買いものの途中
「ちょっと 待ってて」 と
ふいキミはどこかへ
子犬みたいな笑顔が
走って もどってくる
その手には
青いリボンをかけた小さな箱
....
切ない夜を波濤の数だけこえて
やおら滅びゆく貌(かたち)のように虚しく、
何処までも果てのない君とともに
歌うべき僕たちの言葉が見つからない
伏せた漆黒の虚しさは朝日を浴びて
いつしか濡 ....
糊の効いた藍染めをくぐり抜けると
石鹸の香りがいらっしゃいませと迎えてくれる
散歩の途中でみつけたお風呂屋さん
モクレンの香りに誘われて迷い込んだ小路
朝夕通っている駅前通りとはさほど離れ ....
僕らは寂しさを持ち寄って
暮らし始めた
未熟さと純粋さと
思いやりのフリした弱さ
失うのが怖くて
我慢し過ぎたんだね
大好きだったはずなのに
なんで傷つけ ....
銀色のトラップが巡らされた森の中
ラピスラズリが妖しく光を放つと
遠吠えするサボテンやおしっこ臭いキャベツ人形たちが
深い眠りから目覚める
*
レムの端っこで危なげなア ....
これで最後になったって構わない
そう思って生きてきただろうか
そう思って飯を食い、
語らい、遊び、笑いあっただろうか
ここで途切れても
誰にも心配をかけないで
心置きなく終われるような ....
八重桜愛で
歩くスーツの肩寂し
早く帰って ビールのみたし
四季を彩るは
地と
そこに根付く木々や草花
呼吸を彩るは
空と
そこにたゆたう陽や月
鼓動の中に記憶は流れ
五感の中に今が記される
起こり続いていくだろう全ての事柄に
無意味は存在しないと言うが
....
若草を踏みながら山に入ると唐草が伸びて手足に絡まりそれが目玉を突くので金の目をした子鬼は泣いています。
{引用=
竹林がきいきいと
竹林がきいきいと
竹林がきいきいと}
愛してるなんて
言わないよ
嘘を
演じて
終わりが見える
変わらぬ愛なんてどこにあるの
綺麗事は、いらない
苦しいなんて、はじめから解ってた
穢れなき想いを
心を君に
捧げ ....
おもむくままに、旅に出ようか
規則正しいかたかたとした音は
恐らく鞄に忍ばせた貯金箱
目を閉じればそれは
大きな機関車のタイヤに変わる
太陽はなだらかに線路を作り
どこまで続いてい ....
昨日もらったキャンディを
茶色の小瓶に入れたって
甘い薬にはならないと
喉を鳴らせてむくれてる
僕のかわいい女の子
このあいだの満月に
こじ開けられた地下室の
鍵は窓から放り ....
あなたとセックスしている間、頭の中で聞えていた電子音の長さを数えてみました
それはぴったり4秒で
あなたが私にしてくれたどのキスよりも長かったから
私は、いつもより大きな声で、喘ぐ
4秒の ....
毎日あたたかい日が続いているので
公園や神社の上には
若葉色の天井ができている
風が吹くと
こずえはぴらぴら音がする
若葉は白くもあるので
きらきらもする
春が眩しいのは気のせいじゃ ....
ボディの色が気に入ったので
エレキギターが欲しくなった
メーカーの最上位機種
カラー名はアバロンとある
「AVALON」は
イギリスの何処かにある伝説の島
アーサー王の遺体の眠ると ....
彩りと彩りがひしめきあい
ぼくはお茶をすする
うすくれないに緑が混じり
きれいなまだらの葉桜は
そよそよそよと風に任せ
勝手気ままに踊り舞う
ちょっと目線を背けてみれば
だらりの ....
青空から真っ白い
雪が落ちてくる
所在なきものたちが
幸福を連れて
地上にやってきた
見えないところで定着
成長する細胞のはじまり
子宮でお遊戯会が催される
喘ぎ声 ....
散ったさくらを 追いかけて
やさしい手のひらが咲く
痛みも 悲しみも 別れも
あなたのくれたものなら
何一つ手ばなしたくは
ないのですが
白い手のひらにのせて
すべ ....
庭に日の差す縁側で
かげろうにゆらりと手をかざす
つかめないな
銀のコップが透き通って
細く光る指先の丸み
着られなかった
紺の制服をまとって
うっすらとたなびくおまえ
好きだ ....
足下の花びらが
しきりにバトンを渡そうとする
あなたも咲いたらいい
そう言っているのかもしれなくて
ただただ季節はめぐるから
がんばれない
そううつむくあなたの額にも
舞って ....
わぁ泳いでる
宴会場に入ったとたんに
女性陣から声が上がる
浅い椀に入った白魚が
勢いよく泳いでいる
透明な体に赤い心臓
鰓が細かく震えている
勢いあまって椀から
飛び出す ....
手の中で息絶えていく
鮮やかな言葉や夢が
何の意味もなく
何の意味もなかったもののように
僕の中で沈黙する
その、瞬間が。
雨音のように僕を黙らせる
だから、かなしくて。
....
一
退屈と虚無が蓄積された日々
人生という大それた響きが
重くのしかかるから
あたしはかしいでいく
日々が圧縮されて
密度を濃くして体積を狭めていく
その重みは保っ ....
腕に
注射器の後
レニー・ブルースは
裸で死んだ
多弁で
雄弁で
皮肉なスタンダップ・コメディアンの口を―
死だけが塞いだ
かれは
言ったものさ
―こうあるべき ....
このところちょっと体調悪くて
なんにしても
弱気がちな自分に気付いてみたりする
元気なときなら
生になんて執着しなくて
潔い
そんなことばの良く似合う心模様だったはずなのに
具合 ....
花に嫌われても
空に嫌われても
ひとつ、こころに光を与え
雲に見放されても
虹に見放されても
ひたすらに、愛を捧げたい
瓶底眼鏡をかけなおしたら
世界はぐにゃりと曲がって見えた
....
やわらかに色紙の花園で
子猫が蝶々を追って駆けて行く
{ルビ淡紅色=ときいろ}の薫りを放つ花たちは
自慢の花びらを踊らせることにいそがしく
まるでそれは雨のように降りしきり
この花園を埋め尽 ....
ぬぎすてる
春の衣の
きらきらり
ひかり散らすを
むねに刻んで
ポツリ ポツン
ポツリ ポツン
真新しい黄色の長靴
真新しい空色の合羽
先を急ぎながら慎重に
ヨタヨタと…
次々と
落ちてくる妖精
不思議そうに
空を見つめ
手を ....
真昼に背伸びする
僕達の忘れ物が
緑のてのひらを
ひらひらと泳がせて
人の歩く畦の
少しぬかるんだ日陰で
ころりころりと耳そばだてて
笑っているよ 楽しそうに
もうすぐ旅立つ時 ....
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