夕陽の傾きかけた街の一角に
何人もの成人した人間の列が歩く
皆一様に下を向き黙ったまま歩き続ける。
歩いている間は生きていられる。

立ち尽くした人間は片っ端から
列最後尾をのろのろ走って ....
むかしむかし、ここ印旛沼には妖怪ヌカニクギというのがおった。
変な奴での、
退屈のあまり村に来ては気に入った家の表札に手垢をつける。
一体何でそんな事をするのか、
その家の者に尋ねてみても、恨 ....
視界の端っこでうたたねをしていたナナは
気付いたときにはもうそこにいない


寝る前にはいつも少しだけ読書をする
きりのいいところでしおりを挟んで本を閉じると
ナナはとってつけたようにそっ ....
私って口下手過ぎるよね

神田東松下町にある小さな問屋さんで面接受けたあと
どこをどう歩いてきたのか
気がつけば聖橋の上から鈍く光る中央線の鉄路を眺めていた

ここから飛び降りたとしてもね ....
黄砂か花粉かフィルター越しに太陽が鏡のように光っていた
高速を飛ばしているとなんとなく蛇のお腹のなかをゆくような感じがした
それがシバタさんと今のじぶんの関係を思いおこさせるのだった
引き継ぎの ....
頼りにならないなあ、うちは所長さんだったから任せてた部分もあるんだよ、もうこの製品の購入はきみのところではなくてほかのルートに替える、
調達のシバタさんが再度ユキオにそう告げた

メーカーからの ....
迦具土神(カグツチ)産みて病重く
この世を去ったイザナミは
出雲と伯耆の間 比婆の山に葬られ

黄泉の比良坂イザナギが
あきらめきれずに
逢い求め

拒絶されてつのる思い
灯りを ....
科学者風の初老の男に案内され僕は

たわいない冗談もいいながら気軽に

バイオハザードのそれかと思うくらい

深い地下まで降りて行く。

科学者風が見せてくれたのは

マグロ大の深 ....
冷遇されてたんだろ、つめたい会社だな、かわいそうに、
そんな注文いらんわ、って怒鳴られたことがあるよ、いまさら遅いよ、

所長のあとがまとしてお客様を回るのは気が滅入ることも多かった
手応えも ....
間違えないで、空


ざくざくと刻んで煮込む白菜も
頬を薄く赤く染める風の痛みも
機械みたいにぎこちないゆびさきも
そろそろ片付けようと思っていたのに


ちらほらと芽吹いている梅の ....
4月 黄色い帽子とランドセル
小さな君たちの担任になった
何も心配しないで
私が守ってあげると約束した
校庭の桜も 笑っているよ
だから もう泣かないで

5月 日時計はゆるりと春を刻ん ....
止まない雨だった

優しいままでいられるほど嘘つきではないから
まだあまり汚れていない窓ガラスに向かって
冷たい視線を送り込む
反射した感情の行方を知っているくせに
しばらくそこに立ち止ま ....
前職を辞めた理由はって面接で問われてもねえ
誰もが正直に答えられるのだろうか

いやらしい上司にセクハラされたからとか
お局様に村八分されましたとか
かくかくしかじかで辞めましたなんて言える ....
雨はもうやんでいるのだろうか
プリントアウトしたA4の資料をユキオは読みはじめていた
青灰いろの夕方はユキオが窓に目をやるたびに黒く染まっていった

自分の思考以外なにも聴こえなくなっていた
 ....
{引用=

眠っているあなたに ささやきかける
海峡の海鳴りがきっと
霧のような不確かな、消え入りそうな言葉を運んでくる
小さな螺旋の都に吸い込まれるように
淵をなくした深淵へと
言葉な ....
{引用=
誰も知れない部屋に
愛しい疲れて飽いた私のプシケ
その瞳の黄金の闇に恋をしてから
どうにも朝が眩しくて

指先に掴めない月光を纏わせて
草原で花冠を編む
春雨のような声で静寂 ....
たい鳴てっンーボ とすら揺子り振 のな計時 もとれそ?体死 君い白 A201号教室の
錆びたドアが閉ざされた
入ってったのは
元女優の議員達だ

外に聞こえないと思って
いい気になってんじゃねえ
俺の糸電話あんたらの
タンポンのひもに繋がってんだぞ
 ....
私は
水面を眺めるのが好きだ
こころが癒される

趣味は写真撮影
水の流れや
水面に揺れながら
ゆらゆら写る
風景を愛でながら
写真撮影する

今日は
暖かな春風に導かれ
何 ....
自転車で


それは
全身がうす桃色に塗られており
まるで幸せを知った少女みたいだった
現実に乗っているものとは違い
錆なんてどこにも見当たらなかったし
ペダルはきいきいと不快な音 ....
おれ猫好き

