雲ひとつなかった
青い空に
裸の木々の先端たちが
根のようにのびていた
空を吸って根を地球にのばしてゆく
地球という孤島に、空という孤独に、
雲ひとつなかっ ....
乾いた大地に
夏の厳しい日差し
しおれてしまった花に
水をひとしずく下さい
*
空っぽになった部屋で
なくした希望を探す
仕方がないと言いながら
耳障りなため息を吐く
* ....
トントントントン
包丁の音がする
君は手際よくテーブルの上に出来あがった料理を並べていく
いめぇじの世界で
ダンスを踊る人たちが
手を繋いでは千切れて
あら、忘 ....
学習ノートの裏表紙
鉛筆手書きの宝島
包装紙の海図を持って
君はダンディ、僕 博士
太っちょガバチョを従えて
駄菓子屋で買った黄粉飴
カバンに入れて粉だらけ
黄粉に塗れた三人の
宝探し ....
雨も忘れるほど唇を求め合った夜
そこに忘れてきた傘一本
今も時々探してみるけれど
ゲームをしよう。
ゲームをしよう。
踊れないバレリーナ。
髪を切ったバレリーナ。
憂鬱TVからネガティブなロックンロール。
噛み砕け。
憂鬱はイエロー。
壁紙はアトラクション。
....
仏間に坐って
うなだれ
首を
さしだしていたことがある
白刃の前に
ながれる水音に
耳を澄ませていたことがある
客観的なまでに静まった ....
まもなく幸せになれるでしょう
と言われても
不安感の先立つ今日この頃だから
それって、ほんとかなと首をひねってしまう
フィギュアスケートとかのスポーツ番組みてると
まもなくまもなくっ ....
手のひらの小窓にあなたから写真がとどく。
風にあおられた火が波のように打ち寄せる深い
闇のなかにわたしたちが暮らす岸辺があるみた
いですね。
怖くもあり、それが真実の勇気であるようにも ....
かたちを見つめる
虚無がしずかだ
茶室に作法がこだまする
石庭の顔いろで
抹茶が飲み込むデスマスク
宇宙の鈴の音を聴いている
エイトビートのピアノ鳴る
声が消 ....
穴居のインテリア
文明化された原始人の為の
鋼鉄と石粉で出来た矩形巣箱の中で
居間は森林であれ
台所及び食堂は菜園であれ
或いはささやかな礼拝の山頂で
僅かな部屋部屋を繋 ....
讃美歌を謳い終えたり今日は晴れ陽だまりに75歳春
人類の悩みを思い心が痛む神に希望をしかと置くわれ
スコップをせっせと動かし庭造り妻の背中に春の温き日
眠き眼に午後の奉仕はやや辛しこ ....
市場の朝は早く寒い
働く市場の軒下から
真っ青な空が広がっている
君の頭上に空があり
野菜の中に埋もれて
汗をかいていた君は
市場の軒の間から
深く青い空を見る
空の青は深 ....
うかれているしかなかったのだ
さびしかった
信じられないくらいの
さびしい状況にいたのだった
いちかばちかのような気持ちだった
だから
うかれているしかなかったのだ ....
彩度が低下して冬
のような気がしている
けれど見上げれば鮮やかな
空の青
空っぽの空の青
透きとおるってどんな気持ちだろう
こんな空の下ではすべてを見透かされそうで
網膜 ....
僕の中で何かが決壊するとともに
完全に終わった
真夜中は爆発して
ウルトラマリンの朝が始まる
その青さったらなくて
スコールのように
目にじゃばじゃば入ってくるんだもの
原色の獰猛な ....
白、という色は感覚を鈍らせる。
粉雪が踊る
大地も空も空気さえも、息をひそめた世界で
ただ、そこに在るというだけで
乱暴なまでに視線を奪う
ただ一人の愛しい人
瞬きすら惜し ....
路地から通りにでると
いや、もう路地から
あたたかな風がほどけていたのである
それがからだをやらかくぶ厚く
バイブレーションさせていた
坂道を明治神宮のほうへあがった
....
黄色い帽子をかぶった女の子が
お母さんに手をひかれて
ちょこちょこ小走りに
横断歩道を渡っている
いくつまでお母さんの手を
握っていられるのだろう
無邪気な笑顔 ....
野生の鶏が森に溶ける朝
立ちのぼる夜の残り香
白く踊る靄
女たちのはごろもの袖が
空に還るよう
斜めに抜ける鉄道の跡地に
芽吹く春を見守っている
私の肩に麦をふりかける人よ
瞳は黄金を ....
足柄山の山中に
(大江山の中腹に)
大きな栗の大木が
その巨木の瘤の中
蔓で編まれた黒い籠
籠の中の麻の布
布に包まれた赤子一人
黒々とした髪を持ち
大きな体に漲(みなぎ)る精気
....
白羽の矢を立てられて、俺は
目の前が真っ黒になったものだ
マジかよ
何で俺?
あそこには空がないって言うぞ
こんなショバもな
メシはなかなかのもんらしい
みんな早死している
てか ....
さかあがりが できないころ
さかあがりのあいまに
けんかした
さかあがりのあいまに
学校へ 行った
おまえんちの家の前の空き地に
むかし なまくびが ならべら ....
にょうろりにょうろり長い紐
トタン屋根またがり
ポストくぐって
にょうろり、にょうろり
どこまでいくのか
酒屋のシャッター錆びの穴
にょうろりにょうろり
中に ....
草のなかにレールをみつけた
錆びた鉄の平行な二本線が
弓なりに
ここから延びていた
または
この草のなかで
すっぱりと裁断されて尽きていた
あおぐらい記憶 ....
りんご静かに
さびしい時に、お友達から
手紙がとどく
さびしいんでしょう、
白い詩がすきなんでしょう
さびしい時に、お友達から
手紙がとどく
あけてみれば、
一枚の白い便箋。
あ ....
たましいのかけらになったって
いつもいつまでもいまも
あなたのそばにいる
ふあんもかなしみもない
ハッピーエンドに
ふたりしてかならずゆけるから
十年まえ
....
荒く乱暴に削られた悲しくも不真面目な凹凸のある石畳は、煌めくルビーがさんざん泣いて叫んだあとのように、まだ温みのある紅い夜の涙でびっしょりと濡れていた。
蒼褪めた馬の首を被った人を殺したおまえたちが ....
ふと真夜中に鏡をのぞきこんだ。
眉間のしわは、わたしはそう思わないの勲章かな。
右にはずし、左へはずれて、ごろんごろん。
蛭にひるを吸われて夜を生きたしるしの肌はエノキダケみたいよれよれ白く ....
横はいりなんかしてないのに
ちゃんと並べと咎められたことがある
トラウマになってしまったのか
また文句言われてしまうのではとオドオドしてみたり
私って気が小さいのかな
それからは ....
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