_- 服部 剛自由詩809-5-15
幸福の食卓_- 服部 剛自由詩1809-4-3
稲穂のこころ_- 服部 剛自由詩1109-3-22
遺影のまなざし_ー四十九日前夜ー_- 服部 剛自由詩2009-3-10
僕等の日々は三寒四温_〜nonyaさんの暖かい詩情について〜 ...- 服部 剛散文(批評 ...309-3-9
黒い手袋_- 服部 剛自由詩809-3-4
林道の彼方へ_- 服部 剛自由詩309-1-14
風の寅次郎・2_- 服部 剛自由詩408-12-29
昭和の電車_- 服部 剛自由詩908-10-13
Freedom_Song_- 服部 剛自由詩32*08-9-22
東京の宇宙人_- 服部 剛自由詩108-8-23

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