猫無表情

猫したり顔
猫困り顔
猫泣き顔
猫笑い顔
猫怒り顔
猫脅し顔
猫そのまんま

咬む猫
吠える猫
眠る猫

そっぽ向く猫
ふとる猫
何かした ....
朽ち果てた誰も訪れる者もいない廃園
寂れた石畳の道をひとり歩く
色褪せた花壇には花一輪すら咲いてはおらず
春を謳歌していた面影はどこにもなかった

かつてこの花園で一輪の花を摘んだことがあっ ....
{引用=
冷たいコールタールに沈んで
薄い唇を堅く閉ざせば
沈黙が真実さえも無に返して
上辺を撫でる風には奪うことができない
追憶の時間を抱き締めている

強張らせた体が化石になって
 ....
     俯いている
  
     苛立ちはこころを駆け
     涙は机に下垂る

     ー愛に育まれた女たちは
      夜は眠る時間だと
      知っているから
   ....
ちょっと勇気いるんだよね
あたりを見回してひと気ないの確かめたら
ちいさな箱のなかへ素早く潜りこむ

ペナペナなカーテンを閉ざせば
箱のなかにはなんとも顔色悪い薄倖そうな女がひとり

あ ....
いったい何人のひとを

じぶんの最前線に巻きこんでは

かれらの精神を

やわらかな灰色にしてしまったのだろう

ぼくは強い

ぼくは運がいい

ぼくは優しい

ぼくは頭が ....
ザーメンズ・リヴ
 1970年代に隆盛を極めた女性解放運動ウィメンズ・リヴにより、実質的社会進出
 と概念上の地位向上を成し遂げた女性に齟齬を来した男性が21世紀※1 に掲げた
、保護主義的 ....
二階の窓から曇る夜空を眺めている
降りだしそうな雨をむしろ望んでいる
雨に撃たれてしまいたい

世界に射抜かれる前に
この街を焼き払おうか

*** ** *

持ちきれないほ ....
使い切れないほどの金はどこへ消えたのか
使い切れないほどの人間はどこに消えたのか
抱えきれないほどの食べ物はどこに消えたのか
ウンザリするくらいの笑顔はどこに消えたのか


この国には ....
君がまだ 更生しない 罰として 僕は自分の 指を潰した
nonyaさんのおすすめリスト(5756)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
馬銜(はみ)- ……とあ ...自由詩14*10-3-17
日本むかし話__妖怪糠肉擬- salco散文(批評 ...110-3-17
ひとりのナナ- あ。自由詩8*10-3-16
聖橋のひと- 恋月 ぴ ...自由詩21*10-3-15
蛇の誓い- 吉岡ペペ ...自由詩310-3-15
蛇がゆく- 吉岡ペペ ...自由詩510-3-14
イザナミ- ……とあ ...自由詩5*10-3-13
地下水脈のさかな- フミタケ自由詩710-3-12
蛇の夢- 吉岡ペペ ...自由詩310-3-11
春のてまえ- あ。自由詩10*10-3-10
ごめんね- 西日 茜自由詩4*10-3-9
同心円状のバルコニー- 中原 那 ...自由詩1410-3-9
理由(わけ)ありなひと- 恋月 ぴ ...自由詩24*10-3-8
蛇つかいとの交信- 吉岡ペペ ...自由詩510-3-8
ウミネコの部屋- 月乃助自由詩17*10-3-8
真夜中のロンド- 高梁サト ...自由詩12*10-3-7
HALL_CLOCK- ハイドパ ...短歌7*10-3-6
コードレス- ハイドパ ...自由詩5*10-3-6
春風の画伯- みずまく ...自由詩810-3-6
夢でぼくは、旅人だった- あ。自由詩12*10-3-5
うちの猫- ……とあ ...自由詩7*10-3-5
廃園- 未有花自由詩11*10-3-3
Babylon- 高梁サト ...自由詩9*10-3-3
俯いて- 鵜飼千代 ...自由詩22*10-3-2
うつすひと- 恋月 ぴ ...自由詩17*10-3-1
Barco_Negro- 吉岡ペペ ...自由詩310-3-1
サから始まる語義凡例・サ〜シ- salco散文(批評 ...210-2-28
二階の窓から曇る夜空を眺めている- kauz ...自由詩13*10-2-27
堕落論- ……とあ ...自由詩11*10-2-27
Teacher- ハイドパ ...短歌6*10-2-27

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192